表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/57

36話 約束は忘れないように………









―――――――――――――――





抜け穴からの侵入は防ぐことができた。だが、諸葛亮の策はまだまだあったのだった。


どうやら、用水路の水を止められたようだった。


それに加えて火矢の嵐である。


味方の心情的に決していいものではない。


飲み水の蓄えはあるにしても、である。


しかし、魏も負けてはいなかった。


城壁の上に設置された絡繰。巨大な丸太を落とし、そしてこれまた巨大な縄で引き上げまた落とす。しかも移動可なのだ。


これにより、蜀の士気も下がりつつあった。









「くっ。厄介な絡繰だ」


前線指揮を任されている関羽は城壁の絡繰を恨めしそうに睨む。


「縄を切ってはどうなのだ?」


趙雲が横から口を出す。


「………着替えは済んだのか?」


「まだ言っているのか、この委員長は……」


「誰が委員長だッ、誰がッ!?」


関羽の言葉に軽口で答える趙雲。


「全く……。それで縄だが、どうやら特別な物を使っている様でな。刃物は勿論、火矢すら効かぬのだ」


「うむ。それは………厄介だな。あの丸太に取りつくのはどうなのだ?」


「いや、それだと引き上げてる間、弓の的になってしまう」


二人が絡繰に頭を悩ましていると………。


「…………行ってくる」


『……は?』


呂布が一言呟いて、城門前に移動していく。


あまりの唐突なことに二人は固まっていた。


それを気にすることもなく呂布は絡繰と対峙する。


そして丸太を叩き割ろうと身の丈以上もある戟を振るう。


――――バキッ。


しかし、叩き割られたのは丸太ではなく、木っ端――――卒塔婆であった。










「………それを壊させる訳にはいきませんよ」


「………日陰」


日陰が縄を伝い、城門前に降りてくる。


「真桜さん!」


「はいなッ」


弩弓機により日陰に卒塔婆が放たれ、それを受け取る。


「我が君の為…………ここは引きませんよ、恋さん?」


「………恋もご主人様たちの為に引かない」


両者得物を構えて対峙する。


これで三度目の対峙であるが、実はキチンと戦ったことが一度もないのだった。


そして今回は………………。









「その勝負、待ったッ!!」


今回もどうやら駄目みたいだった。


「………?」


その乱入者に目を向ける日陰。


そこには……………。


「久しいな、日陰」


不敵に笑う女性がいた。


短めに切られた銀髪。そして身から溢れんばかりの闘気は猛将の証。そして何より目につくのは手に持つ巨大な戦斧。


「ふふふ、幾日もこの機を待っていたぞ。やっと貴様と剣を交えることができる」


女性は笑う。その笑みは正に戦闘狂バトルマニアそのものだった。


「さぁ、剣を取れ、日陰!」


戦斧の先を日陰へ向ける女性。


「……………」


それに対して日陰は無反応であった。


まぁ、基本的にアレなので、仕方ないと言えば仕方ないのだが………。


「なんだ、もしかして私を忘れたのか?ならば教えてやろう、私の名は――――」


「―――華雄さん………」


「違うッ!華雄だ!!…………ってあってるぞ!?」


意外にも覚えていた日陰。


「………何故、蜀に?」


「虎牢関で敗戦した後、私たちは大陸を流浪していた。そこで蜀の一つの砦を根城にしていたのだ………」


残存兵を引き連れて大陸をさ迷っていたらしい。


そこで流れ着いた蜀で再び董卓と出会ったという。華雄にとって董卓は唯一無二の主であり、そしてその董卓を洛陽で連合から救ってくれた劉備と北郷にその大恩を返すために今この場に立っているのだと………。


「それで思わぬ拾い物をした。まさかあの時の約束を果たせようとはな………」


とニヤリと笑う華雄。


「…………約束」


「そうだ、私は言ったよな。出陣前にこの戦いが終わったら勝負しろと………。そしてここは戦場で私とお前は敵同士なのだ。これ以上に好機はあるまい」


ガシャと戦斧を鳴らす。


「呂布、日陰は私が相手する!お前はあの絡繰を止めろ」


「………(コクッ)」


頷きを返すと呂布は門前に走っていった。


「追わないのか?」


華雄が日陰へ問いかける。


「………いえ、もういいです」


日陰はもう既に呂布を見てはいなかった。


「ふっ。まさか、籠城戦で出てくるとはな。お前は猪か?」


今、おそらく周りで華雄の言葉を聞いていた兵たちは、“貴女(お前)が言うなッ!!”とツッコミを入れたに違いない。


「我が君の為なら、僕は猪にでも鬼にでもなりますよ」


それに、と手を挙げる日陰。


それをきっかけとして城壁の上から卒塔婆が地上に降り注ぎ、突き刺さる。


「この場において僕は誰にも負けはしない……」


近くにあった卒塔婆を手に取る日陰。


両手に卒塔婆を構える。


そして華雄も戦斧を構える。


『―――いざ、参る!』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ