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28話 徐福と絡繰








―――――――――――――――







今日はお休みの日陰。


基本的には休みの日であっても荀イクの手伝いを人知れずしているのだが、今日はその荀イクも休みであるため、日陰も本当に休みなのである。


「……………」


とはいえ、特に趣味も楽しみも無い日陰は休みの日は暇なのである。


「……木でも削ろう」


結局、いつも卒塔婆作りとなるのが日陰は休日の過ごし方であった。








日陰の卒塔婆は自身の手作りであり、その材料は廃材となった木材を削り形を整えたものである。


今日ものみを片手に廃材置き場へと向かう日陰。


そして適当な大きさの廃材をいくつか拝借して近くの芝生で木を削り始める。


極めて地味な光景である。


そしてそれを日暮れまでただ一心に削り続ける日陰であった。


もしこれだけで終わる物語があったなら間違いなく読者はいなくなるだろう。










「あれ、日陰やん。こないな所でなにやっとるん?」


とそこに李典が現れた。


「あ、どうも」


ぺこりと頭を下げる日陰。


「確か、日陰は今日、非番やったな」


「はい。ですので、木を削って………」


「なんや、もしかして…………徐福、絡繰に興味あるんか?」


「………」


日陰の言葉の途中でズズイッと目の前まで迫る李典。


「そうやろ、そうやろ。日陰も男の子やもんな、絡繰に興味ある年頃やもんな」


なにやら腕を組み、うんうんと頷く李典。


「せや、丁度工房を新調したんや。これから来うへんか?行くよな?おしッ、ほな行こか!」


日陰が何かを言う前に李典が日陰の腕を引っ張っていく。









「………でなこれが自動ごみ取り機やねん。こう、ごみのある場所に置くとな………」


李典の工房へ訪問(強引に)すると工作隊の向上目的で割り当てられたはずの部屋にはどう見ても李典の私物でごった返していた。


入るや早々に片っ端から絡繰の説明をしていく李典。


曰く、この曲線に痺れるだの、この歯車ゼンマイがどうの、この仕組みがどうの……………。


「…………」


それを黙って聞いている日陰を熱心に聞いているのだと思っている李典の喋りは止まることを知らなかった。










それから太陽が南中から傾き始めるまで話は続いた。


「そうや!日陰も作ってみるか?」


どうやら絡繰の説明を“全て”終えた李典はそう提案するのだった。


もう一度確認しておくが部屋にごった返した全ての絡繰の説明を終えた。


「………僕がですか?」


そこで初めて喋ることを許された日陰だった。


「材料なら腐るくらいあるから、好きに使ってええよ」


これももう一度確認しておくが、この部屋にあるものは工作隊の向上の為に経費で揃えられたものである。


「……では、少しだけ」


日陰は部屋の中を物色し始めた。










「………ふぅ。こんな感じですかね……」


と日陰は手を休めて、自分の作った絡繰を見る。


「…………」


注意しておくが、上のは日陰ではなく李典である。


「なんやの、これ………」


李典がそう呟く。


「……自走式人形」


そこには人形があった。


『お還りなさいませ、ご主人様』


「喋った!?」


フリルのあしらわれた服―――所謂メイド服を着た人形が喋る。


そしてゆっくりと右手を上げる。そして………。


『――逝ってらっしゃいませ、ご主人様』


右手の裾から小さな卒塔婆が発射された。


「――ッ!?」


それを寸前でかわす李典。


「な、なんやの!?」


「警備用なので、人を見ると攻撃を………」


「そない危険なもん作ら―――ッ!?」


文句を言おうとした時、再び李典の横を小さな卒塔婆が飛んでいく。


「ちょ、日陰!はよ、止めてや!」


「え?ただ作っただけですから止める機能は無いですよ」


「くっ、仕方あらへん」


李典は自分の得物の螺旋槍を構える。


「地龍螺旋撃!」


そして人形の頭に向けて、放つ。


―――ガシャン!


頭がバラバラと床に落ちる。


「はぁはぁはぁ………」


頭を壊したことで動きを止める人形。


「あ、でもそれは――――」


―――ガガガ。


そして頭の無い人形は両手を上げる。


まるでキョンシーの如く。


『お痛が過ぎます、ご主人様』


そして両手から小さな卒塔婆が乱発された。


「機動核は頭じゃないですよ?」


「なんでやねん!!」


卒塔婆を避けながら部屋を出る李典を後を追いかけて自走式人形も部屋を出ていく。


一人部屋に残された日陰。


「………絡繰も中々面白いですね」


少しだけ笑ってみる日陰だった。


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