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僕のお姉ちゃんがこんなに××なわけがない。

遅くなりました。今回は会話が無いです。

佐倉こよりの朝は早い。いや、正確に言えばより早くなった、と云うのが正しい。朝五時半に起床。眠気覚ましにシャワーを浴びて、トースターに食パンを、コーヒーを淹れてパソコンの電源を入れる。

ニュースサイトをチェックしたら怪奇現象保全事務局のメンバーと連絡を取る。怪奇現象保全事務局、通称[怪保]は存外いい加減な組織だ。

こはくの手前こよりは真面目な組織であるような風に話した部分もあるが、多少の決まり事はあるものの徹底しているルールは『バレなければ問題ない、迷惑かけなければいい』こんな感じである。

そもそも怪奇とは人間の常識で推し測れない存在で、些細なことをいちいち取り締まっていたらキリがないのだ。

そんな怪保に毎朝の定時連絡の義務があるわけでも無く、彼女が行っているのは現在まで保護してきた怪奇の現状を聞いているのだが

そもそも保護怪奇はそれぞれにサポートの為にパートナーが専属で付くので問題が起きたとしても個々で対応される。

つまり完全に蛇足でしかない。何故そんなことをやっているのか、元来の世話焼き体質のせいか、或いは他の要因か、彼女自身もよくわからない。


朝食を食べ終えパソコンを閉じれば時刻は6時10分パンツスーツに着替え学園へと出勤する。

こよりの家から徒歩10分少々で着く私立麗仙学園。生徒の3分の1は人形怪奇で残りは殆どが何も知らない人間だ。

学力は上の下、悪過ぎず、良過ぎず。

学園の目的は人の社会に怪奇を馴染ませること以外は普通の学校だ。

こよりは特定のクラスを持っている訳でも担当の学問もない。

学校全体の副担人。

それが彼女の役割だ。

常識外れの怪奇が沢山いるのだ。存在を知らない一般教師が精神的に病んでしまうことも少なからずある。授業中に生徒の首が伸びた、真冬にストーブを点けたら冷気が、教室から出ようとしたら別の入り口から教室に戻っていた。

など、イタズラの域を出ないものではあるが…

そんな教師の代打や学園から去ろうとする怪奇を止める。そんな仕事だ。


6時20分過ぎ職員に着いた彼女は1日のスケジュールをチェックして隣のデスクに座っている旧知の友であり同僚に話しかけたり、校内巡回をする。それが彼女の日常であり1日の始まりだった。

そう、過去形だ。


朝五時、目覚ましが鳴る前に起床。同じベッド、色違いの黒犬パジャマの妹に抱き付く。初めはふわふわした耳に顔を埋め、軽く舌を這わす。肩までの黒髪をゆっくりと鋤いていき身体のラインをなぞるように下へ下へと手を下ろしていくと一点で止まる。軽く指先で触れるとピクンと身体を震わせ悩まし気な少女の声が上がる。

乱暴にならないようにゆっくりとフサフサした尻尾に触れ感触を味わう。

眉をヒクヒクとさせる妹に対し姉はコレでもかと言うほど破顔。口は半開きで涎が垂れていて瞳は涙で潤んみ、時折『こはくちゃんはかわぃでちゅね〜起きないんでちゅか?』

等と口にしている。


ひたすら堪能し、名残惜しみながら妹から身体を放したこより(息が荒い)は時刻を確認する。現在五時四十分。冷蔵庫の中身を確認するが普通の1人暮らしの食事分しかない。

戸棚を開けると買い置きしていたお好み焼き粉を発見。自分の朝食としては重たいが量が必要な妹の為だと割り切り調理を開始する。本日から暫く、今まで使っていなかった有給休暇をフルに使いこはくがきちんと生活に慣れるまでそばにいる。本日は服でも買いに行くべきか?

そうこうしているうちに寝室から寝惚け眼の妹が出てくる。

ふらふらした足取りで歩く妹の姿にいろいろ込み上げてくるものが有るが抑え込み冷蔵庫から牛乳をコップに入れて渡す。


「それ飲んだら顔洗ってきなさい。今朝食作ってるから」


鼻歌混じりでお好み焼き作りに没頭する彼女に今までの面影は無く、明らかに間違った方向へ進んでいるが本人が良いなら良いのだろうか?


次はこはくちゃんの朝をやろうと思います。

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