3話目 ~説明会に参加しないとご飯抜きよ!~
この作品は、失業給付金の受給方法を小説風にまとめたものです。
実際の手続きを行う場合、詳細などは最寄りのハローワークにお問い合わせ頂くよう、よろしくお願い致します。
弟の正登が退職してから数日後、無事に離職票が手元に届いた。
そして、打ち出された弾丸の如く、ハローワークに行って手続きをしたみたい。
それから数日後……。
「ちょっと正登。仕事してないなら少しぐらい家の事手伝ってよ」
「明日から本気出す」
「どこのニートのセリフよ……まったく」
ぶつぶつと文句をこぼす私。
「そういえばさ」
「何よ?」
「ハローワークに行って来た時に雇用保険の説明会の日程を言われたんだけど」
「そう」
洗い物をしながら、適当に返事する。
「参加しなくていい?」
「刺すわよ?」
「……ごめんなさい」
ため息吐いて。
「……正登にはこの雇用保険説明会がどれ程重要なのか理解してないようね……」
「ゆ……優希姉?」
「いいわ。これがどれだけ重要かしっかりと説明してあげるわ!」
「拒否権は……?」
「あると思った?」
「ですよねー」
テーブルにはお茶菓子とお茶。
「それじゃ説明を開始するけど……前回の話で、基本手当がどういう人に支給されるか覚えてるわよね?」
「えっと、『いつでも働けるし、就活してるけど見つからない』って人だよね?」
「その通りよ。よく覚えてたじゃない」
「まぁね」
自慢する事じゃないんだけどね。そこが可愛いというか何と言うか。
「では、問題。どうやってこの『仕事を探してる』状態を証明するのかしら?」
「えっ・・・?口頭じゃだめなの?」
「駄目に決まってるわよ。ハローワークってお役所みたいなところなんだから」
「うーん……じゃあ、書類を提出するとか?」
「そうよ。失業認定申告書を失業認定日に提出するの」
「失業……何?」
「失業認定報告書」
「……あぁ、なんかそんな紙切れもらった記憶があるなぁ」
お茶を飲んで一息つく。
「書き方は後で説明するとして、この説明会も就職活動の一環に含まれるのよ」
「へぇ」
「さらに、正登の場合ば自己都合退職でしょ?この場合って、待期期間に加えて給付制限期間が加算されるのよ」
「待期期間?待機期間じゃなくて?それに給付制限期間ってなに?」
「待期期間でいいのよ。まぁ、この辺の話が次回にしましょう」
「気になるなー……」
「後でしっかり説明してあげるから」
「へーい」
一旦小休止。私と正登は御煎餅をほおばることにした。
「どごろでゆぎねぇ・・・」
「ちょっと、食べるか喋るかどっちかにしなさいよ」
「…んぐぅと。優希姉、質問あるんだけどいいかな?」
「いいわよ」
「給付制限期間?って、どれぐらいかかるの」
「3ヶ月ね」
「えぇ!そんなに!?」
「そうよ」
「何故にWhy?」
「何故英語を混ぜた?……まぁそういう決まりだからよ。詳細は次回。今回は説明会の重要性を説明してるんだから」
お茶を啜る。
「で、説明会なんだけど」
「うん」
「内容としてはそんなに難しい事を説明するわけじゃないわ。具体的にはハローワークの使い方とか、給付手続きの仕方とかの説明ね。まぁ、場所によって違うかもしれないけど」
「ふーん。で、これに参加すると就職活動したことになると……」
「そう。さらに、この後にある失業認定日で失業認定を受けないと待期期間が満了したことにならないからね。いつまでたっても基本手当がもらえないから」
「それはまずい……」
「でしょ?だから、しっかりと参加して来なさい」
「了解!今から行ってき……」
最早、脊髄反射のレベルで正登の首根っこを掴む。
「ぬぼぉ!」
「日程通りに行きなさい。ね?」
「……ハイ、ワカリマシタオネエサマ」
やっぱり私の心配事は尽きそうにない。このまま基本手当が貰えるかどうか心配になってきたわ。