ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 01
ここに1つの世界がある。
我々の住んでいる世界とは異なり、文明レベルは低いと言わざるを得ないだろう。
我々の尺度で言えば、中世レベルか、それ以前であり、政治形態や社会生活にも当てはまる。
この世界を特徴付けるのは、さまざまな「魔法」の力、そして、さまざまな「モンスター」の存在。我々が伝説でしかその姿を見ることの出来ない不可思議な魔法の力、凶悪なドラゴン等のモンスターは、ここではまごうことなき現実である。そして、そのために数多くの冒険があることも。
叩けよ。されば、開かれん。冒険の扉は、あなたの目の前にある。
1.戦士を釘付けにするには?
ある町の戦神神殿。
国境が近いこの町の戦神神殿は、他の町に比べて規模が大きかった。
隣国との小競り合いが多発している地域故、戦士や兵士の数が多いのが要因である。信徒が増えれば、神殿は大きくなる。普遍の真理だ。
いつも賑やかなこの戦神神殿だが、ここ数日は……輪をかけて賑やかだった。
教導の名目で滞在している冒険者パーティが……個性派揃いなのだ。
「聞いたか?! ジュールちゃんが、戦うらしいぞ!」
戦神の神官が、同僚の肩をバンバン叩いていた。はっきり言って、暑苦しい。
「ジュールちゃんが?!」
叩かれた同僚が、大声で答えた。
うん。こいつらみんな、暑苦しい。
「相手は誰だ? あの、いけ好かない、魔術師の野郎か?!」
「違う違う。レイブンとかいう、戦士と戦うらしい!」
「レイブン?」
暫し考える。
「それって、あの……灰色熊か?!」
「そうだ! あの、灰色熊だ!」
暫くして、同僚はこう続けた。
「大人と子供ぐらいの、体格差があるぞ? 戦いになるのか?」
「わからん! わからんから、見に行くぞ!」
「そうだな!!」
中庭に向かって、ダッシュした。
中庭の鍛練場には、教導の名目で滞在している冒険者パーティが揃っていた。
中央で対峙しているのは、身長180cmぐらいの人間の大男と、身長155cmぐらいの普通体型の人間の女。
お互いに鞘の付いた自らの得物を持ち、開戦の合図を待っていた。
「受け身の取り方を、思い出しておけよー」
大男の名前は、レイブン。傭兵団出身の冒険者だ。
身長:180cm。体重:85kg。大柄な筋肉質の身体の上に、純朴な田舎の青年の顔が乗っている。そんな感じの青年である。
年齢は18歳は過ぎているが、23歳にはなっていないようだ。肌の色は茶色で、髪の毛はボサボサの灰色。大きめな灰色の眼球が、優しい雰囲気をかもし出していた。
鎧下の上に硬皮皮鎧を装備している。同時に鎧と同素材の手甲と脛あてを付け、腰に巻いた剣帯には両刃直刀を差している。
表記について
“”は、キャラクターの心の声です。
《》は、神様のセリフです。
お読みいただきありがとうございます!
本作『ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに 〜』は、
ここから全55話まで 【毎日3回(7時・12時・18時)】 のスケジュールで連続投稿していきます。
おっとり美人だけど、中身は脳筋。そんなジュールの試行錯誤を、お楽しみください。




