見下されていると思っていた公爵子息に、なぜか私だけ逃がしてもらえない〜実は溺愛されていた平民令嬢は、公爵家から逃げられない〜
平民の私は公爵様に見下されていると思っていました。
なのに——、
「あなたのような素晴らしい方の手を取る事を許して頂き、一緒の時間を過ごせるなんて大変光栄です」
って、誰?
◆◇◆
「平民ではダメだな」
ノーブルフィルド学園で一番身分が高く成績も優秀で、端正な顔立ちの公爵子息エドワルド・カイゼル様が私に言う。
いつも私を見る目が、苦々しく、挨拶すれば、さっと避けて去っていく。
エドワルド様は、平民を見下している。
でも、話しかけられただけで、ポッと赤くなってしまいそう。
見下されてるのに、エドワルド様の顔が良すぎるし、所作も綺麗で素敵すぎるから、他はどうでも良くなる。
教室には二人きり。
私が先生に頼まれた書類を全校生徒分つくっていたところに、エドワルド様が来たのだ。
私はミレイユ・クライン。
中規模な商会の娘で、平民だ。
本来ならこの学園に通えるような身分じゃない。
「すみません、僕の幼なじみのミレイユが」
伯爵令息の幼なじみエリアス・モンフォールが現れた。
教室の扉が開いている。
多分、私がまだ帰ってないのを心配して教室まで来たら、エドワルド様と一緒だったから慌てて入って来たのだ。
私が子供の頃に彼と遊んでいて、計算力が優れているからと伯爵様に特別の学園に推薦していただいて、私は今同じう学園に通っている。
「目障りだ」
「す、すみません!」
エドワルド様に言われて、エリアスが私の手を引っ張って出て行こうとする。
「ダメ! 先生に頼まれたものだから、今日中に終わらせないといけないの」
私はエリアスの手を振り払う。
「すぐに、終わらせます! 申し訳ありません」
エドワルド様に向かって私は言った。
「やめろ、エドワルド様はお前を目障りだっておっしゃったんだ」
エリアスのモンフォール伯爵家は、エドワルド様のカイゼル公爵家には頭が上がらないらしいのだ。
うちの商会を重用してくれるモンフォール伯爵家の頼みは断りたくないし、 公爵家を敵にも回せないけど、先生たちや他の生徒もそれなりの貴族の家系で、うちの商会とは取引きしていただきたい。
だから、必要以上に公爵様の機嫌を取るために、一度頼まれた仕事を投げ出して、信用を失くすわけにはいかない。
『目障りだ』と言われても、学園内での生徒は平等で、先生に頼まれた仕事をしてる最中なんだから、私が出て行く必要はないわ。
書類に手を伸ばす私の目の端に、エリアスが去って行く姿が見えた。
エドワルド様も動くのが見えて、声をかける。
「エリアスは、エリアス様は悪くないんです! 『目障り』でも私が自分で残ったんです。文句があるなら私が受けます。モンフォール伯爵家は関係ありません」
エドワルド様が驚いて私を見る。
「アイツを庇うのか……?」
庇うって事になるのかしら?
私が自分の意思で残っているんだから、その責任は私が取るもので、エリアスが私を連れて行けなかった事の責任にはなるのはおかしい。
でも、領民が貴族の所有物って見方をすれば、違うのかしら。
エリアスを追いかけるつもりだと思ったエドワルド様は、私が作っている書類の束に手を伸ばした。
「何をすればいい?」
「え?」
意外な事を言われて止まってしまう。
手伝ってくれるって事!?
公爵子息が、雑用を!?
「……」
私が絶句している間も、エドワルド様はじっと私に視線を向けている。
「あ、はい。書類を並べる前に全部半分に折らなきゃいけないので、私が渡したものを折ってください」
エドワルド様がうなづく。
エドワルド様は高速で作業されて、私より丁寧に書類が折られていく。
公爵子息にこんな丁寧な仕事を見せられたら、『平民はダメだな』と言われた意味もわかる。
私も負けないように丁寧な仕事をしようとしたけどエドワルド様ほど綺麗にはならない。
「こうするんだ」
エドワルド様が私の手ごと、私の書類を綺麗に折ってくれる。
私は咄嗟のことに耳まで真っ赤になってしまう。
「あ、ありがとうございます」
最初の声がうわずったのに気づいて、後の声が不自然に野太く小さくなる。
エドワルド様の方を見る事ができない。
——ずっと、憧れている人と、こんなに近づけるなんて。
◆◇◆
先生に頼まれた雑用を終えて外に出ると、エリアスが待っていてくれた。
「ミレイユ、歩いて帰るつもりだったのか? 遅いから、馬車で送って行く」
と言ってくれたけど……後ろからエドワルド様に腕を掴まれた。
「俺が送る」
エドワルド様の馬車があった。
「いえいえ、目障りなコイツは俺が連れて帰りますよ」
そう言ってエリアスは私の手を取る。
「エドワルド様のお屋敷はウチの商会とは真逆のはずですし、エリアスの屋敷なら家の商会の通り道ですから。……お礼にいつもの物をあげられるし……」
「要らないけど、貰ってやるか……」
そう言ったエリアスから奪うように、エドワルド様が私の腕を引いて、自分の馬車に押し込める。
「え! エドワルド様にご迷惑をお掛けするわけには……」
私の乗った馬車の扉が閉まると、エドワルド様が私を睨んんでいた。
「!?」
なんで怒ってるの?
多分、平民の私を仕方なく送ってやろうと思っていたのに、エリアスがいて、平民に馬鹿にされてるとか思ったの?
こんなに馬車の中が気まずいなら、エリアスに送って貰った方が良かったかも。
なんて、少しでもエドワルド様と長く一緒にいられて、本当は嬉しいです。
どうせ私は最初から見下されている平民だから、エドワルド様のお気持なんてどうでもいいんです。
「エドワルド様、遠回りさせてしまって、ごめんなさい。でも、雑用を手伝っていただいて、送ってもらえて、とっても助かりました。ありがとうございます」
どうせ嫌われてるからと、取り繕う事なく自分の思った事を素直に伝えた。
エドワルド様は聞いているのかいないのか目をつむっている。
目を閉じているなら、エドワルド様の端正な顔をずっと見ていられる。
馬車に揺られながら、幸せを感じていた。
パッとエドワルド様の目が開く。
私は思いっきり目を逸らして、完全にエドワルド様を視界の外に追いやって、窓の外をみた。
「礼のいつもの物とはなんだ?」
エリアスが言った事が、エドワルド様に興味を持たれてしまった。
「……それは、本当は、お礼じゃないんです。お菓子作りにハマっていて休日に大量に作るから、エリアスにもあげてるだけで」
「俺も貰いに行く」
「え!? そういう物じゃないので……ちゃんとした品物を持って公爵家にお伺いします!」
私は慌てて言う。
「いや、君が作った物がいい」
「ええ……っ」
平民のお菓子に興味があるのかしら?
「わ、わかりました。今度の休日にお菓子を作ったら、公爵家に届けます!」
ど、どうしよう!?
流石に失敗出来なすぎる!
嫌われているからっていつものエリアスにあげてるお菓子じゃダメだ!
膨らまないマカロンやシュークリームは味は良くても持ってけないし、ミルフィーユのつもりで失敗した油まみれのクッキーなんて、ただお菓子作りが壊滅的に下手だって思われるだけだわ。
エドワルド様が平民の味を求めてるなら、失敗しない物にしないと……。
雑務を手伝って貰って馬車で送って頂いて、幸せなのに、なんだか追い込まれてる!?
◆◇◆
学園のお昼にエリアスを探してハチミツのパウンドケーキをあげる。
絶対に失敗しないお菓子だ。
「美味しい?」
「まあ、美味しいけど。見た目が普通だ」
「普通でいいの」
エドワルド様にはこのハチミツのパウンドケーキを持って行こう。
平民で最初から見下されて嫌われてるから、エドワルド様の前で緊張せずにいられたのに。
いつも失敗だらけのお菓子作りを、失敗せずに渡さないといけないって、すごく緊張するわ!
朝も、いつもならエドワルド様に普通に挨拶できるのに、声が上ずって挨拶が届かなかった。
エドワルド様が私を見て、いつもの様にサッと去っていったけど、私の感じが悪くていつも以上に嫌な気分にさせてしまったと思う。
平民と見下されても、商会の仕事に支障はないけど、私の態度が悪くて嫌われていったり信用がなくなったら、商会の仕事にも支障が出てしまうわ……。
エドワルド様と長く一緒にいられて嬉しかったのに、私の恋心のせいで商会に迷惑をかけてしまう……。
「なんだ、それは、どうして、これがここにある……!」
エドワルド様が、私とエリアスの座るテーブルの前に立つ。
怒っているみたい……。
エドワルド様の視線の先には、ハチミツのパウンドケーキ。
あ、そうか!
エドワルド様は、休日を潰して自宅に届くのを待ってるのに、エリアスには学園の昼食のついでに食べられるように持ってきたりして……配慮が足りなかった!
「す、すみません! エドワルド様に美味しいお菓子を届けたくて、今朝、早起きして作った物をエリアスには味見をしてもらってたんです! でも、学園に持って来れるなら、エドワルド様にも学園でお渡しするべきでした! お屋敷にお伺いするなんて、ご迷惑を考えずに、申し訳ありません!」
私は立ち上がって謝った。
エドワルド様がどんな顔をしているかは怖くて見れない。
「いや、屋敷に持ってきてくれ。父も母も楽しみに待っている」
……?
え? エドワルド様のお父様とお母様——公爵様と公爵夫人が、なぜここででて来るの?
「俺の憧れの人だと紹介したい。君の家の仕事にも役立つと思う」
え? 急に話がスケールアップしました。
エドワルド様が、ますます怖すぎる事をおっしゃっている。
紹介したいって、誰に誰を?
エドワルド様がエリアスを睨むと、エリアスは私の作ったパウンドケーキを渡した。
「見た目も味も素晴らしい」
と、エドワルド様が食べた後に感想を述べた。
「あ、ありがとうございます!」
これで、休日にはお菓子を持って行かなくていいかしら?
「父と母もきっと気に入る」
あ、やっぱり行く必要があるみたい?
「ど、どうして、公爵様と公爵夫人にまで食べていただく必要が……」
「君の商会の仕事につながるからだ。あなたがエリアスを好きでも、これなら俺でも役に立てるから」
エドワルド様が辛そうな顔をする。
「……え? 私、エリアスのことなんて好きじゃありませんよ」
「え!? なんでだよ、ミレイユ!」
エリアスが驚いている。
「……」
エドワルド様は固まってる。
「……では、父と母には、あなたを俺の愛する人と紹介してもいいのですか!? もちろんあなたが俺を選んでくれるとは思っていませんが、俺があなたを愛している公言する事を許して頂けるだけでも俺は幸せです」
エドワルド様が笑顔で私に聞く。
えーと……何これ?
「あの……誰が、エドワルド様を選ばないなんて言いましたか?」
めちゃめちゃ大好きだけど、平民だから諦めていただけです!
「……! なんて事だ!? 俺の早とちりで、あなたを不快にさせてしまうなんて!? でも、あなたに叱って頂けてこれほどの喜びはありません!」
あ、エドワルド様を叱った事になって、喜ばれてしまった……。
「し、叱ってません! エドワルド様を叱れません」
喜んでいたエドワルド様がの顔が急に凍りつく。
「また勘違いをしてしまいました。あなたが俺に叱ってくれるほどの興味を持っているはずがないのに」
「し、叱るなんて恐れ多くて出来ないだけで、エドワルド様のことはすごく興味があります!」
エドワルド様の顔がパアっと明るくなる。
「まさか! ミレイユ様が俺に興味を持っているなんて……」
「エドワルド様のような素敵な人、誰だって興味を持ちます……じゃなくて! ミ、ミレイユ様って! なんで平民の私の事を公爵子息のエドワルド様が、様付けで呼ぶんですか!?」
私も驚いたけど、昼食を食べていた周りの生徒達も驚いている。
「だって、あなたは俺の女神様だから、ずっと学園の中で目で追っていました」
女神って、見下されててんじゃなくて、崇められてた!?
「え!? でも私の事が『目障り』だって、昨日……」
「それは、エリアスの事です。あなたが好きな相手だと思ったから我慢していましたが、いつも、あなたに周りにいて目障りで仕方ない」
エドワルド様はエリアスを睨んで言った。
エリアスは怯えている。
「で、でも、エドワルド様は「平民ではダメだな」とも言いました!」
「それは、あなたのような素晴らしい方が、平民というだけで雑用を押し付けられるようではこの学園もダメだなと言う意味です」
ええ!? そ、そんな意味だったの?
「でも、エドワルド様は私が挨拶しても素っ気なかった……」
「毎朝、あなたに挨拶していただける幸運に感謝していました。ただ、忙しいあなたの通り道を邪魔してはいけないと、急いで避けていたのです!」」
ええ……。
「馬車の中でも、私と話そうとしなかったし、目をつぶっていたのに……」
「あなたの様な素晴らしい方に、俺のつまらない話を聞かせて時間を無駄にさせたくなかった。あなたの声が満ちるだけで、馬車の中がコンサート会場のように優雅な空間になるから、ずっと聞いていたかったのです」
……大袈裟すぎる。
私は、思わずエリアスを見た。
エリアスも私を見て、同じ気持ちでいるようだった。
「エリアス……!」
エドワルド様がエリアスを睨む。
エリアスが青くなって、逃げて行く。
「俺はただのミレイユの幼なじみなんで!」
ちょっとエリアスが可哀想。
「エドワルド様! 本当に、エリアスは幼なじみというだけなんです! 私もずっとずっと、エドワルド様が好きだったんです!」
エドワルド様が驚いている。
「ミレイユ様……!」
「さ、様は恥ずかしいです……」
エドワルド様が私を好きなんて信じられなくて、確かめたくて、手を伸ばすと、エドワルド様はビクッと身体を跳ねさせた。
そこまで、私を特別視しなくても……。
でも、気を取り直して、手を結んでくれる。
エドワルド様の手は温かくて嬉しい。
私は、エドワルド様の気持ちが嘘じゃないと分かって、にこりと笑う。
「あなたのような素晴らしい方の手を取る事を許して頂き、一緒の時間を過ごせるなんて大変光栄です」
って、本当に大袈裟で、誰? ってくらい別人みたいな事を言うけど。
私の大好きな人には変わりない。
「それで、今度の休日にミレイユ様直々に、我が家にお菓子を届けて頂ける件なんですが……」
あ、やっぱり、逃げられない?
「……それは、エドワルド様が私の事を様付けしなくなったらにします……」
公爵様と公爵夫人の前でも女神なんて呼ばれたら……恥ずかしすぎる。
「わ、わかりました! でも、ミレイユも、俺のことは呼び捨てて下さい」
「え? でもそれは……親しい関係みたいで……」
私がしどろもどろになっていると……。
「両思いだったんですから、これからもっと親しくなりますよね? 俺はあなたともっと親しくなりたいです」
エドワルド様がにっこりと迫って聞いてくる。
「……あ、はい」
逃げ場がなくなっていく——。
◆◇◆
休日にエドワルドが私を迎えに来てくれた。
このままハチミツのパウンドケーキだけ持っていってくれないかしら?
「あなたを我が屋敷にご招待する事が出来て、こんなに喜ばしい事はありません。俺と馬車に乗って頂けますか?」
「あ、はい」
エドワルドに促されて馬車に乗り、公爵邸に行く。
屋敷に着くとすぐに使用人が私の手作りお菓子を受け取って奥に引っ込こむ。
「ミレイユ、父と母の所へ案内します。あなたの手に触れてもよろしいですか?」
そして、エドワルドのお父様とお母様——公爵様と公爵夫人のいる場所に連れて来られていた。
「君が、ミレイユ様か。息子から話は聞いているよ。思った通りの可愛らしいお嬢さんだ」
「エドワルドの為に、素敵なパウンドケーキを作ってくれてありがとうございます。ミレイユ様」
こ、公爵様と公爵夫人からも、ミレイユ様って呼ばれてる!?
私は思わずエドワルド様を見た。
「父と母には毎日、ミレイユの事を「今日も女神様のように美しかった」と報告していたから」
何やってるの、エドワルド?
私の素朴なハチミツのパウンドケーキが超高級なお皿に乗せられて、超高級な紅茶と一緒に並べられて、公爵一家の前に置かれた時は恥ずかしさで死にそうになった。
美味しいと言ってくださったけど……。
エドワルド様が席を外された時に、公爵様と公爵夫人に謝られた。
「ごめんなさいね。息子をからかう為にあなたに気まずい思いをさせてしまって」
私がミレイユ様と呼ばれたのは、念願叶って私と恋人になれたエドワルドをからかっていたかららしいけど……恋人って……!?
やっぱり、逃げ場がなくなっている。
家の商会には有利だけど……それでいいの?
食後にエドワルド様と二人だけで、公爵邸の庭園を散歩した。
また、
「あなたの手を取る事をお許しください」
と、許可をもとめられる。
美しい庭園の先でも、
「あなたと素晴らしいひとときを過ごせた事を神に感謝します。願わくば、今日の思い出に俺にあなたの可愛らしい唇を奪うことをお許しください」
「どうぞ」
そう言って、初めて唇を重ねた……。
けど、正直、面倒くさい。
聞かずにやっちゃって欲しい。
これは、いつお願いすれば良いのでしょうか?
「あの、エドワルド? 私の気持ちを確認してくれるのは嬉しいけど、私はエドワルドの事が大好きだから、全部だいたい嬉しいです。エドワルドが私の事を想ってしてくれることなら、聞かずにやっちゃってください」
私が言うとエドワルドは少し驚いた後に、私に黙ってキスした。
深く、身体の奥まで満たされるキスで……、
「あなたの唇の深い部分は想像していた通りに、甘くて暖かくて、俺の心を満たしてくれます。あなたと同じ時代に生まれて出会えた奇跡に感謝します」
大袈裟な賞賛は相変わらず直らない。
けど、エドワルドに褒められると、とっても嬉しくて、身体がキュッて切なくなる。
「ああ! あなたと出掛けられる幸運の喜びにこの身が千切れそうです! あなたの為に存在する話題のレストランに栄光あれ!」
「あなたが私の選んだドレスに袖を通してくれるなんて! 明日、世界が終わっても、俺には一片の悔いもありません!」
「みんなの前であなたが俺のモノになってくれた……! これ以上に幸せな日はもう訪れないでしょう!」
気づいたら、結婚初夜の寝室にいた。
エドワルドにキスされたり抱きしめられて優しく撫でられる最高に心地良い日々の中で、甘い囁きを聞いていただけなのに!
エドワルドの顔が私に迫って来て、抵抗できない甘すぎる時間が待っているのは分かっているけど!
「待って! エドワルド! さすがにプロポーズくらいは私の意見も聞いてください! 万が一にも、絶対に断ることなんてないけど……たまには聞く事もして欲しいです……」
私が言うと、エドワルドは立ち止まっ一瞬考える。
そして、いつも以上に甘いキスをして、私をベッドに縛り付けて、にこりと笑った。
「じゃあ、ミレイユがして欲しい事をします。どこを触って欲しいですか?」
エドワルドが、エドワルドが欲しくてたまらなくなった私の身体に問いかける。
私はそんな恥ずかしい事は考えられないのに。
「ミレイユが教えてくれるまで、俺はキスだけで我慢しています」
そう言って、もっとエドワルドに焦がれるようなキスをされて……。
真っ赤になってる私に意地悪く笑うエドワルド。
……もしかして、寝室でだけは、見下されて、身体をこれ以上ないほどに熱くされてしまうのかも。
私はもう絶対にエドワルドから逃がしてはもらえなくなった事に気づく——。
「も、もう止めて、キスは終わりにしてください!」
「ミレイユ、俺にして欲しい事を言ってください」
エドワルドのキスが止まらず、やっと小さく言う。
エドワルドの指先が触れて、恥ずかしくなる。
でも、これが一番私が欲しかったモノだから——。
私を絶対にどこへも逃してくれないエドワルド——。
家も何も関係なく、エドワルドが好きな私でいられて、最高に幸せです。




