教育と金、犯罪 お試し
掲載日:2026/06/04
ここは、私立総合高等学校。
生徒一人一人の個性を尊重し、就職・進学を全力でサポートする学校です。
「この問題、わかる奴いるかー」
黒板には、
X ×(−3)= −15
と書かれている。
「はーい」
ある生徒が元気よく手を挙げた。
「おっ、わかるのか?」
「あの横棒ってなんですか?」
「昨日のノートを見なさい」
ここは、偏差値30未満の高校の中でも、
さらに“最も手のかかる10人”を集めたクラスである。
「……何してるんだ?」
ある生徒が、机の下ばかりを見ている。
「んーとね、眠いの」
「じゃあ、そのピコピコは没収だな」
机の下で、ゲーム機のボタン音が止まる。
「……授業中だぞ」
生徒は一瞬だけ黙って、
それから小さく言う。
「だって、起きてても意味わかんないし」
先生は黒板を見る。
X ×(−3)= −15
「……意味はあるよ」
少し間を置いて、
「生きていくにはな」
教室は静かになる。
誰も理解していない顔をしている。
それでも、誰も席を立たない。
「せんせーい」
「なんだ」
「勉強って、意味あるんですか?」
先生は一度だけ、生徒たちを見る。
そして黒板にチョークを置いたまま、
小さく言う。
「ある」
「すぐには役に立たないけどな」
窓の外で、昼休みのチャイムが鳴った。
単発というか、お試しというか、なんか思い浮かんだから




