第九話 私、二人目の攻略相手に会った。
−今朝、出掛ける前の琴梨との会話−
「攻略相手二人目は多歌宮葉月さんって人だったっけ…?
確か隣のクラスの風紀委員なんだよね…?
おねえちゃんが関わったことがある人なの…?」
「そういえばそうだった!漫画だと遅刻常習犯の雛はよく注意されてるから関わってることになってたけど、私はこの世界に来てから遅刻なんて一度もしてないから、関わってないんだー!」
雛は頭を抱って本気で参っていた。
「真面目が仇になったわけね…?」
「決めた!今日、遅刻しよう!」
「だっ駄目だよ!計画的遅刻は妹として許さない!」
「わっわかったよ、んじゃ自然に出会うのを待つしかないか。」
いくら私が漫画の主人公になっているとはいえ、攻略相手と自然に出会うなんて強運果たして持ってるのかな…?ちょっと不安です…
「ねぇねぇ、あの二人、付き合ってるのかな?」
「そうじゃない!間違いないよ!」
「あの愛田さんと鏡原さんがね?」
校門を通った辺りから、同じクラスの子や隣のクラスの子の視線を感じました。
「目立つし、そろそろ腕組み外した方がいいんじゃ…?」
「校舎に入るまではしてたいな…わがままかな…?」
「鶴子ちゃん…」
「ピィィー!ちょっとそこのあなた達!
腕を組んで歩くのはお止めなさい!」
「えっ!」
噂をすればなんとやら!ホイッスルを鳴らし私達を呼び止めたこの強気なオーラ全開の赤いカチューシャをした黒髪ロング美少女こそ、主人公の雛が二人目に攻略しなくてはならない攻略相手!
隣のクラスの風紀委員、多歌宮葉月、その人なのですーー!!
「なっなっなんですか、いきなり…?」
「あなた達の行為は学校の風紀を乱す行為、見過ごせないわ!
今すぐに腕を組むのをお止めなさい!」
「どうしてあなたにそんなこと言わなくちゃ…?あなたは誰です…?」
「アタシは1年C組、風紀委員、多歌宮葉月よ!」
「風紀委員…?」
「よかったぁぁ、出会えて。」
「あんたのツレ、変な反応するわね…?説教されてるのよ…?」
「雛ちゃん…?」
「はっ!なっ何でもないよ!」
「ゴッホン、とにかく腕組みなんて破廉恥な行為はこの学校の風紀を乱すわ!そういうのは高校を卒業してからにするのね!」
「あっえっと…」
(ここから仲良くなるには漫画では…)
「腕組みのどこが破廉恥だって言うんです!」
「鶴子ちゃん!」
「具体的に理由を述べてください!」
「あっちょっと!」
(鶴子ちゃんそんなキャラじゃなかったじゃん!)
「あっアタシが破廉恥だと思うんだから破廉恥なのよ!」
「意味がわかりません!」
「何よ、あんた生意気ね!」
二人は睨み合ってしまった!
「ねぇねぇ、何があったの?」
「あの真面目風紀委員の多歌宮さんと図書委員の鏡原さんが言い合いしてるみたい!」
「あの大人しい鏡原さんがあんなに怒るとこ初めて見たかも!」
「周りが騒がしくなって来たよ…?
そろそろ言い合いはそのぐらいで…?」
「ふん、また明日も腕組んだりハレンチなことしてたら容赦なく注意するからそのつもりで?」
「お好きなようにしてください、従いませんから、行こう、雛ちゃん。」
「えっ、あっうん…」
(葉月ちゃんとせっかく知り合えたのにー!まさか二人がこんな関係になっちゃうなんてー!
漫画では雛の彼女同士、仲良くしてたのにー!)
漫画とは違う展開になってしまい、雛の頭の中は大混乱していた!
「起立、礼、先生、さようなら。」
「さようなら!」
「はい、さようなら。」
「ふぅ。」
(朝は色々あって大変だったけど、何とか一日の学校生活を無事にやり切った…)
「今日の学校も終わった、終わった。
さぁ、部活の助っ人に行くか!」
「まめっち、今日も助っ人に行くんだね?」
「まぁな。」
「あまり頑張りすぎないでね、無理しすぎると体壊しちゃうよ?」
「あはは、そんなことわかってるよ、それじゃ、また明日な。」
兎姫は元気に教室を出た。
「まめっち、もしかして私達に気を遣ってくれたのかな…?」
「だと思う、兎姫ちゃんは友達想いの良い子だから。」
二人は教室を出て廊下を歩いた。
「今日は本当に図書室まで一緒に行くだけでいいの?」
「いつも夕方まで待たせるのは申し訳ないよ。」
「そう?」
「明日、また一緒に登校出来るならそれだけで私は幸せだから…」
「鶴子ちゃん…」
「明日も一緒に登校してくれる…?」
「もちろん。」
「ありがとう…」
鶴子は照れながら手を振ると、図書室のある2階まで階段を上がっていった。
「あんな可愛い子が彼女なんて、未だに信じられないなぁ。」
そんな浮ついた事を考えながら校舎を出ると、校舎裏から聞き覚えのある怒鳴り声が聞こえた。
「何かあったのかな?」
近くまで行き木の陰に隠れてこっそり覗いた、すると校舎裏にあの二人目の攻略相手の風紀委員、多歌宮葉月と見るからに不良少女な三人組が睨み合っていた。
「ここで煙草を吸ってたわね!未成年者が煙草を吸っちゃ駄目なのよ!」
「ケッ、あたいらには関係ないね。」
「そうだ、そうだ。」
「生意気に説教してくんじゃねぇよ。」
「明らかな校則違反だわ!先生に報告しておくから!」
「調子乗ってんじゃねぇぞ、このアマ!」
「きゃっ!」
多歌宮はキレた不良少女の一人に突き飛ばされて、尻もちをついた。
「なっなんてことするのよ!」
「風紀委員だかなんだか知らねぇが、生意気なてめぇが悪いんだよ?」
「姐御、ボコボコにしちゃおうか?」
「それもいいが、こいつ顔と体つきだけはいいからな?襲ってキズモノにした方がいいかもな?」
「確かにいいね、こいつ処女っぽいし、私達で初めて奪っちゃおっか。」
三人は多歌宮に近づいて身ぐるみを剥がそうとした。
「やっ、やっ、来ないで!」
「怖がる顔、可愛いじゃん、そそるわ。」
「今にも泣きそうな顔しちゃって。」
「さっきまでの強気な態度はどこ行ったんだよ?」
「だっ誰か…」
『先生が来たぞー!』
雛(晴南)は大声で叫んだ。
「やべっ!マジか!」
「逃げるぞ!」
「うっす!」
不良少女達はその場を去って行った。
「たっ助かった…?」
「大丈夫!」
そしてすぐに駆けつけた。
「あなたは今朝の…?」
「近くを通ったら不良達に囲まれてるのを見たからさ。」
「じゃあ、さっきの声はあなたが、痛た…」
多歌宮は起き上がる時に足を押さえ痛そうな顔をした。
「怪我したの!」
「さっき倒された時に足を挫いちゃったみたい…」
「だったら保健室に連れて行くよ!」
「へっ平気よ、自分でも歩いて行けるわ…」
「無理しないで!さぁ!」
「えっええ…」
肩を貸して保健室まで連れて行った。
「軽い捻挫だ、湿布を貼っておけば明日には治るよ。」
「よかった、大したことなくて。」
「なんであなたが安心するのよ?」
「あっいや、心配だったから…」
「ふふ、おかしな人。」
多歌宮が初めて笑った顔を見せた。
「多歌宮が笑った顔を見るの初めてだな?」
「ちょちょっと宇崎先生!」
「多歌宮は生真面目すぎて人付き合いが苦手な所あるから、仲良くしてあげてな。」
「はい!」
「恥ずかしいこと言わないでください…」
二人はお礼を言うと保健室を出た。
「流石は漫画でも出てきた保健室の宇崎先生、生徒と距離が近くて優しかった。」
雛(晴南)は感動していた。
「さっきはありがとう…助かったわ…」
「いいよ、気にしないで。」
「あなた、お名前は…?」
「1年A組の愛田雛だよ、雛って呼んで。」
「雛さんね…この恩はいつか返すわ…」
「恩は返さなくていいからさ、一つお願い聞いてもらえるかな?」
「えっええ、何かしら…?」
「私とお友達になってくれませんか?」
「とっ友達…?アタシと…?」
「うん。」
「いいわよ…?こんなアタシでよければ…?」
「やったぁ。」
連絡先を交換しようとしたが、多歌宮は校則だとスマホを持ち歩いていなかったので、互いの電話番号を書いた紙を渡し合った。
「言っておくけどアタシなんかと友達になってもいい事ないわよ…?みんなから嫌われてると思うし…?」
「私は多歌宮さんと友達になれて嬉しいよ。」
「あっあっそ…失礼するわね。」
「またね。」
「また…」
顔を赤くしつつ多歌宮はその場を去った。
「くぅぅぅ!」
漫画とは展開がまるで違うけどいい感じにスタート出来ました!ここから攻略相手二人目、多歌宮葉月の攻略の開始ですーー!




