第七話 私、夢は百合ハーレムを作る事だと話した。
恋人関係になった雛(晴南)と鶴子、いつもと違う雰囲気にお互い緊張しつつ、夕暮れの通学路を歩いていた。
「いつもと同じ道を歩いてるはずなのに、 緊張するの、私だけかな…?」
「私も緊張してる…」
「そっか、一緒だね…」
「だね…」
すると鶴子から手を繋いできた。
「鶴子ちゃん…?」
「恋人同士だし繋いじゃ駄目かな…?」
「駄目じゃない、駄目じゃない!」
「よかった。」
流れで肩もくっつけてきた。
「ゴクッ。」
(かっ可愛いすぎる!私、こんな可愛い子を恋人にしたのか!)
「私、幸せだな。」
「そっそういえば豆っちは先に帰ったの…?一緒に帰るって教室出たはずだよね…?」
「あっうん、急ぎの用事があるって…」
「そうなんだ…?」
校門を出る前、スマホに兎姫からメッセージが来ていた。
[告白成功おめでとう、うちは先に帰るから二人で帰りな。また明日学校で(ニッコリマークの絵文字)]
(私が勇気を出して告白出来たのは兎姫ちゃんのおかげ、今度お礼しなきゃ。)
「あっあのね、鶴子ちゃん…?伝えておかなきゃならない事があるんだ…?」
「伝えておきたいこと?」
「心を落ち着かせて聞いてね…?」
「うっうん…?」
「実は私には夢があるんだ!」
「夢…?それってどんな…?」
「色んな女の子と付き合っていっぱいの恋人を作ることです…」
「えっ!」
「そして目標は5人…」
「しかも5人も!」
「そりゃ驚くよね…?」
「そんな夢があったなんて…?」
「幻滅した…?」
「しない、しないよ!確かにショックなことではあったけど、幻滅なんかしない!」
「私の夢を許してくれるの…?」
「許すも許さないもないよ、大好きな雛ちゃんがそうしたいなら私はそれを応援するだけだから。」
「あっありがとう…」
ほっ、よかったぁ、受け入れてくれるシーンは漫画とほぼ同じ流れになりました。漫画では告白されるのは二週間後だったし、さらに告白されたのが雨の中の通学路じゃなくて校舎裏だったので、もしかしたら漫画と違う展開になり受け入れてもらえないんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてましたから。
「そのかわり…」
「えっ?」
「チュッ。」
鶴子は雛(晴南)の顔を手で引き寄せると頬に軽くキスをした。
「なっなっなっ!」
「その中で私が一番じゃなかったら許さないんだからね…?」
「ひゃ、ひゃい…」
「顔を赤くしちゃって可愛い…」
「言っ言わないで…」
「可愛い…」
「つっ鶴子ちゃん…」
(なんか漫画より鶴子ちゃんが積極的になっちゃってるーー!)
「雛ちゃん、大好きだよ…」
「あっうん、私も大好き…」
「嬉しい…」
予想してなかった展開!でもこれは漫画ファンの私にしたら喜ばしいハプニングかもしれません!漫画では見られなかった鶴子ちゃんを見られるんですから!
「えっ、鶴子さんを攻略出来た…?本当なの…?」
「本当、本当。」
「そっそっか、おめでとう…」
「えへへ、ありがとう。」
そして雛(晴南)は晩御飯を食べた後に紅茶を飲みながら、琴梨に最初の攻略を達成したことを伝えた。
「前に聞いてた話では漫画の展開だと告白されるのに二週間後ぐらいはかかるって言ってたよね…?」
「確かに自分でも驚いてるよ、漫画にはなかった展開だったから、一時はどうなるかと焦った〜。」
「まさか攻略相手じゃない人からもラブレター貰ったなんて…」
「雛が美人だってこともあるだろうけど、もしかして私って女の子にモテる百合漫画の主人公としての素質があったりするのかな〜。」
「調子に乗ってばかじゃないの…」
「えっ?」
「もう寝るから…」
「琴梨ちゃん!」
二階に行ってしまった。
「昨日といい、私、また琴梨ちゃんを怒らせちゃったのかな…?」
流石に心配になり、寝る前に琴梨の部屋に向かい、扉にノックをして話しかけた。
「あっあの、私、昨日といい、何か怒らせちゃうことでもしちゃったのかな…?
もししてたなら謝りたいんだけど…?」
しかし返事はなかった。
「返事もくれないくらい怒ってるんだね…何で怒ってるのかはわからないけど、ごめんなさい…」
雛(晴南)は謝ると自分の部屋に戻って行った。
「私、何を怒ってるんだろう…お姉…晴南さんは何も悪くないのに…」
琴梨は罪悪感に耐えきれなくなり、雛(晴南)の部屋にやって来ると扉をノックして話しかけた。
「晴南さん、まだ起きてる…?」
すると扉を開けて、中に迎え入れてくれた。
「えっと、琴梨ちゃん…?」
「二日続けて冷たい態度取ったりしてごめんね…」
「ううん、私は気にしてないよ、でもどうして?出来たら理由を聞かせてくれるかな…?」
「私にもよくわからないの…」
「わからない…?」
「なぜか晴南さんの攻略が上手くいってるって聞くたびにイライラというか、胸の奥がざわついて…」
「えっ…?」
「でもどうしてそんな風になるのか、わからなくて…」
「それって多分…?」
「わかるの…?」
「嫉妬じゃない?」
「嫉妬…?」
「あっうん、きっとお姉さん、つまり雛が誰かに取られるのが嫌なんだよ。」
「どっどうして…?」
「それだけ琴梨ちゃんが妹としてお姉さん、雛が大好きなんだと思う。」
「そうなのかな…?」
「羨ましいな、雛は。」
「羨ましい…?」
「姉想いのこんな可愛い妹がいるんだから。」
「からかわないでよ…」
「えー、私は真面目だよ?」
「ふっふ、その発言がバカみたい。」
「もう。」
「はぁぁ、なんか打ち明けてスッキリした気がする。」
「よかった。」
「せっかく部屋に来たし、今日一緒に寝てもいい…?」
「あっうん、いいよ。」
「ありがとう。」
琴梨はすぐに眠りについた。
「琴梨ちゃん、ごめんね…きっとあなたは私に…」
切ない表情で頭をそっと撫でた、するとスマホにメッセージが届いた。
「鶴子ちゃんからだ?」
−メッセージのやりとり−
[雛ちゃん、まだ起きてる…?]
[起きてるよ。]
[少しお話したいの、いいかな…?]
[もちろん、いいよ。]
[ありがとう(鶴の絵文字)]
琴梨を起こさないようにと部屋を出て、廊下でメッセージのやりとりをした。
[雛ちゃん、今日は私の告白を受け入れてくれて
ありがとう、嬉しかったよ…]
[私こそ、告白してくれて嬉しかったよ(ニッコリマークの絵文字)]
[でも本当にいいの…?こんな私が雛ちゃんの彼女になって…?]
[えっ?どうして?]
[私、可愛くなくて目立たない子だし…美人な雛ちゃんの彼女に相応しいのかどうか、不安で…」
[そんなことないよ。]
[えっ…?]
[鶴子ちゃんは可愛くて凄く優しい素敵な女の子だよ?私は鶴子ちゃんと付き合えて幸せ者だって思ってる。]
[雛ちゃん…]
[私の彼女になってくれてありがとう(キラキラの絵文字)]
[私こそ、幸せ者だよ、雛ちゃん、大好き(ハートの絵文字)]
[私も大好き(ハートの絵文字)]
それからしばらくメッセージを続け、深夜の十二時を過ぎた所で終わりにした。
「やっぱり今の鶴子ちゃん積極的だな、漫画だと恋人になってからメッセージを送るのが照れくさくて送れなかったはずなのに。いいな、新たな一面って感じだ。」
雛(晴南)は満足な顔をすると自分の部屋に戻った。
「スゥゥ、スゥゥ…」
「だけど浮かれてもいられないよね、この子は以前の世界に帰りたいんだから…あと残る4人の攻略相手もちゃんと攻略しなくちゃ…」
「晴南さん…」
「寝言か、可愛い。」
「お姉ちゃんのはずなのに…ドキドキする…」
「琴梨ちゃん…」
「この感情って何なの…?」
「それはね、恋って言うんだよ…」
起こさないように小さな声で答えると切なく微笑み眠りについた。




