第三話 私、主人公として女神に会った。
「はぁぁ、気持ちいい。今日一日の疲れが取れる…」
琴梨は晩御飯を食べた後、お風呂に入っていた。
「しかし、おねえちゃんに転生した晴南さんって人…
まさか、あんなに料理を作るのが上手だったとは…?」
−ついさっきの会話−
『出来たよ〜私、特製のデミグラスソースのハンバーグと野菜スープ、温かいうちに召し上がれ〜。』
『頂きます…パクッ。』
『どうだ?』
『何これ、美味しい!まるでお店の味みたい!』
『喜んでくれたみたいでよかった。』
『晴南さんって料理上手なんだね?』
『私の両親は共働きでね、一人っ子だったしよく家の家事したりとかご飯作ってたんだよね。』
『だからこんなに上手なんだね、偉いじゃん…?』
『そんなことないって、琴梨ちゃんは料理とか家事とか出来たりする子?』
『ギクッ!どっちも苦手だけど…わるい…?』
『わるくない!わるくない!じゃあ、家の事は全部、私がやるから、安心してね。』
『うん、よろしく…』
−お風呂場の場面に戻る−
「ブクブクッ、ぷはぁ。 なんか同じ女として悔しいから家の事、出来るようになろう…」
「琴梨ちゃん、聞こえる?」
「なっ何!」
「あまり長風呂すると、のぼせるからほどほどにね。」
「言われなくてもわかってるっば…?」
「それならいいの、それとお風呂上がりにプリン食べない?私の手作りだけど?」
「食べる…」
「えっ?何て?」
「食べるってば!」
「わかったよ、すぐに食べれるように用意しておくね。」
「ブクブクッ、ぷはぁ。 姉というよりお母さんじゃんか…」
その後、少ししてお風呂を上がり雛(晴南)が用意した絶品プリンを食べた。
「美味しい!」
「琴梨ちゃんは本当に幸せそうに食べるから作った甲斐があるよ。」
「人の顔をじろじろ見るな…?」
「あっごめん、ごめん。」
「いつもより静かだな…」
「どうしたの?」
「いつもはお母さん達が居間にいるからやっぱり今は私達、二人しか居ないんだと思って…」
「寂しい…?」
「ストレートに中学生にそれ聞く…?」
「私は一人っ子だし、この時間、家で一人なのは慣れてるからそういうのよくわかんなくて…」
「・・・・・正直、言えば寂しいよ…でも完全に一人じゃないから平気…」
「本当?」
「転生して中身が違うとはいえ…お姉ちゃんが居てくれてるから…」
「そっそっか、琴梨ちゃんはお姉ちゃんのことが好きなんだね。」
「そっそりゃ好きかと言われれば好きだよ…
私のお姉ちゃんだもん…」
「ああ、尊い言葉、頂きましたぁ。」
涙を流して感動していた。
「なっなんで泣いてるの…?」
「あっいや、気にしないで、感動してるだけだから。」
「意味わかんないの…?まぁでも勘違いしないでよね?私が好きって言ったのはおねえちゃんにであって、晴南さん、あなたにじゃないんだから?」
「それぐらい、わかってるよ、でもよっぽどに寂しいって思ったら今日は一緒に寝てもいいからね、姉妹なんだし?」
「晴南さん?」
「すっすみません、調子に乗りすぎました…」
「もう。」
それから少し雑談したら、雛(晴南)もお風呂に入って、それぞれ寝支度を済ませたら二人は二階に移動した。
「じゃあ、おやすみ、琴梨ちゃん。」
「あっ待って!」
「どうしたの?」
「えっと…あの…その…変なこと絶対にしないって約束するなら… 今日ぐらいは一緒に寝てあげてもいいかなって…?」
「何だ、一緒に寝たいんじゃない。」
「うっうるさい、今日だけ今日だけだから!
そのかわり少しでも変なことしたら容赦なく殴るからね、そのつもりで!」
「わかった、約束する。」
「絶対だよ…?」
雛の部屋のベッドで二人で寝ることにした。
「えへへ、嬉しいな、こんなに早く姉妹百合が叶うとは。」
「なんか言った?」
「あっいや、何でもない。」
「よく考えたら、おねえちゃんと一緒に寝るのも小学生以来だな…」
「そうなの?てっきり姉妹ってよく一緒に寝てるイメージがあったんだけど…?」
「よそはわからないけど私達は小学生までだよ。
確か小学三年生までかな、それ以降は私がもう子供じゃないって寝るのをやめたんだ。」
「そっか、じゃあ、今日はどうして一緒に寝ようって?」
「もう、最初にあなたから言ってきたんでしょう?一緒に寝ようって?」
「そっそうだったね、あはは、あはは…」
「もう、だけどありがとう…」
琴梨は途中を小声で言った。
「えっ?何か言った?」
「何も言ってない。」
「そう…?あっ寝る前に聞いて欲しいことがあるんだ。」
「聞いて欲しいこと…?」
「眠りについたら、夢で神殿に行くことになるんだ、きっと琴梨ちゃんも行くことになると思う。」
「神殿…?」
「そこでこの世界の女神と会うことになるから。」
「この世界の女神…?訳わかんない、もう寝ぼけてるの…?」
「そっそうじゃなくて、まぁ実際、会ってみればわかるよね、いちようそれだけ覚えておいて。」
「よくわかんないけど、わかった…」
「うん。」
「おやすみ、晴南さん…」
「おやすみ、琴梨ちゃん…」
それから琴梨は疲れからかすぐに眠りについた。
「琴梨ちゃん、寝顔可愛いな…」
「おねえちゃん…」
「えっ?」
琴梨は寝言を言いながら胸に抱きついてきた。
「可愛い…前世でもこんな妹が欲しかったな…」
そっと抱き返して眠りについた。
《いいわねぇ…姉妹百合…尊いわぁ…》
そしてそんな二人を神殿にある高貴な椅子に座り水晶から見ていた美女が居た。
《わたくしが導いた愛田雛…それに偶然、付いてきた妹の琴梨…いいわぁ…素敵な物語が始まる予感…今から会うのが楽しみよ…》
−それからしばらくして琴梨は目を瞑り体育座りで不思議な空間を漂っていた−
《目覚めなさい、わたくしに選ばれし、少女の妹、愛田琴梨…》
「何だろう、さっきから名前を呼ばれてる気がする…」
《目覚めなさい。》
「んっ…えっ?えっ!?こっここってどこ!?」
目を開いたら、そこは神殿のような建物の中でさらに壇上にある黄金の椅子に白い羽根を持ち神々しい光を放つ金髪の綺麗な美女が座っていた。
《やっと目覚めたわね、何度問いかけたことか。》
「あっあなた誰ですか…?」
《オッホンッ、教えてあげるわ、わたくしは…》
「女神様だよ。」
「晴…いやおねえちゃん、居たの…?」
「琴梨ちゃんがここに来る少し前にね。」
「そうだったんだ、というより、この人が女神様って…?」
「この方こそ、私達を女しか居ない世界に呼んだ張本人なんだよ。」
「えっ!?本当ですか!?」
《ひどい〜!わたくしが言う前に正体をネタバレするなんて〜!》
「あはは、ごめんなさい、つい…」
《最初からわたくしのこと知ってたみたいだし
雛、あなたはもしかして能力者か何かなの?》
「そうじゃないですけどね…」
《なんか怪しいわね?》
「ちょっとすみません!」
「えっ!」
琴梨が後ろに向かせて耳打ちして尋ねた。
「女神様は晴南さんがおねえちゃんに転生してること知らないんですか…?」
「うっうん、だから内緒にしてるんだ…?」
《何を二人だけでヒソヒソ話してイチャついてるのかしらー?》
「イチャイチャって!」
「なっ何でもないです。」
《なんか引っかかることもあるけど、まぁいいわ。
この空間へあなた達を呼んだのは、ほかでもないの、あなた達が元いた世界に帰るために果たさなければならない試練を与えるためよ!》
「私達が元いた世界に帰るために果たさなければならない試練、それって…?」
《フッフッフ…そ・れ・は・ね…》
「ちょっと待ってください!」
「えっ?」
《もう〜!また邪魔して〜!
そんなにわたくしを怒らたいのかしら〜?》
「ちっ違いますよ!でも少し待ってください!
琴梨ちゃん?今から女神様からとんでもなく驚くことを言われると思うからそのつもりでいい?」
「えっ?あっうん、わかった…?」
「じゃ、続きをどうぞ!」
《さっきからわたしくのペースを乱されてる気がするけど、まぁいいわ。
オッホン、気を取り直して、今度こそ発表するわよ?》
「ゴクッ、はっはい。」
《あなた達が元いた世界に帰るために果たさなければならない試練はたった一つ!それは…》
「そっそれは…?」
《愛田雛、あなたがわたしくの厳選して選んだ5人の女性を攻略し恋人にして、最高の百合ハーレムを作ることよ!》
「えっ?えっーー!?」
「わかりました、必ず試練を果たしてみせます!」
「そして即答するの!?」
《まぁ!そのやる気に満ち溢れた瞳、嬉しいわ!同性同士の恋愛だから戸惑うかと思ったのに!》
「私の好きな漫画の展開ですから!」
《好きな漫画の展開?何のことかしら?》
「はっ!何でもないです、こっちの話ですから…」
《そう?》
「お姉様〜お茶会の準備が出来ましたよ〜。」
天使の輪っかと白い羽根のある胸の大きな金髪の美少女が現れた。
《グッドタイミングね。二人とも試練を受け入れてくれた記念として今からお茶会をしない?》
「お茶会ですか…?」
《美味しいお菓子や紅茶をご馳走するわ、現実で起きるのが遅くなるとは思うけど。》
「私は構いません!」
《よかった、琴梨は?》
「いいですけど…?」
《じゃあ、決まりね、着いてきてちょうだい。》
女神様の後に着いて行った。
「苺のお菓子あるといいね。」
「そっそれよりおね、晴南さん…?前に私達が漫画の登場人物だって言ってたけど…?
さっきの話からするにもしかして漫画って…?」
「あっうん…想像してる通りだよ、百合漫画…」
「はっはっ、やっぱりか…よく考えてみたらそうだよね…?
女しか居ない世界に来た時点でそれしかないか…」
「驚いたよね…?」
「そっそりゃ驚くよ!自分が漫画の登場人物だってだけでも驚いてたのに、それが百合漫画だったなんて…」
「もしかしてそういうの嫌だった…?」
「そんなことはないけど…私も漫画雑誌で読んだこともあったし、抵抗はあまりない…」
「よかった、それを聞けて安心したよ。」
《着いたわ、ここよ。》
そこは広々とした薔薇園だった。
「漫画でも綺麗に描かれてたけど、実際に見えると凄いなぁ。」
「綺麗…」
そしてガゼボに設置されたテーブルに豪華なアフタヌーンティーセットが用意してあって、主なデザートが苺を使用したものばかりだった。
「はわぁ。美味しい〜。」
「本当にね。」
《ウフフ、遠慮せずに食べてね。》
「でもこんなに苺のデザートばかりどうして…?」
《あなた達が苺好きなのは知ってるから、苺を使ったデザートを作ってもらったわ。》
「腕によりをかけましたよ。」
「これを全てあなたが作ったんですか?」
「お菓子作りが大好きなんです。」
《紹介が遅れたわ、この子はわたくしの部下にして実の妹のセリーヌよ。》
「セリーヌです、今後ともよろしくお願いしますね。」
「こっこちらこそ…?」
「漫画と同じく可愛くて礼儀正しいなぁ。」
「漫画ですか…?」
「あっいや、気にしないで!」
「晴…お姉ちゃんったら…?
でも食べ過ぎたら太るかもな…」
《それなら平気よ、ここはあなた達にとっては夢の中、いくら食べても太らないから。》
「なっなるほど…?」
「よかったね。」
「そっそれはそれとして聞きたい事があるんですが?」
《何かしら?》
「私もこの世界に来たからには晴…いや、おねえちゃんみたいな試練をやるってことですか…?」
「あっそっか!どうなんですか、女神様?」
《そのつもりはないわよ?》
「えっ!」
《試練をやるのは雛、あなただけよ?》
「私には試練はないんですか…?」
《簡単な話よ?本来、平行世界に呼ぶつもりだったのはあなたのお姉さんの雛だけであなたは偶然にも一緒に来ちゃっただけだし、試練を与える事もないかって。》
「じゃあ、私はどうやったら元の世界に帰れるんですか…?」
「だっだよね…?」
《さっき言ったじゃない?あなたのお姉さんが試練を果たせたら元の世界に帰らせるって、それはあなたも一緒って意味よ?》
「そっそうだったんですか…」
琴梨は冷静さを取り戻した。
「心配しないで、私が試練を果たして琴梨ちゃんを元の世界にちゃんと帰してあげるから。」
「晴…おねえちゃん…」
「任せて。」
《あら姉妹で良い雰囲気じゃない、まるで恋人同士みたい。》
「なっ…」
「恋人同士じゃありません!」
雛(晴南)は顔を赤く、琴梨はさらに真っ赤にして怒った。
《ウフフ、まぁでも、あなたがどうしてもお姉さんと同じ試練をしたいって言うなら、わたくしは喜んで試練を与えてもいいのよ?》
「遠慮しておきます…」
《あら、つまらない、もっと楽しめると思ったのに。》
「あの…?それじゃまるで試練が女神様が楽しむためだけのためにやるみたいじゃないですか…?」
《ええ、そうよ?》
「即答ですね…?」
《だっていいじゃない!百合!女性同士のイチャイチャ!見てるだけでキュンキュンしちゃうもの。》
「ですよね!ですよね!女の子同士のイチャイチャは神ですよね!」
《まぁ!雛、あなたわかってるじゃない!》
「もちろんです!私も百合大好きですから!」
《同志ね!》
「同志です!」
女神様と雛(晴南)は目を輝かせて手を握りあった。
「息が合ってるな…?」
「お姉様は超がつくほどの百合好きなんですよ、百合がいっぱい見たいからって女の人しか居ない世界を作ったぐらいですから。」
「あはは、あの世界ってそういう理由で出来たんですか…」
(この中だとなんか私が浮いてる気がする…)
《あら、そろそろあなた達のどちらかがあの世界で目覚めそうな気配よ?》
「そうなんですか…?」
「もっと語りたかったのに。」
《また会う時に話しましょう?時間もあまりないから、もう一つ伝えなきゃならないこと伝えるわね。』
「まだあったんですね…?」
「あっそっか、あの事をまだ聞いてない。」
《あなたに攻略して欲しい女性は厳選してすでに決めてあるの、その記念する最初の一人目を伝えるわね?》
「はい!」
「なっなるほど…?」
《ウフフ、いい返事ね、最初だから難易度を少し優しくしてあるわ。雛、あなたの攻略対象、最初の一人目は!》
「ゴクッ。最初の攻略相手は…?」
《鏡原鶴子ちゃんよ!》
「鶴子さん!?おねえちゃんの幼馴染のあの鶴子さんですか!?」
《ええ、その鶴子ちゃん!》
「わかりました!」
「だから即答しすぎだって!鶴子さんはお姉ちゃんの幼馴染で大切な親友なんだよ!」
「漫画読んでるから知ってるよ。」
「あっ、そっか、知ってるんだったね…?」
「漫画で雛は幼馴染の鶴子ちゃんを攻略してたし、攻略の仕方もちゃんとわかってる、だから安心してよ。」
「私が心配してるのはそこじゃないんだけど…?」
「女神様!私、必ず鶴子ちゃんを攻略してみせます!」
《すごい自信あるみたいね、楽しみに見てるわ、頑張ってちょうだい。》
「頑張ってくださいね。」
「はい!」
「もう〜!私はどうなっても知らないから〜!わっ!」
そして琴梨はベッドから床に転げ落ちた。
「痛てて…はっここは!お姉ちゃんの部屋だ…?
そっか、今の衝撃で起きたのか…おね…晴南さんは…?」
「えへへ…」
「まだ寝てる…」
「絶対に鶴子ちゃんを攻略するんだから…」
「あはは、寝言までそれか…でも…」
"心配しないで、私が試練を果たして琴梨ちゃんを元の世界にちゃんと帰してあげるから。"
「お姉ちゃんの姿でそんなかっこいいセリフ言うなよ…」
琴梨は頬を赤くして眠る姿を見ていた。




