第二十五話 私、海の家の手伝いをやり遂げたよ。
雛(晴南)の三人目の攻略の成功と琴梨と岬が付き合ったというダブル重要展開があった日から気がつけば5日が過ぎ二週間限定の海の家は閉店、無事に手伝いは終了したのだった。
「鶴子さん達には明日帰ること伝えたの?」
「あっうん、伝えたよ、二人とも会いたがってた。」
「まぁ、そりゃそうだよね、三人目の彼女が出来たって言ったら二人とも驚くんじゃない?」
「漫画で驚いてました。」
「だろうね。」
琴梨にはちゃんと三人目を攻略したことはその日に話してあった。
「みんな、二週間、ほんまにありがとう。みんなの手伝いのおかげで引き継いだばかりの期間限定の海の家を回すことが出来た。ほんまに感謝してる…うぐっ…」
«あはは。»
「おいおい、泣くのは早すぎるやろ、姉貴?」
「そうよ、乾杯の音頭がまだよ?」
「せやったな、みんな、カンパーイ!」
«乾杯ー!»
最初にここに来た時と同じようにバーベキューをした。しかし最初と違うこともある、水琴の彼女も参加したことだ。彼女は水琴と仲直りの後から今日まで店の手伝いをしてくれていたのだ。
「よく見たら二人とも指に指輪してるな?」
「あっ本当ですね。」
「本物の指輪じゃないらしいけどな、大学卒業してここに彼女さんが戻ってきたら、ちゃんとした指輪を買って結婚式もする予定らしいで。」
「ちょおま、話しすぎやで。」
「自分から惚気てきたくせに?」
「そうなの?」
「うっうちはそんなん知らん…」
«あはは。»
「皆さん、水琴の海の家を手伝いに来てくれて本当にありがとうございました。」
«いえいえ、そんな!»
「お礼なんかいいぞ、みんな、楽しかったもんな。」
「豆山先輩の言う通りです、いい経験になりました。」
「私もお客様に料理を美味しいって言われて嬉しかったです。」
「わっ私も!失敗ばかりで役に立てたかはわからないけど…」
「役に立ってたわよ、琴梨さんのドジっ子接客、お客様に大人気だったじゃない?」
「それ、嬉しくないやつです〜!」
「そうだったのね、ごめんなさい?」
«あはは。»
そしてその日の夜、水琴と南はそのまま夜のデートへ、さらに雛(晴南)は攻略した相手である鴎に誘われて、テントで一緒に寝ることに。
「家から少し大きめのテントを持ってきて正解やったで、二人でも寝られるもんな。」
「あはは、だね。」
(漫画ではなかった展開で正直、緊張してるけど…)
「ここは二人だけの空間や、誰も邪魔してこないし見てないさかい、好きな事が出来る。」
「好きな事…?」
「ほんまはわかってるくせに…?」
「なっ何を?きゃ!」
鴎は雛(晴南)を押し倒して、腰に乗っかった。
「ワテら遠距離恋愛やろ、そう簡単には会えん。明日帰ってしまうんや、だから◯ッチしよ。」
「だっだっだっ駄目だよ!」
(早く攻略した影響はこれだったかー!)
「何でや?ワテらもう恋人同士やろ、それなら普通するやん?ほかの付き合ってる二人ともしてるやろ?」
「しっしっしてませんから!」
「なんやしてへんのか?」
「だっだっだってまだ未成年だよ…?」
「んなもん、誰にも言わなきゃセーフやん。」
「そっそれに子供とか出来たらどうするの!」
「ひよとの子供なら喜んで産むで。」
「なっ…」
(そんな真っ直ぐな目で言わないで…)
「ひよは違うんか?」
「そっそれは…」
(この体は主人公の雛のもので、この子のバージンをあげていいはずが…それに前世でもしたことないのに…?)
「それかするの初めてだから怖かったりするんか?」
「そっそれもあるけど…」
「安心せえ、ワテも初めてさかい。初めて同士、ドキドキしながらやろうや。」
鴎は止まらず、上着を脱いでスポブラ姿になった。
「はわわぁぁ…」
「ワテの初めてを捧げたる。」
「まっまっ待って…?」
「おーい、遊びに来たぞ!」
雛(晴南)が服を脱がされそうになっていたその時、タイミングよく兎姫が遊びに来た。
«あっ…»
「お邪魔だったか?」
「そっそんなことないよ!」
「そっそや。」
「あはは、隠さなくていいぞ、おまえら付き合ったんだろ?」
「えっ…?」
「どうして知ってるんや…?」
「勘だよ、勘。」
«そう…?»
「おやつと飲み物持ってきたし、外でお喋りしないか?」
「いっいいよ!」
「先に待っとき、服着るから!」
「ほーい。」
兎姫はテントを離れると、二人は苦笑いをした。
「ねっ、人来るでしょう…?」
「せやな、ここで◯ッチな事するのはやめとくわ…」
鴎が服を着直すとテントを出て、兎姫と店の階段に座り、お喋りを始めた。
「ふぃ、夜に飲むココアは格別だよな。」
「だっだね。」
「というかこんな夜遅くになんやねん?そもそもあんたがワテのテントを尋ねてくるなんて初めてやし?」
「それもそうだね、何かあった?」
「琴梨達の邪魔したくなかったからな。」
「琴梨ちゃん達の邪魔?」
「何やそれ?」
「ふっ、うちから話すことじゃないよ。」
«んっ?»
察しのいい兎姫だけは気づいていた、琴梨と岬が付き合ったことを。そして当の本人達は…
「豆山先輩、出掛けちゃったね?」
「うるさくしちゃったかな…?」
「それか気を遣わせちゃったとか?」
「私達が付き合ったこと言ってないのに…?」
「それもそうか。」
「どっちでもいいや、これで心置きなくキス出来るから。」
「琴梨、キスするの大好きだね、キス魔だったのかな?」
「むうっ、じゃあ、キスしない。」
「冗談、冗談、私も琴梨とキスするの大好きだよ。」
「その言い方恥ずかしくなるんですけど…?」
「ふっふ、じゃあ、しよ?」
「うん…」
琴梨と岬はキスをした。
«ぷはぁ…»
「これで計六回目のキスだね…」
「数まで言わなくていいから…」
「誰も居ないし、この先する…?」
「まっまだ私達、中二だよ…?」
「だっだよね、もっと大人になってからにしようか。」
「大人になってからか…」
「琴梨…?」
「キスしたい…」
「いいよ。」
琴梨は考えていた、自分はこの世界の人間じゃない、雛(晴南)が攻略を全て達成したら、元の世界に帰ることになる…つまりそれまでの間しか岬と恋人で居られないということに…その複雑な感情を打ち消したい琴梨は岬を求めるのだった…
−場面は戻り、店の外の三人−
「それより水琴さんは今ごろどうしてるんだろうな、彼女さんとイチャイチャしてんのかな?」
「まめっち!」
「ええって。きっとそうやろうな、今ごろラ◯ホテルとか行ってのとちゃうか。」
「鴎ちゃんはストレートすぎだよ…?」
「いいな、みんな恋愛してて、うちも恋愛したいな。」
「えっ…?」
(漫画ではまめっちにそんなセリフなかったはず…?)
「すればええやん、好きな人とかおらんの?」
「強いて言えば"この世界のみんな"が好きかな。」
「この世界のみんな…?」
「ハハハッ、なんやそれ、博愛主義者かなんかかいな?」
「かもしれないな。」
「まめっち…?」
少しの謎を残しその日は終わった。そして次の日、帰る日が来て、水琴、南、鴎が新幹線の改札前まで見送りしてくれたのだった。
「みんな、忘れ物はないか?」
«ありません。»
「ないぞー。」
「気をつけて帰ってね。」
「学業頑張るんやぞ?」
«はい。»
「水琴さんだと説得力があまりないな?」
「ほんまやで。」
「なんやと〜?」
«あはは。»
「ひよ、これを。」
雛(晴南)は手作りの腕輪をもらった。
「おまえにしては乙女チックなプレゼントやな?」
「もう、一言余計や!」
«あはは。»
「ありがとう。」
(漫画でくれてたやつだぁぁ!嬉しいぃ!)
「あっあとこれもや。」
「えっ?」
手紙も貰った。
「これは…?」
「恥ずかしいから出来れば一人で見てな…?」
「わっわかった…?」
(手紙は漫画ではもらってなかったはず…?)
「ほう?」
それから三人に手を振ると新幹線に乗った。
「本当に夏休みのいい思い出になったね。」
「うん、あっでも帰ったら宿題やらなきゃ…」
「手伝ってあげるよ、一緒に宿題やろ?」
「いいの!」
「彼女が困ってるんだから、当然じゃん…」
「岬ちゃん…」
二人はひじ掛けの下で手を握り合った。
「そういえばひよっちが鴎さんから貰った手紙は読まなくていいのか?」
「一人で読んでもらいたいって言われたしな…?」
「うちらが見なきゃいいだけだろ、なっ?」
「あっはい?そうですね?」
「安心してください、私も見ませんよ。」
「じゃあ…」
雛は鴎の手紙を開いて読んだ。
〈これから遠距離恋愛をする愛しい彼女、愛田雛へ、住んでる町へ帰れば、待っている二人の彼女とイチャイチャする事でしょう。
ワテはそれは三人目の彼女として大目にみます。
ですが、ワテより先にその二人の彼女のどちらかと◯ッチして子供作ったら絶対に許さへんからな!
ワテが最初や!約束やぞ!わかったな!
PS、あと長い休みでかまへんから、会いに来てください、めっちゃ愛してます。恋野鴎。〉
「すごい文面だなぁ…」
「あはは、物凄い顔、どんな文面なんだ?」
「気になるね…?」
「うっうん…?」
雛(晴南)は思った、今回は好きな漫画のキャラに新たな属性はつけなかったものの、キャラの個性をある意味で濃くしてしまったなと。でもどちらにせよ、雛(晴南)は三人目の攻略を達成した。女神の試練、百合攻略はあと二人だ。




