第二十二話 私、主人公として海で遊んだ。
水琴の計らいで海の家を早く閉めて午後を自由時間にしてもらい、海で遊ぶために更衣室で水着に着替えた。
「じゃーん、どうだ!似合うか!」
「豆山先輩、子供っぽいですね。」
「何だー?うちと同じペチャパイのくせにー?」
「誰がペチャパイですか!」
「お待たせしました。」
「待たせて、ごめん。」
ちょうどよくスタイル抜群の雛(晴南)と岬が水着に着替え終わってやって来た。
「まっ負けた…」
«えっ?»
「うんうん、気持ちはわかるぞ、これが格差社会ってやつだ。」
凹む琴梨の肩に手を置いて頷いた。
「どういう意味でしょう…?」
「あはは、触れないであげて…?」
(前世の頃の私なら気持ちわかるからな…?)
そして少し遅れて鴎も水着で来た。
「待たせて、すまん…?」
「よかった、まだ仲間がいた。」
「よかったな。」
「何の話かわからんけど、妙にむかつくな…?」
「あはは、とにかく水着に着替えたし、さっそく海に行こうか。」
«おー!»
「おっおー?」
まずは遊ぶ前にビーチパラソルの下、日焼け止めを塗ることに。
「はい、琴梨、塗り終わったよ。」
「ありがとう。」
「スベスベな肌だった。」
「かっ感想とかいらないから…」
「じゃあ、次は私、頼むね。」
岬が水着の紐を解いてうつ伏せになった。
「ゴクッ…」
「なんかエロいな?」
「ですね、って何を言わせるんですか!」
「あはは、そう思ったくせに?」
「もっもう、次は兎姫さんの番ですからね?」
「うちは塗らなくていいぞ、日焼けする派だし。」
「似合いそうですもんね…?」
「あっちはどうしたろうな?」
「ああ…」
岬の背中に日焼け止めを塗りながら、切ない表情で隣のパラソルを見た、雛(晴南)と鴎が居るのだ。
「塗ったよ…?」
「おっおう、今度はひよやな?」
「お願いするね…」
雛(晴南)は顔を赤くして水着の紐を解きうつ伏せになり、日焼け止めを塗ってもらった。
「なぁ、ワテ、ほんまに遊ばなくちゃあかんか?みんなで遊ぶって正直、照れくさくて苦手やねん…」
「水琴さんからも言われたでしょう?みんなと距離を縮めるチャンスじゃない。」
「せやけど…いや、そうやな、尻込みなんて性に合わん、ワテ、頑張ってみる。」
「鴎ちゃん。」
(漫画とは少し違うけど、これもアリですよね、にゃんにゃん先生。)
すると兎姫がクシャミをした。
「ひよも居てくれるしな。」
「あっうん。」
(まぁ、前世の私は海に来たことなかったんだけどね…?水着で歩くの慣れてなくてちょっと恥ずかしいし…?)
「そう考えたら楽しみになってきたで。」
「ひゃっ!」
「すまん、なんか変な塗り方したか?」
「へっ平気…」
(さらに日焼け止め塗るのも塗ってもらうの初めてだから、緊張とドキドキでやばい…)
そして兎姫以外の全員が日焼け止めを塗り終わり、準備体操をちゃんとして遊び始めた。まずは海で泳ぎ、プッシュ式やピストルなどの玩具の水鉄砲で水の掛け合いをしたり、ペアを入れ替えで組んでビーチバレーをやったり、さらには砂の城を作ったり、ビーチフラッグまでした。はしゃぎすぎたのか手伝い後なのに体力を使いすぎてバテてるみんなに水琴からスイカの差し入れがあって、スイカ割りもやり、目隠しして木刀で割る担当をジャンケンで琴梨に決まり見事に成功。そのスイカを食べた。
「美味しい!」
「運動の後だから尚更だぞ。」
「ですね。」
「だね。」
「せやな。」
「ハハハ、みんな、どんどん食ってな。どうや、鴎?みんなと遊ぶの楽しいやろ?」
「鴎さん?」
「鴎ちゃん?」
「まぁまぁやな…」
«あはは。»
「まぁまぁって。」
「誰よりも楽しそうでしたよ?」
「ねっ。」
「なっ…」
「あはは、素直じゃないな。」
「だよね。」
「ひよまで…?」
「素直になれよ、鴎。」
「うっうるさいわ…ボケ、アホ!」
「照れ隠しがそれって。」
「だよな。」
「じゅジュースないし、自販で買ってくる。」
「だったらついでにうちのも頼むわ。」
「うちのもお願いします!」
「はいはい…?」
「私も付いていくよ!一人で人数分のジュースを持ってくるの大変でしょう?」
「うっうん、頼むわ…?」
雛(晴南)達はジュースを買いに行った。
「甘いもんばっかり食べてるし、しょっぱいお菓子が食べたいな。」
「店の冷蔵庫に試作のみたらし団子ならあるぞ?」
「みたらし団子食べたいぞ!」
「だったら私が取ってきますよ。」
「わるいな?」
「サンキュ!」
「私もついて行こうか?」
「いいよ、一人で大丈夫だから。」
「そう…?」
琴梨は店に行き冷蔵庫からみたらし団子の入ったパックを取り出すと袋に入れて、店を出てみんなの所へ戻ろうとした、すると…
「ねぇ、そこの超可愛い彼女。」
「お姉さん達と一緒に遊ばない?」
日焼けしたバリバリのギャル二人が声をかけてきた。
「マジか…」
(参ったな、この感じ前にもあったやつじゃん…?)
そして水琴達はちょうどよく琴梨が帰ってくるのが遅いことを話していた。
「あいつ、店にみたらし団子取りに行っただけにしてはやけに時間かかっとるな?」
「ですよね…?」
「ナンパされてたりしてな。」
「ナンパ!」
「ハハハッ、琴梨ならありえるかもしれへんな?あいつ胸はないし生意気やけど美少女だし。」
「ちょっと行ってきます!」
「おっおい!」
岬は琴梨を迎えに行った。
「なんやあいつ、マジな顔して?」
「面白そうだ…うちも行ってきます。」
「ちょ、おまえまで!」
兎姫も後をつけるように行ってしまった。
「うち一人で待ってどないすれっちゅうね…?」
一方、ギャル二人にナンパされている当の琴梨はというと必死に断ろうとしていた。
「あなた達と遊ぶ気はないので。」
「ツレないこと言わないでさ?」
「ワタシらと一夏の経験しちゃおうよ?」
ギャル達は諦めるどころか肩に手を回してきた。
「しっしつこいです!」
「わぁ、生意気だね、この子。」
「でもそこがソソるわ。」
「あっもう!」
(おね、晴南さん助けてぇ!)
【今すぐその汚い手を離せ…】
「えっ…?」
助けに現れたのは雛(晴南)ではなく岬だった。
「誰だ、あんた?」
「この子のなんなわけ?」
【私の大好きな人だよ…】
「岬ちゃん…」
【今すぐその手を離さなかったら、おまえら…】
«ひぃっ!»
「何だ、こいつ!」
「目がやばいよ!逃げよ!」
岬の殺気のオーラに恐怖を感じたのか、ギャル達がその場から退散した。
「あっありがとう…?」
「何もされなかった!」
「肩に手を回された以外、されてないよ…?」
「やっぱり私も一緒に行くべきだった、ごめん。」
「どっどうして岬ちゃんが謝るの?私が一人で平気だって言ったんだよ?」
「それでも行くべきだった、琴梨は美少女だから一人だとナンパされるに決まってるもん…」
「そっそんな、私は美少女なんかじゃ…」
「私は琴梨のことを世界一の美少女だと思ってる。」
「岬ちゃん…」
「琴梨は私が守るよ。」
「あっ…」
琴梨はこれまで感じたことのないときめきを感じた。
「二人とも居た!」
「探したで!」
雛(晴南)と鴎が来た。
「二人ともどうして?」
「ジュースを買って戻ったら、水琴さんから店におやつ取りに行った琴梨ちゃんが戻るのが遅いから岬ちゃんが迎えに行ってまだ帰ってきてないって聞いてさ?」
「それで心配やさかい、迎えに来てやったんや。」
「そうだったんだ?」
「何かあったの?」
「えっと…」
「それは…」
「んっ?」
「というかあのチビの子は一緒じゃないんか?」
«チビの子?»
「兎姫ちゃんだよ?水琴さんは岬ちゃんの後をついて行ったんじゃないか?って聞いたんだけど?」
「いや、会ってないよね…?」
「うん…?」
「変だな?どこ行ったんだろ?」
「呼んだか?」
«えっ?»
兎姫が現れた。
「どこ行ってたの?」
「トイレだぞ。」
「コケッ、紛らわしいやっちゃな?ならそう伝えて行けばええやろ?」
「あはは、ごめん、ごめん。」
「まぁええわ、全員揃ったし、姉貴の所に戻ろうや。」
「そうだね。」
「おー!」
«あっあの!»
「んっ?何だ?」
みんなが歩く中、兎姫を琴梨と岬が呼び止めた。
「豆山先輩、ここであったこと見てませんよね…?」
「どうなんですか…?」
「さぁ、見てないぞ?」
«そうですか…»
「ってことにしておいてやるよ。」
兎姫は前へ向いたら笑みを浮かべて、二人に聞こえないぐらい小声で呟いて歩き出した。
「私達も行こうか?」
「そうだね…」
琴梨は意識していつもより距離を近づき歩いた、果たしてそれは何を意味するのか。




