第二十話 私、三人目の攻略相手に嫌われちゃった…
ついに現れた三人目の攻略相手、主人公の愛田雛の親戚の水琴の妹、恋野鴎。
彼女と落ちついて話をするために海の家に入れて話すことに。
「おまえ、こんな遅くに外歩いて母さん達、心配してへんのか?」
「姉貴に会いに行くって言ってあるから…」
「ハァ、許可はもらってあるやな、安心したわ。」
「お婆ちゃんの和菓子屋を継ぐために働いてるはずやろ…?どうして海の家なんか…?」
「んなこと、おまえに関係ないやろ。」
「なんや、それ…」
「そんな言い方、ひどいんじゃない?」
「ちょっと琴梨、親子同士の会話に水を差すのは…?」
「そっそうだよ、琴梨ちゃん。」
「だってさ、わざわざ会いに来てくれてるのに、そんな冷たい言い方しなくても…?」
「せっせやな、悪かった、鴎。」
「姉貴。」
「よかったですね。」
「あんたは確か、親戚の琴梨…?」
「お久しぶりです…?」
「あっああ、それによう見たら雛まで…?」
「はっはい、居ます!」
(なんか変な返事しちゃった…)
「何であんた達が…?」
「うちが頼んだんや、海の家をやるから手伝いに来て欲しいって。」
「ほかの2人は…?」
「私と琴梨ちゃんの友達です。」
「どっどうも…?」
「おっす。」
「豆山先輩はこんな時でも通常運転なんですね…?」
「ぐぬぬ、どうしてや!」
鴎はテーブルをバンッと叩いた。
「なっ何がや?」
「実の血の繋がったワテには手伝いをお願いしないでどうしてこの子達にはお願いするんや!」
「お願いしてなかったか…?」
「してない!バカ、姉貴!」
「すっすまん…?」
「ワテも明日から海の家を手伝うから!」
「よろしく頼む…?」
「明日から一緒に頑張りましょうね。」
「ふんっ。」
「あれっ…?」
琴梨が握手をしようしたが無視された。
「こいつな、うち以外にはあんまり素っ気いない態度するんや、堪忍してやって?」
「そっそうなんだ…?」
「姉貴はまだここで寝泊まりするつもりなんか?」
「だっだから何や?」
「あんた達は?」
「泊まらせてもらってます…?」
「だぞ。」
「ならワテもここに泊まる…」
「なっなんでや?」
「駄目なん…?」
「あんたの寝る場所ないで?」
「そっそうだった!」
雛(晴南)は漫画と違う展開に気づいた。
「ええもん、ワテはここで寝ないから。」
«えっ!»
兎姫以外が驚いた。
「じゃあ、どこで寝るんですか…?」
「テントを用意してあるから外で寝る。」
「準備いいですね…?」
「本気か…?」
「ワテ、そもそも大勢と寝るの苦手やし…」
「そうなんですね…?」
「晴南さんまで驚いてたけど、漫画とは違う展開なの…?」
「そっそうだよ…?」
「マジか…」
鴎は有言実行と言わんばかりに一人でテントを組み始めて(見守っていた水琴以外のみんなが手伝おうとしたが断られた)設営が完了すると、何も言わずそそくさと中に入り、灯りをつけてチャックを締めた、なので戸惑いつつも海の家に戻ることに。
「いいんですか…?本当にテントで寝させちゃって…?」
「そうだよね…?」
「あいつも一度やると決めたら聞かない奴やから、自分でしたいって言うんやし、好きにさせればええ、全く誰に似たんやか…」
「水琴さんだよね…?」
「だな。」
「しぃ〜、余計こと言わない。」
「うちは疲れたからもう寝るで、明日の手伝いも頼むな?」
«はっはーい!»
その頃、テントにいる鴎が小さく呟いた。
「見とれよ、あいつらよりワテの方が役に立つこと証明してやるさかい…」
その日はそれで終わった。そして次の日、さっそく鴎がお手伝いに加わるとみんなは圧巻された。
「おいでやす。」
「あら。昨日は居なかった定員さんね?」
「今日から入りました。」
「そうなのね、綺麗でかっこいい子。」
「だよね。」
「おおきに。お席へご案内致しますね。」
まずは接客、ハキハキしていて笑顔が完璧なこと。
「おまっとさんでした、ご注文のカレーライスとラーメンです。あとお子様用にスプーンと小皿を用意しました。」
「まぁ、ありがとう。スプーンと小皿を頼むの忘れてたのよ。」
「ありがとう、おねえたん。」
「お役に立てて何よりです。」
配膳を一切間違えず、対応も完璧なこと。
「鴎さん、私より接客上手かも。」
「うちは負けてないけどな。」
「自分で言いますか…?」
「凄いなぁ、きゃっ!」
琴梨は昨日と同様、運ぶ途中の料理を床に落として、客に笑われていた。
「また定員さん、やっちゃってるよ。」
「ドジっ子ちゃんね、可愛い。」
「お騒がせしてすみません…」
「琴梨、服についちゃってるよ?」
「あっ本当だ…?」
「拭いてあげるね。」
「ありがとう…」
「大丈夫かいな?」
岬がハンカチで拭いてあげていると鴎も来て拭いてくれた。
「すみません、鴎さんまで?」
「失敗するぐらいなら、手伝うなや、ボケ。」
「えっ…?」
次に鴎は琴梨と一緒に雛(晴南)が手伝いをしている厨房へ。鴎は素人とは思えない包丁さばきで野菜類、肉類、魚類も何でも綺麗に素早く切り、さらに鍋やフライパンの扱いも上手で味付けも完璧、どんな料理も一度レシピを目に通せば失敗せずに簡単に作ってみせた。
「何これ、超美味しい!」
「海の家で出るレベルじゃないよね!」
「明日もまた来よう!」
そして当たり前だがお客さんの反応もよかった。
「鴎さんの作った料理、大好評みたいですね…?」
「そうみたいやな?」
「ねぇ、野菜切り終わった?」
「まっまだです!」
「はっ、トロ。」
「えっ…?」
「ありゃりゃ…」
(漫画で知ってるけどこの時の鴎さんはこの漫画に出てくるどのキャラより毒舌だからな…?)
「仕方ないやろ、琴梨は料理苦手みたいやし。」
「だったら手伝ってもらわなくてもええやん、邪魔なだけやし、ほかの接客の子達も大して上手く出来とらんし、これならワテと姉貴だけで海の家回した方がえんとちゃうんか?」
「おい、言い過ぎやぞ…?」
「どっどうしてそんなひどい事を…?」
「ふん、事実やろうが、雛、おまえの料理だってワテが作るより下手やしな?」
「あはは、そうですか…」
「訂正してください!」
琴梨が怒った。
「琴梨ちゃん…?」
「何を訂正しろちゅうね?」
「晴、おねえちゃんの料理は美味しいです!鴎さんの料理にだって負けてません!」
事実、お客さんは鴎の作った料理だけではなく雛(晴南)の料理も美味しいと喜んでいたのだ。
「それに接客の二人も負けてませんから!」
「おめえ、さっきから聞いてりゃ、年下のくせに生意気やぞ、しばいたる!」
「ぐっ!」
「えっ、ちょっと!」
「ええ加減にせえ!」
琴梨の首を掴もうとしたのを水琴が割って入って、平手打ちして止めた。
「なっ何でや…?」
「確かにおまえは役に立ってくれてありがたいけどな?店が営業出来るのはおまえだけじゃなくみんなが頑張ってくれてるからやで、場を乱すくらいならもう手伝わなくてええぞ!」
「なっ何んやの、妹の味方はしないで、よそのガキの味方するなんて…」
「あっえっと、鴎さん…?」
「邪魔な雛達も何にもわかってくれない姉貴も全員大っ嫌いや!くっ!」
「ガーン!そんな…」
涙を流した鴎は厨房の扉から外に出た、すると足りない調味料を近くのスーパーで買ってきた帰りの雛兎姫とばったり鉢合わせした。
「おや、どうした泣いたりして?」
「ほっといてや!」
「おっと。」
鴎は走って行ってしまった。
「これはまた漫画にはない展開を作ったな?」
兎姫が戻ると、騒ぎが気になり厨房にやってきた岬と共に状況を聞いた。
「そんなことがあったんですか?」
「なるほどな。」
「水琴さん、追いかけた方がいいんじゃ…?」
「お客が料理を待ってるんや、追いかける暇なんかあらへん、さぁ、仕事や、仕事。」
「でも泣いてるようにも見えましたよ…?」
「私が追いかけます!」
「晴、おねえちゃん…?」
「だな、ひよっちの出番だ。」
「ですね、おねえさんならきっと励ませるはずです。」
「安心して、必ず連れ戻してくるから。」
「うん、お願いするね…?」
私は転生したとはいえ、愛田雛、この百合漫画の主人公なんだ!漫画にはなかった展開でも逃げたりしない!
「おいおい、おまえが抜けたら誰が料理を作るんや…?」
「あっそれは…」
「私が作ります!雛さんと鴎さんには劣りますが、少しは料理得意なので!」
「確かに岬ちゃんの料理は美味しいです。」
「琴梨…」
「そっそか?じゃあ、頼むわ?」
「接客はことりんとうちで回すぞ。」
「はい!」
「ありがとう、行ってくるね。」
「頑張ってね…?」
雛(晴南)は鴎を探しに行った。




