第十八話 私、海の家に来た。
私が転生した主人公の雛の親戚、神◯川に住む恋野水琴さんと電話で話して、水琴さんが経営する海の家を二週間、手伝うことになりました。
これは漫画でもあった三人目の攻略相手に繋がる重要なシーンで、主人公の雛の水着姿が見られるサービス回でもあります。ってその主人公が私なわけですが、しかし漫画にはなかった展開も…?
「次、晴、お姉ちゃんが引く番だよ?」
「あっうん!えっと…」
「おいおい、ぼっーとして。そんなんじゃまたババを引くことになるぞ?」
「むー、余計なお世話だよっと、げっ!本当に引いっちゃった!」
«あはは。»
「そんなに笑わなくても…?」
「ババ抜きなのに声に出したら意味ないだろう。」
「お義姉さん、最高です。」
「お姉ちゃんらしいよ。」
「琴梨ちゃんまで…?」
本来、妹の琴梨ちゃんは一緒に手伝いには行きません、(漫画では両親と海外に暮らしているから)
さらに漫画では登場しなかったレアキャラ、友達で琴梨ちゃんに片想いをしている岬ちゃんまで手伝いに…?そしてさらにさらに暇だからと来るはずのないまめっちまで来ちゃいました…また攻略の難易度が上がり、しかもこれから会う三人目の攻略相手、恋野鴎さんは海の家の手伝いをする二週間以内に攻略しないとならないのに、三人が参加した事で果たして漫画の展開にどのような影響があるのか…?
あー!駄目だ、駄目だ!せっかくみんなでの楽しい旅なのに!
漫画では見られなかった展開が見られるわけだよ!作品のファンとしての視点だけなら喜ばしいこと!そうだ、プラスに考えよう!
「頑張るぞ!」
手をグッと握り、決意を新たにした。
「お義姉さん、気合いが凄いね?」
「またビリになったのが悔しかったのかも?」
雛(晴南)の気合いに兎姫以外は誤解していた。
それからしばらく新幹線に乗り、目的地である神◯川に到着、さらに駅からバスに乗り換えて、夕方頃に目的地の海の家に着いた。
「いやぁ〜!ほんまに助かったで、雛!約束通り来てくれて感謝や!」
漫画で知ってたけど、趣味がマラソンの水琴さんは鍛えててアスリート選手みたいに引き締まった体をしていた。
「親戚の水琴さんがピンチだって言うんですから、当然ですよ。」
「ハハハッ、嬉しいこと言ってくれるやないか、琴梨も来てくれたしな!」
背中をバンバン叩いて喜んでいた。
「いだだ!強く叩きすぎだよ!」
「すまん、すまん、嬉しくてな?」
「本当に変わらないみたいだね、安心したよ?」
「ハハハッ、そんな何年会わなかったぐらいで性根が変わるわけないやろ。」
「そういう意味じゃないんだけどね…?」
琴梨の言う変わらないとは以前居た自分の世界の人物と変わらないという意味である。
「そんでその二人が雛達が声をかけて集めてくれた手伝いに来てくれた子達か?」
「初めまして、眼路乃岬といいます。」
「おっす!うちは豆山兎姫だ!」
「ハハハッ、みんな、よろしく頼むで。うちは雛の親戚の恋野水琴や。」
「水琴さんって関西出身の方なんですか?神◯川に住んでるし、てっきり神◯川の方なのかと?」
「いや、神◯川生まれやで。」
「なのに関西弁ですか?」
「親の一人が関西の出身でな、昔っから日常会話で関西弁で喋ってきとったからうちにも染みついてん、だから関西弁が日常会話につい出ちゃうちゅうわけや。」
「なるほど。」
「ようはエセ関西弁ってことだよね。」
「ほぉ、琴梨言うようになりよったなー?」
「いただ、今度は強く頭撫ですぎ!」
「ええやないか。」
「面白い方ですね、琴梨やお義姉さんの親戚ってだけはあって美人な方ですね、スタイルもまるでアスリートみたい。」
「だろ、うちもなりたかった理想のスタイルだからな。」
「えっ?」
「豆山先輩は会ったことがあるんですか?」
「あっいや、そういうわけじゃないんだがな?」
「そうですか…?」
「まめっち…?」
「長話はあとや、長距離の移動で疲れたやろ?荷物も置きたいやろうし、さっそく泊まる場所に案内するで。」
水琴は海の家の鍵を開けた。
「ちょちょっと待って!泊まる場所ってまさか!海の家なの!」
「そやで。」
«えっーー!?»
琴梨と岬が驚いた。
「ハハハッ、安心してや。見た目はボロ屋やけど耐久性はちゃんとしとるし、中はまぁまぁ広いんや、泊まれる、泊まれる。」
«あはは…»
琴梨と岬が苦笑いしながら、いちよう建物の中に入った。
「確かに中は広いですね…?」
「まぁ、来たことあるから知ってるけどさ…?」
「せやろ?テーブルとかをどかして布団さえ敷けば床で大体、三人ぐらいは寝られるはずやで?」
「あとの二人はどうするの…?」
「ソファーがあるから、一つはうちが寝るとして、もう一つを誰かかな?」
«あはは…»
「晴南さん、漫画で知ってたんでしょう!何で言ってくれなかったの!」
琴梨は耳打ちして聞いた。
「だっだって漫画では泊まれてたから…?」
「一人はソファーで寝ることになるんだよ…?」
「漫画では床で後からくる鴎さんと三人で寝られたもん…」
「私達が来ちゃったせいだとでも言うのかなー?」
「そっそうじゃないけど。」
【楽しそうですね?】
二人がヒソヒソ話してるのに岬が嫉妬して機嫌を悪くしていた。
「あっいや、これはね。」
「とにかく私、今からでもみんなで泊まれるホテルないか探す…」
琴梨がスマホでホテルを検索しようとした。
「なんでや?ここで泊まれば宿泊代はタダやし、まかない飯だってちゃんと出すで?さらにお風呂だってあるし?」
「どうせドラム缶風呂とか言うんでしょう…?」
「ピンポーン、当たりや。」
「やっぱりホテルを探そう…」
「冗談、冗談やて、近くに知り合いがやってる銭湯あるさかい、そこに入れてもらえるぞ?しかもタダでな。」
「本当に…?」
「お風呂場を掃除するって約束やけど。」
「掃除しなくちゃならんのかーい!」
「ええやん、ノリツッコミ。」
「漫才したいわけじゃなくてね…?」
「まぁまぁ、せっかくのご厚意を無下にしたら可哀想じゃない…?この雰囲気、修学旅行みたいだしさ、ここで泊まるのもありかも…?」
「まっマジ…?」
「だよな、うちも平気だ。」
「もちろん、私も!」
「ハァ…好きにして…?」
「ハハハッ、どうやら泊まるでええみたいやな。歓迎会をするで、外でバーベキューしよ!」
晩御飯に外でバーベキューをした。するとさっきまで暗かったみんなの雰囲気がすぐに明るくなり笑顔になった。
「ふぅ、食った、食った、満足したぞー。」
「食べたら少し落ち着いてたかも。」
「ふふ、琴梨と豆山先輩の二人でほとんどの肉食べちゃったもんね。」
「むぅ、食いしん坊だって言いたいの…?」
「食べる琴梨はいつ見ても可愛いよ。」
「ちょ、岬ちゃん…」
「あはは、照れてやんの。」
「兎姫さん…?」
「よかった、二人の機嫌が直って…」
「みんな、花火あるけどやるかー?」
«やりますー!»
「やるー!」
最初、雛(晴南)は線香花火を眺めて、琴梨と岬とはススキ花火ではしゃぎ、兎姫と水琴はみんな驚かそうと爆竹をして琴梨に叱られたりして笑いが起きて、最後に打ち上げ花火で最高の形で締めた、締められたのだが…?
「すまん!知り合いのやってる銭湯が今日、定休日だったのすっかり忘れてたで…?」
«えっ!?»
「じゃあ、お風呂はどうするの!」
「ほかの銭湯に行けばいいんじゃ?」
「あっ、あはは、それもそうか、つい取り乱しちゃった。」
「それがやな、この辺だと知り合いの所しか銭湯がないんや…?」
«えっ!»
「なっならバスを使って少し遠くの銭湯に!」
「この時間だとバス終わってるぞ。」
「ピンポーン、その通りや。」
「じゃあ、今日はお風呂に入れないってことですか…?」
「ちょっと、どうなってるの、晴南さん…?」
「んなこと言われても漫画にはなかった展開だよ…?」
「マジか…」
「ほんまにドラム缶風呂なら用意出来るで…?」
«ゴクッ、ドラム缶風呂か…»
迷う余地はなく、仕方ないので交代でドラム缶風呂に入ることに(二つ用意してある)、まずは岬と兎姫が並んで入った。
「海を眺めながらのお風呂、最高だなぁ。」
「悪くはないですね、ただ出来れば琴梨と並んで入りたかったですが。」
「なんだー?うちと一緒じゃ不満か?」
「ちっ違います、それと外だから人目も気になりますね…?」
「気にしないな、うちは。」
「いいですね?」
「みさっちは胸大きいもんな。」
「ちょ、そんなにジロジロ見ないでください!」
「いいじゃんか、減るもんじゃないし。」
「駄目です!」
続いて雛(晴南)と琴梨が並んで入った。
「思ってたよりいいかも、開放感が凄くてまるで露天風呂って感じだね。」
「露天風呂ね、ものは考えようってやつ…?」
「そういえば一緒にお風呂に入るの初めてじゃない?」
「なっ!ばっ馬鹿じゃないの、別々に入ってるんだし、一緒じゃないでしょう…?」
「ここからでも琴梨ちゃんの裸は見れるよ?」
「へっ変態!」
「ごっごめん?」
「全くお姉ちゃんだって自覚もってよね…」
そうは言いつつ、琴梨は久しぶりに見た姉の裸が色っぽく見えてしまっていた。
【ギィィ、羨ましい…】
「隠れて何やってんだか。」
お風呂が終わり、個々に寝支度を済ませて店の床に布団を3つ敷くと、問題の水琴以外にソファーで寝る一人を決めるジャンケンをする、かと思いきや?兎姫がソファーで寝てもいいと言い出し、問題は問題はあっさり解決?布団で寝るのは雛(晴南)、琴梨、岬の三人になった。
「海の家のオープンは朝の10時からや、よろしく頼むで、みんな?」
«はーい。»
「そんじゃお休み。」
明かりが消えると同時に琴梨が岬に話しかけた。
「岬ちゃんの言った通りかも。」
「何が?」
「修学旅行みたい、少し楽しくなってきた。」
「私も楽しいよ。
岬は手を握ってきた。
「なっ…」
「ドキドキした?」
「すっ少しね…」
「嬉しい、この流れでキスしたら怒る?」
「まだ付き合ってないから駄目…」
「ちぇ、残念。」
「でもこれで寝るのはいいかも…?」
「じゃあ、そうしようか。」
「うん…」
琴梨と岬は手を繋いだまま目を閉じて眠りについた。




