第十三話 私、主人公の妹の恋を応援する。
二人が和解した後、雛(晴南)はまだ病み上がりだから無理せず休んだ方がいいと岬に促されて部屋に戻り、その岬は部屋に籠る琴梨の元に向かった。
「琴梨、いいかな。」
「岬ちゃん…」
「部屋に入れてもらってもいい?」
「うん…」
琴梨は涙を拭うと鍵を開けて岬を部屋に入れた。
「ごめんね、手伝いに来てくれたのに…いきなり部屋に籠もったりして、困らせたよね…?」
「気持ちはわかるよ、私がもし琴梨の立場でも同じことしたと思う。」
「姉がキスしてるのを見ただけで泣くことも…?」
「どうして自分が泣いたのか、理由はわかってる?」
「そんなのわからないよ…いくら考えても…」
「じゃあ、私が教えてあげる。」
「えっ…?」
「恋だよ。」
「こっ恋…?」
「恋してるから好きな人がキスしてる所を見て、悲しくて涙が出たんだよ。」
「そっか…私、恋してたんだ…」
琴梨は自分の気持ちに気づいたようだった。
「自分の想いに気づいたみたいだけど、それをお姉さんに伝える…?」
「伝えない、伝えられるはずがない…」
「実の姉だから…?」
「それもあるけど、試練があるから…」
「試練…?」
「はっ!あっいや、何でもない…とにかく伝えない…」
「でもそんな迷ってる状態じゃ、お姉さんへの想いが消えることはないんじゃない…?」
「・・・・・そうだね…ずっとこの切ない感情を抱き続けるのかもしれない…」
「そんなの私が許さない。」
「許さない…?きゃ!」
岬が琴梨の腕を掴み、胸に抱きしめた。
「岬ちゃん…?」
「私、あなたの事がずっと好きだったの。」
「えっ…?好き…?」
「付き合いたいって思ってる。」
岬は一切迷いなく琴梨を見つめて告白した。
「岬ちゃんが私のことをそんな風に思ってたなんて…?」
「だけど返事はまだ聞かないから。」
「返事は聞かない…?」
「今の状況じゃお姉さんが圧倒的にリードしてるもんね、お姉さんと同じ、いいやそれ以上に琴梨の心を私で独占出来るまで返事は待つことにする。」
「なっ…」
「本気だよ、これからはあなたに猛アピールするつもり、お姉さん以上にドキドキさせてあげるから覚悟しててね?」
「やっやれるもんならやってもらおうじゃない…?」
「ふふ、強がる割にはもう胸の鼓動がうるさいくらい高鳴ってるけどね?」
「なっ…」
「楽しみだな、琴梨が私に夢中になる日が。」
「ふっふん、そう簡単にはならないんだから…?」
「望む所だよ、琴梨。」
「なんか小悪魔みたい…」
「そっちはツンデレでしょう。」
「だっ誰が…ふふ。」
さっきまでの暗い気持ちは吹き飛んで琴梨は前に踏み出せそうな予感を感じていた。
「二人が上手くいくといいな…」
二人の会話を扉の向こうから聞いて、雛(晴南)は安心しつつ、そっと願った。
それからは危なげな琴梨の家事を岬がサポートして何とか無事に終わらせて、さらに一緒に晩御飯を作り、一眠りしてすっかり元気になった雛(晴南)も入れて、笑いもある楽しい食事をした。そして…
「お風呂、先に客人の岬ちゃんからどうぞ。」
「そうだね、岬ちゃん入って。」
「いえいえ、お義姉さんか琴梨から。」
「でもそうなったら岬ちゃんが一番最後になって、お風呂遅くなっちゃうよ?」
「だったら琴梨ちゃんと岬ちゃんの二人で入ったら?」
«えっ…?»
「それならすぐに私も入れるし。」
「確かに…?」
「私と琴梨ちゃんで入っていいんですか…?姉妹で入る方が恥ずかしくないんじゃ…?」
「そっそれは…」
「わっ私、病み上がりだからさ、流石に一緒にお風呂はしない方がいいかなって。」
「なっなるほど…?」
提案を受け入れて琴梨と岬は一緒にお風呂に入ることに。
「まさか、あんな告白イベントがあった日に、二人でお風呂に入るとは思わなかったよね。」
「告白した私が言うのも変だけど、ちょっと緊張するかも…?」
「ふーん。」
「なっ何…?」
「さっきハグされた時にも思ったけど、岬ちゃんってあるよね?」
「あるって…?」
「胸に決まってるじゃん、もしかしたらおねえちゃんよりあるかもなって?」
「あっあんまりジロジロ見ないでよ…恥ずかしいでしょう…?」
「ごめん、ごめん、これじゃ変態おやじだよね。」
「へんたいおやじ…?何それ…?」
「そうか、この世界にはない言葉なのか。」
「どういう意味…?」
「なっ何でもない、気にしないで、でも同性として羨ましいなぁ、私、おねえちゃんに似なくて小さいからな、お母さんですら大きいのに、ハァ。」
「私達まだまだ成長途中だし、そのうち成長して大きくなるってきっと。」
「そうかな…?」
「それにいずれはあなたのものになるんだから…」
「なっ…」
「ドキドキしたでしょう?」
「しっしてません!」
「うそだ、顔が真っ赤だぞ?」
「のっ逆上せてきただけだから…」
「そうなのかなー?」
「こっ小悪魔め…ぶく、ぶく、ぶく。」
誤魔化したいのか琴梨はお湯に顔を浸からせた、その頃、居間にいた雛(晴南)のスマホに鶴子から『電話してもいいかな…?』とメッセージが届いていて、自分の部屋に戻り電話をかけて話した。
『琴梨さん、あれからどう…?』
『機嫌直してくれたよ、今は友達と仲良くお風呂に入ってる。』
『よかった…私のせいで姉妹関係を悪くしてたらって心配してたから…』
『鶴子ちゃんのせいなはずないじゃない。』
『だって…家でキスをしちゃったのは私だから…』
『確かにあれは驚いたかな…』
『多歌宮さんと仲良くしてる所を見てたら、私が一番がいいって感情が抑えきれなくって…これじゃ束縛彼女だよね…?』
『驚いたけど、キスは嬉しかったよ。』
『本当…?』
『それに鶴子ちゃんの見たことない部分を知れるののも嬉しかったし、今日は特別な日になったよ。』
『じゃあ、またキスしてもいい…?』
『うん…』
『ありがとう、雛ちゃん…大好き…』
『私も大好き。』
『多歌宮さんを彼女にするの応援するね。』
『ありがたいけど、大丈夫…?』
『大丈夫…雛ちゃんのファーストキスは私がもらったから…』
『そっそっか…』
『それでね、聞きたい事がもう一つあるんだ、いいかな…?』
『何?』
『琴梨さんのお友達、岬さんだったよね…?私が帰った後、あの子とは何を話したの…?』
『あー、あんな追い返され方したら知りたくなって当然だよね…?』
雛(晴南)は話せる所だけ話した。
『岬さんが琴梨さんのことを…』
『それで相談されたんだ。』
(本当は説教されたんだけどね…)
『二人が上手くいくといいね…?』
『うん、私もそう願ってる…それがあの子のためになるんだもん…』
『雛ちゃん…?』
『あっいや、関係ない話だよ。』
『そう…?』
それからしばらく電話を続けて終わったら、居間に戻った。するとお風呂に入ってた琴梨達が上がってきていて、どうやらどちらも逆上せているようだった。
«熱い…»
「あはは、二人とも顔が真っ赤じゃない。」
「そんなに長風呂したわけじゃないけどね…」
「緊張しちゃったからですかね…」
「アイスあるけど食べる?」
「食べる!」
「食べます!」
「ふっふ。」
雛(晴南)は転生して出来た妹の琴梨、そしてこれから義理の妹になるかもしれない岬が可愛くて仕方なかった。




