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私、好きな百合漫画の主人公に転生しちゃった!  作者: ぎゅうどん
攻略相手二人目、「ツンデレ風紀委員の多歌宮葉月」
12/22

第十二話 私、色んなこと進んだ。

「あっ、熱が下がってる。」


頭に冷却シートをつけた雛(晴南)は体温計で熱を測ると平熱に戻っていて、ベッドから起き上がり、部屋のカーテンを開けた。


「もう外が日が暮れかけてる、私、お昼食べてから結構寝たんだな?」


喉が渇いたので下に降りて、冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注ぎ飲み干したら時計を見た。


「まだ鶴子ちゃんがお見舞いに来るには早いかな?

 琴梨ちゃんもまだ帰ってくる気配もないし、家事でもやっておこうかな。」


するとチャイムが鳴った。


「あれっ?もう鶴子ちゃん来たのかな?」


インターホンから覗くと鶴子の姿があった、そして後ろに多歌宮の姿も。


「なっ何であの子まで…?漫画ではまだ家に来たりしないはずじゃ…?」


とりあえず驚きつつも玄関の扉を開けて、二人を家に入れた。


「雛ちゃん、起き上がって大丈夫なの…?」

「あっうん、平気だよ、熱も下がったし。」

「そっか…」

「それより、どうして多歌宮さんもいるのかな…?」

「アタシが居たら駄目だったかしら?」

「いやいや、決してそんなことは!でもどうしてかなって…?」

(しかも喧嘩した二人でなんて…?)

「雛ちゃん、昨日、多歌宮さんが不良達に襲われそうになったのを助けたんでしょう?そして足を痛めた多歌宮さんを保健室まで連れて行ったって。」

「あっうん…?」

「アタシはそのお礼がしたくて今日、あんたの教室に行ったけど、都合悪く風邪で休んで居なかったから、鏡原さんがお見舞いに行くって言うし、便乗させてもらったってだけのことよ?」

「そうだったんだね…?」

(なるほど学校ではそういう展開になってたのか…)

「とっとにかく、はい!」


多歌宮はラッピングされた袋を渡した。


「これは?」

「アタシがお礼に作ったクッキーよ…」

「つっつまり手作り?」

「だったら問題でも…?」

「ない、ない、ない!わぁ、ありがとう!」

(まだ付き合っても居ないのに手作りお菓子を貰うなんて!漫画ではなかった!嬉しいぃ!)


雛(晴南)は満面の笑みを浮かべた。


「雛ちゃん…」

(あんなに嬉しそうにするなんてもしかして…?)

「そっそれじゃ、目的も果たしたし…アタシはこれで…」

「家の外まで見送るよ。」

「いっいいわよ、あんた、さっき熱が下がったばかりの病み上がりでしょう?日が暮れて外の風は寒くなってるし、また熱でもあげたいわけ?大人しくしてなさい?」

「はっはい、そうするね…?」

「元気になったらまた学校で話しましょう、友達として…?」

「うっうん!学校で!」

(やったぁ、友達として認めてくれた!攻略にまた一歩近づいた!漫画より早い!)


家の玄関までは見送って、多歌宮は帰って行った。


「多歌宮さん帰ったね…」

「鶴子ちゃんも早く帰った方がいいかも、風邪移したら悪いし。」

「やだ、帰りたくない…」

「えっ?きゃっ!」


鶴子がソファーに雛(晴南)を押し倒して、腰に乗っかった。


「つ、鶴子ちゃん…?」

「正直に答えて…?」

「なっ何を…?」

「次に彼女にしたい子って多歌宮さんでしょう…?」

「そっそれは…」

「やっぱりそうなんだね…?」

「うっうん、その通りだよ…?」

「前にも言ったけど…彼女をいっぱい作りたいって雛ちゃんの夢は応援するつもり…」

「あっありがとう…?」

「だけど一番は譲るつもりはないよ…?」

「えっ…?むぐっ。」


鶴子は雛(晴南)の唇を奪った。


«ぷはぁ。»


「ハァハァ…唇にされちゃった…」


雛(晴南)は転生前後合わせて初めてのファーストキスに放心状態になっていた。


「これでファーストキスは私だよね…」

「ファーストキス…」

「その先もする…?」

「なっ…」

「冗談だよ、雛ちゃん病み上がりだもんね、体力使ってまた風邪をぶり返したら駄目だし、今日はキスまでにしておくね。」

「そっそう…でも風邪は移っちゃったかもしれないよ…?」

「雛ちゃんの風邪なら移ってもいいもん…」

「なっ…」


漫画より積極的な上にさらにドキドキさせるテクニックまで上がってきています!誰だ、大人しくて攻略しやすいなんて言ったのは!私、自身でしたね…まさか攻略後の方が大変だなんて思わなかったです…これも私が主人公の雛に転生したことが原因なのでしょうか…?私を許してください、作者のにゃんにゃん先生〜!


「今日はもう帰るね。」

「ひゃひゃい…」


私は玄関で見送ることに、しかしそこで衝撃的な事実を知ることになる!


「こっ琴梨ちゃん、帰って来てたの…?」

「たっただいま…」

「お邪魔してます。」

「まっまさか、見てたんじゃ…?」

「えっと…」

「お二人がキスしてたことですか?」

«なっ!»


岬は何の迷いもなく言い放った。


「やっぱり見ちゃったんだ…?」

「うっうん…」

「お二人は恋人同士なんですよね?だったらキスぐらいしてもおかしくないのでは?」

「そっそれはそうだけど…?」

「あー、なるほど妹にそんなシーンを見られたのが恥ずかしかったんですね。」

「えっ、あっうん…」

「わっ私は気にしてないよ。そうだよね、二人は恋人同士なんだし、キスぐらいするよ…ね…」


言葉とは裏腹に琴梨の目から涙がポロポロ溢れていた。


「琴梨さん…?」

「琴梨ちゃん…」

「あれっ、何で涙が出てるんだろう、疲れてるのかな、私…ちょっと部屋で休んでくるね…」

「まっ待って!」


琴梨は雛(晴南)の引き止めにも応えず、階段を駆け上がり部屋に籠もってしまった。


「そんなにショックだったのかな…?私と姉である雛ちゃんがキスするのを見たの…?」

「そうかもしれない…」

「ごめんね、私が何も考えずにキスしたから…?」

「鶴子ちゃんのせいじゃないよ…」

「ですね、あなたのせいじゃありません。」

「でっでも…?」

「悪いのは全てお姉さん、あなたですよ?」

«えっ…?»


岬の思いもしなかった言葉に困惑した。


「どうして雛ちゃんなの…?」

「それはあなたには話せません。」

「私には…?」

「鶴子さんでしたっけ、今日はお帰り頂けますか?私、お姉さんに二人だけでお話したいことがあるので?」

「えっ…?」

「鶴子ちゃん、ごめん、そうしてもらえるかな。」

「わっわかった、その代わり後で連絡してくれる…?」

「するよ。」

「じゃあ、帰るね…」


鶴子を見送ったら、岬を居間のテーブルに座らせた。


「飲み物はコーヒーでいいかな…?」

「構いません。」


淹れたコーヒーを渡すと自分も席に座った。


「えっと聞かせてもらえるかな…?二人だけで話したい事を…?」

「その前にお姉さん、あなたが妹の琴梨をどう思っているかを聞かせてください?」

「どう思ってるかって…?そりゃ可愛い妹だと思ってるけど…?」

「それだけですか?」

「えっ?あっうん…?」

「なら安心して話せますね。」

「何を…?」

「あなたの妹、琴梨はあなたに恋をしているようです。」

「どっどうしてそれを…?」

「ということはあなたも気づいていたんですね?琴梨の恋心に?」

「そっそうだよ…?」

(なっ謎すぎる、この子、岬ちゃんだったよね…?漫画で琴梨ちゃんは両親と海外で住んでることになってて、友達だというこの岬ちゃんは漫画には出てきていない…だからどんな子なのか全く見当がつかない…)

「それで琴梨の心を弄んでいたと…」

「べつに弄んでいたわけじゃ!」

【調子に乗るなよ…】

「えっ…?」


岬の目つきと声のトーンが変わった。


【この際だからはっきり言います、私、眼路乃岬はあなたの妹の愛田琴梨に恋をしてるんです…】

「琴梨ちゃんに恋を…」

【それで大体お察し頂けますよね…?】

「何となくは…」

【私の恋の邪魔をしないでください、ちゃんと琴梨に私はあなたの愛には応えられないと姉妹だけの関係だと言って欲しいんです。】

「一つ言ってもいいかな…?」

【何ですか?】

「あなたはそんな卑怯な手で、琴梨ちゃんと付き合いたいの…?」

【卑怯な手…?】

「そうだよ、好きなら正々堂々とアピールして落とすべきだと私は思う、それにあなたが言った通りに行動したら余計に琴梨ちゃんを苦しめて悲しませるだけだよ、私はそんなこと絶対にしたくない。」

【それがあなたの答えですか…?】

「うん。」

【許せない、許せない、許せない、許せない、許せない!それは永遠に私の恋の邪魔をするって意味ですよ!どんな権利があってそんなひどいことを!】

「あなたの恋を邪魔するつもりなんかないよ?」

【えっ…?】

「むしろ、応援してるぐらいだから。」

【応援…?】

「うん。」

「ほっ本当ですか…?」

「だって見たいもん。」

「なっ何をですか…?」

「ヤンデレ美人なあなたと可愛い琴梨ちゃんの恋愛、想像しただけで最高だもん。」

「へっ変な人ですね…?」

「よく言われる。」

「でも応援してくれるって言葉は嬉しかったです…」


岬の表情が柔らかくなり、声のトーンも普通に戻った。


「今日は泊まっていったら?」

「最初はそういう話で来ましたけど、あんなにひどい態度をとったのにいいんですか…?」

「琴梨ちゃんを励ます役はあなたに譲るよ、頑張って恋愛成就させてね。」

「こっこれから雛お義姉さんと呼んでも構いませんか…?」

「お姉さんじゃなくお義姉さんって意味ね?いいよ、あなたが琴梨ちゃんを嫁にしたらそう呼ばれるんだもんね。」

「あっありがとうございます!」


二人は密かに義理姉妹になった。




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