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骸骨の訴え

作者: ゆうすけ
掲載日:2026/01/13

1

私の部屋には等身大の骸骨が飾ってある。骸骨の標本 みんなそう思うだろう。本物。河原で拾ったのだ。    


1年ちょっと前 河原で死体を見た。一目で死体だとわかった。胸の辺りが血で染まっている。でもその時の私は急いでいて死体に構っている暇はなかった。いやそれは嘘だ。ただ単に怖かったのだ。死体なんてどうすればいいのか?警察にも関わりたくない。犯人扱いされるかもしれない。 


死体を見て見ぬ振りをした。放置して帰った。そのことがずっと胸につっかえていた。 


そのやましさから、1年後 河原に様子を見に行ってみた。死体はまだそこにあった。すっかり白骨化していた。そのことが私に凄まじい罪悪感を抱かせた。私が殺したようなものだ。いや違う。断じて私のせいじゃない。だからといってほっといていいのか? 


こうして白骨死体が私の家に来ることになった。

やましさからか? 証拠隠滅のためか? 

どちらにせよ私の家にある。今になって思えば持って帰ってきてよかったなと思う。あのままあそこに置き去りにされるのはあまりにも不憫だし、インテリアとしても気に入っている。   


彼は(死体は男性です)刺殺されていた。胸骨に傷がある。骨に傷が残るほどだから、よっぽど深く刺されたんだろう。


骸骨をぼーっと見つめている時間が多くなった。そして気がついたら結構な時間が経っている。まずい、まずい。しっかりしなければ。


誰かしゃべった?いやそんなはずはない。部屋には私しかいない。目の前の骸骨を眺める。


骸骨が自分に語りかけてきた気がする。そんなわけないか。でも何か言おうとしている。何か伝えようとしている。そんな気がする。


なんと言ったんだろう? 


託す?  


犯人を見つけてほしいのか?


犯人は誰だろう?


そもそも、あの河原で殺されたのか?別の場所で殺され死体だけ移動させられたのか?


自分が死体を発見したとき、どんな状態だったろうか?


胸に鮮血が溢れていた。凶器はなかった。

別の場所で殺されたのではないか?

骨に傷が残るほど深く刺されたら、もっと周囲に血が残っているのでは?


移動させられてきたに違いない。証拠は無いけど間違いない。


警察はどう考えているんだろう?そもそも警察沙汰になっているのだろうか?

1年間もあのまま死体が放置されていた。骨も私が持って帰ってしまった。

事件自体が世の中に認知されていないのでは?


だとすると犯人は全く疑われずに大手を振って生きていることになる。

とても恐ろしい。 


骸骨を見つめる。無念だろう。

私がちゃんと犯人を見つけてやろう。 


白骨のあった河原にもう一度訪れてみた。相変わらず人っ子1人いない。死体のあった場所を眺める。ここで人が死んでいたんだ。ふと近くに定期券が落ちていることに気がついた。こんなものあっただろうか?被害者のものか?それとも加害者?


落ちていた定期券を持って帰ってきた。

これはひょっとしたら重要な手がかりなのかもしれない。

そうじゃないのかもしれない。

とりあえず定期券の区間の電車に乗ってみた。

被害者、あるいは加害者もこの電車に揺られていたのだろうか? 


この定期の持ち主にバッタリ、なんてこともあるかもしれない。

しかし会ってどうする?事件の関係者だったとしても何ができるだろう?犯人にだったら犯人なんて認めるわけがない。アリバイでも尋ねるか?覚えてないと言われたらそれまでだ。   


そもそもアリバイを証明するなんて難しい。私だってあの事件のあった日どこで何してたかなんて覚えてない。記憶が全くない。 

 

なんの成果もなく家に帰った。無駄な時間だった。私はいったい何をやってるんだろう。


そもそも動機はなんだろう?動機から探っていくべきかもしれない。 

人を殺すには強い動機があるはずだ。

ただ特に動機のない殺人というのもあるだろう。

その場合、犯人を捕まえようがなくないだろうか?

誰だって犯人でありえる。

私だって犯人かも知れない。

私が犯人?  


そう考えたらそうとしか思えなくなってきた。


ひょっとしたら犯人は私かもしれない。

多分間違いない。 


そう考えたら「託す」と言うのはおかしい。

彼はなんと言おうとしたんだろうか?

「許す」と言おうとしたのかもしれない。

でもそれは随分と虫のいい考えの気もする。

結局 何と言おうとしたのかわからないまま寝た。


「殺す」と言おうとしたのかもしれない。

のちにその考えに行き着いて慄然としたものだ。

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