二人の少年少女が夢を共有する、そんな話4
車に乗っている。
学校帰りのようだ。隣には馨が乗っていて一緒のところで降りる。
「今日どうするの?避難?」
「そうかなぁ、でも家帰る暇はないからこのまま直で国際かなぁ」
国際というのは避難所の名前である。いつしか退廃とした世界になった場所にはいくつもの大きな避難所ができていた。
みんな心身ともに疲れきってる。
「そっかぁ、でも何か食べ物とかあるの?買ってったほうが良くない?」
「そうなんよな、おかんに連絡したら何もないけどって言われてえぇ!?みたいな感じでさ、でも避難しやん訳にはいかんからとりあえず物資があること願うかなって」
「そっか、とりあえずうちは家戻るわ気をつけてな」
「お互いね」
そう言って馨とさよならをする。
家に着く
「ただいまぁ、お母さんいるー?」
「おかえり、今日もまたあれ?」
「そう、」
薄暗くなった家の中にはお母さんと愛猫のマロンがいた。この世界では猫も喋れるようになってる。
「今日はどうするの?うちらも行く?」
「流石になんかやばそうやしな」
「じゃあ準備しよかな」
マロンは何の話をしているのかよくわかっていないようだ。
「二人でなんのはなししてるの?」
「あぁまろちゃん、ごめんね、あんまり言いたくないんだけど今日は二人で国際に避難しようかなって思って」
マロンの目は丸くなった。
「えっ!今日行っちゃうの?」
「まろちゃんには心配かけたくなかったんだけど、1日だけお家で大人しく待っててくれるかな……」
「……」
そりゃそうだ、不安に決まってる。
場面は雨の降る世界になる。
足をなくした少女が1人。
ストレッチャーに一人で横になってる。
雨に降られて一人。
私は今かけよった。
「〇〇」
「ねぇ、なんで私こうなっちゃったのかな、こうならないといけなかったのかな」
この世界は退廃している。壊れている。一定の人々は手足が徐々になくなってしまう病気にかかる。
「こんな姿嫌だよ、ねぇ、助けて」
「助けたいよ。悲しいよね、ごめんね、でもずっと一緒だからね、変わってあげたい。」
「変わってくれるの?それは嬉しいなぁ、」
彼女はボロボロと泣きながらそう言う。
(またシーンが変わる)
平安時代みたいだ。
街は京都の碁盤の目状。
男の子の声がする。
「僕ね、不思議な人に出会ったんだ、街の角から現れた女の人。その人は僕を助けてくれたんだ。悪い奴らから」
そう言って彼の頭の中が流れる。
「その女の人は少し頭の大きな人だった。うまく歩けないみたい。街を見ると女の人がたくさんいた。男の人に何か取られているような紐が見えた。でも出会った女の人は教えてくれたんだ。この世界は男が上。女は体を売りお金を稼ぐ。自分が醜くならない限りって。それでね、この世界では悪いことをする奴らがいるんだってことも教えてくれた。女をまだ新品だ、安心できるって他者に売る詐欺師がいる事を。なんでそんなことをするかって?それはね、女の人が醜くなってしまったらその相手をした男の人も醜くなってしまうから。」
(ある家の一部始終が流れる)
二人の男の間には一人の女の子。目の前にはその家主らしき人がいる。
「いやぁ、殿方。この子はまだ幼くてきれいでっせ、ささ、ここに印鑑を」
「ふむふむ、見た目もきれいじゃな、よし、ここに印を…」
急に部屋の扉が開く
「この子、新しくないよ、もう何人もの人を醜くさせてる」
「誰だお前は!!」
「真実を述べたまでだよ」
そう女が言うと、詐欺師である男は刀を抜く。
「ぬけぬけと入ってきたかと思えばそんなことを、たま取ってやる」
「何を言い出すんですか!」
女は必死に逃げるも男に詰め寄られてしまう。
「さあ堪忍!!」
男は女に刀を振り落とす。
カキンッ
女は頭から股まできれいに真っ二つに割れた。
中からは着られたはずの女が出てくる。
「あー、皮、破れちゃった。これで私達は奇形児。みんなから醜く思われ死んでいくんだ」
そう言うと世界は広い外の世界なり男と女だけになる。
立ち位置は男が上、女が下。
上から男の声が聞こえる。
「僕の顔、歪んじゃうのかなぁほら見て伸びてる」
そう無邪気に言う男は少年の姿になっていた。
「私はどうなっちゃうのかなぁ、なんか大きくなってきてる」
女は大きな猫となっていく。どんどん大きくなり、次第には少年を自分の目の大きさくらいになるまで大きくなった。
「ねぇ少年、なんでこんなに大きくなってるかわかる?」
「どういうことだ?」
「大きくなっても失わないものあるよね」
「何が言いたいかわからない」
「そう。」
話が終わった時、少年は気が狂ったかのように女の肩から飛び降り自殺した。
ふと目を開ける。夢を見ていたみたいだ。
目の前には6つの羊羹。柿とみかんとマスカットの羊羹が2つづつ。
ここは家だ。
私は1つ羊羹に手を伸ばす。甘くてうまい。
お母さんも一つ。弟も一つ。次第になくなっていく。
「お母さん、なんだか今日は静かやね」
「そうやなぁ、ゆうすけも帰ってきたしね」
ゆうすけとは私の弟。この世界で兵に出て数日前に帰ってきた。一部手足がなくなっている。
「ゆうすけ、こんな見た目になってしまって、よく頑張ったんやな」
そう言ってお母さんは寂しそうな顔をする。
「さぁ、三人で川の字になって寝よっか」
続けてお母さんはそういった。
「うん」
鼓動が鳴り響く。
何分何時間経ったのかわからない。
外は白みだしていた。
目の前に心臓が飛び出す。
(お母さん何やってるの?)
薄目で見るとお母さんはゆうすけの心臓を切り取っていた。
ゆうすけの声が響いている気がした。
静かになると次は半田ごてで私の足に何かを彫る。
(イタイ、イタイよお母さん)
そう思いながらも抵抗はできない自分。
私に彫る終えたらお母さんも自分で同じ模様を彫る。
続けて持っていたメイク道具できらびやかにメイクを仕上げていた。
「おかあ…さん?」
蚊の鳴くような声で問いかける。
「来世はみんなで幸せになろうな」
そう言って私の心臓にナイフを突き刺す。
薄れていく意識の中でお母さんも自らの心臓にナイフを刺していた。
ぬるっと入っていくナイフがまぶたの裏に残る。
「……」
「…る」
「馨?」




