ぶりの照り焼き
「さて、みなさん」
翌朝。
亜里沙もすっかり元気な様子でオペレーションルームにいた。
奏も郁もとっても喜んでくれた。
「見事にワイバーンを撃墜したことでロットが引けます」
「おー」
「ぱちぱちぱち」
俺の手柄じゃないんだけどね。
「亜里沙のメディカルケアにそこそこポイントを使いましたが、余裕です」
岬さんも言ってくれた。
「ただ、セイバーは滑走路上でほぼ燃え落ちて、もはや修理できない状態です。まだ廃棄していないのは、ロットでセイバーが出た場合に備えてです」
うん、機体習熟度がリセットされちゃうからな。
「そしてさらに朗報です。近接信管のロックが解除されました」
「おー」
「ぱちぱちぱち」
これでスターファイヤの戦闘力が格段に上昇することになる。
ロケット弾を命中させなくてもよくなるのは大きいよな。
「と言うことで、早速近接信管は岬さんに購入してもらってある。スターファイヤのロケット弾を入れ替えてくれ」
「はあい」
「任せてください」
そしてここからがメイン。
「では、機体を引きます。基地レベルが少し上がったので、出る機体の範囲も広がったはずですから」
いいのが出るといいなあ。
「では機体のロットを引きます」
みんなが固唾を飲んで見守る中、ぽちっとな。
「あ」
「あ」
「あー」
出た機体はセイバーだった。
マジかよ。
いや、でもほら、機体習熟度が生きるしっ。
「そういうことなら、滑走路上のセイバーを廃棄処分にしましょう」
「あ、そうだな」
下取りほどではないが、ポイントが少しだけ戻ることになる。
滑走路上の機体がこれで消えるという神仕様。
「さて、となると、もう一機引くかな」
「パイロットじゃないんですね?」
郁が聞いて来る。
「うん。ワイバーンみたいなのは滅多に出ないまでも、手強いのが今後も出る可能性はあるから。3機編隊を組んで欲しいんだ」
「スターファイヤは近接信管になればパイロットだけで運用できる感じですものね」
「そうだ」
奏の言葉に頷いた。
「じゃあ、行くぞ」
俺は指を上げた。
「単座戦闘機出ろー」
ぽちっとな。
「あ」
「え」
「うわあ」
すまん、みんな。
俺、司令に向いていないのではなかろうか。
表示された機体は「セイバー」だったのだった。
◇
「別に落ち込む必要はありませんよ、先場司令」
「あ、ああ」
明らかに先場司令は落胆しているが、それは間違いだと思う。
「まず単座戦闘機が出たこと。これで本格的に3機編隊で出撃出来ます」
「うん」
「さらにセイバーなので、機体適性がそのまま適用されます」
「うん」
「同じ機体だとメンテナンスも楽になります」
これは郁。
いい援護射撃よ。
「ケイオス上のデイモンを考えると爆撃が得意な機体が欲しかったとは思いますが、3機編成になったことで対地攻撃能力も全体としては上がります」
「まあ、確かにそうか」
やっと落胆から解放されたみたいだ。
「ランニングコストを考えれば、セイバー2機で出撃をデフォルトにすることも考えられます」
「ああ、ロケット弾高いからな。しかしそうなるとパイロットの経験値が一人入らないぞ」
うん。思考も回り始めたみたいね。
「郁はメンテナンスで経験値が入ることになりますし、デフォルトでは亜里沙と奏の出撃でいいのでは?」
「うーん。いざ強敵が出た時のことを考えると、郁もパイロットとしての経験を積ませたい」
「嬉しいですっ」
郁も先場司令の意見に賛成か。
「ならば弱い敵の場合は、編隊は組んで飛ぶけれど、ロケットを撃たないという形では?」
「必要があれば撃っていいけれど、みたいな?」
「そうです」
編隊を組んで出撃していれば自分でデイモンを撃墜しなくても経験値は入る。
確かにそれはいいアイデアかもしれない。
◇
「うん、やっぱり大島司令を招待しましょう」
亜里沙が笑顔で言った。
もうすっかり元気な様子。
「メディカルケア」すごい。
「まさかのぶりの照り焼きですもんねえ」
「美味しいです、先場司令」
「うん、良かった」
招待する話はともかく、美味しそうに食べてくれるのは嬉しい。
ちなみに食事の時間は少し前倒ししている。
食事の時間の終わりごろに定期便が来るから。
「はー、美味しかったあ。ごちそうさま」
「ごちそうさま。食事が美味しいってやっぱり大事だねえ」
「司令が料理上手ってとっても当たりな気がする」
うんうん。
そう言ってくれると俺もやりがいが出るぞ。
もっと言っていいぞ。
「これ、リクエストも出来ます?」
「ん?まあ、俺のレパートリーにあれば、かなあ」
「私は食後のスイーツが欲しいです」
「おっと、そっちかあ」
「無理ですか?」
「あまり作った経験がないけど、まあ、やってみるよ」
自炊ではなかなか食後のデザートなんて作らないもんな。
大学時代に彼女がいた時に、デザートの作り方を一通り調べた記憶がある。それを思い出しながら作ってみるか。
食事をゆっくり終えて、オペレーションルームに戻ると定期便が来た。
うむ。予想通り。この時程で昼ごはんにするようにしていこう。
「敵影8。ジャイアントバット」
「了解」
3人がハンガーに走っていく。
「岬さん」
「はい」
「生クリームは好きですか?」
「それ、今聞きますか?」
「あ、すいません」
窓の外をセイバー2機とスターファイヤが離陸して行く。
「好きですよ」
岬さんが呟いた。
蒼穹に3本の航跡が伸びて行った。
これにてひとまず終了です。
三連休で一気に書き上げたので、誤字脱字はご容赦ください。
もっと機体を出したかったし、もっとパイロットも出したかった。
椎内空さんなんて名前しか出てないし、司令会議もまだしていないし。
ほんと中途半端ですいません。
またどこかの連休で書けたら続きを書いてみたいとは思っています。
拙作を読んでくださった方、ありがとうございました。




