セーラー服しかいない
「先場司令」
「ん?」
ハンガーから戻って来た奏が俺の前に来た。
「私もセーラー服欲しいです」
「あ、そうなの?」
確かに亜里沙と郁がセーラー服デフォルトだからな。
「メイド服も好きだけど?」
「普段はメイド服でいいです。でもセーラー服で揃えたいときもあります」
「そんなもんなのか」
「って言うか、私、制服でセーラー服じゃなかったから着てみたいです」
「分かったよ」
別にコスチュームはポイント安いから、セーラー服くらいはいいだろう。
俺はタブレットを手に取った。
その他からコスチュームを選択してセーラー服を探す。
学生服もいろいろあるんだよねえ。
ほんとアカシックレコード、どこにこだわってんだって問い詰めたい。
でもって最後に褒めてあげたい。
「あー、これかな」
タブの選択で、俺はちらりと岬さんを見る。
うん、岬さんの分もだな。
ぽちっとな。
「はい、買ったよ」
「じゃあ、着替えて来まーす」
奏がオペレーションルームから出て行った。
そして俺は岬さんの視線に気付く。
「うん」
俺は頷いた。
以心伝心。
「分かりました」
小さく嘆息して岬さんもオペレーションルームを出て行った。
「じゃーん」
しばらくして二人揃って戻って来た。
「おお」
何が「おお」かって、その巨乳が際立っている。
メイド服よりセーラー服の方がそう思えるのはなぜだろうか。
「おっぱい星人ですか?」
危ないっ。
この攻撃は躱さねばっ。
「男は誰もおっぱい星人だよ」
「うわあ」
郁が引いた目で俺を見ている。
「違うぞ、おっぱいに貴賎なし」
「きせん?」
「優劣はないってことだ。大きいのも小さいのもどちらも立派なおっぱいだ」
「真面目な顔で、何を言ってるんですか」
亜里沙も引いた目で俺を見ている。
「なるほど、貴賎なし。いい言葉です」
おお、岬さんっ。
まさかあなたが俺の理解者になってくれるなんてっ。
「まあ、大きいおっぱいに目が行くのは仕方ないですよね、男性なら」
おお、郁っ。
分かってくれたかっ。
「確かにねえ」
おお、亜里沙っ。
そうだっ。達観してくれっ。
「私は別に気にしないんで」
おお、奏っ。
そのスタンスはありがたいぞっ。
「私もセーラー服初めてです」
岬さんがそう言ってセーラ服のリボンをいじっている。
「似合います」
素直にそう言った。
「可愛い人は何着ても似合うもんね」
「は?」
亜里沙の言葉に岬さんが固まった。
「眼鏡属性もずるいよね」
「え?」
郁の言葉に岬さんがしゅばっと首を向ける。
「セーラー服は胸のサイズ大きくない方が清楚感出るもんねえ」
「ぐう」
奏の言葉はちょっと岬さんにダメージ入ったみたい。
「さあ、じゃあ、私はここで失礼します。続き読んで寝ます」
って言うか、奏。本当にセーラー服を今、着たかっただけなんだなあ。
「あ、私も読もうっと」
「現れた魔法使い、イケメンなんだよねえ」
なんだかんだパイロット3人はコミックが気に入ってるみたいだった。
亜里沙はあまり読まないって言ってたのに、読んでみたら面白かったんだってさ。
いや、やはり俺は読んでないんだけれども。
だって岬さんがまとめてくれた文がまだまだ未読なのだ。
何なら毎日増えていくんだ。
彼女達はアカシックレコードからの説明が頭に入って来たらしいが、俺は読んで頭に詰め込んでいるのだ。
時間が掛かるのも仕方ないと思ってくれるよな?
◇
タブレットを手に、岬さんの用意してくれた資料を読んでいた。
そろそろ就寝しようかと思ったら警報が鳴った。
「不定期便ですね」
まだセーラー服姿の岬さんが言った。
「今夜もか。まあ、まだ早いからましか」
レーダーの光点は1つ。
「ん?心なしか大きい?」
「大きいですね。3人を呼び出します」
「あ、でも来たみたいだ」
呼び出すまでもなく3人がオペレーションルームに入って来た。
なんか奏のメイド服の胸の部分の露出が増えてるんだが?
「不定期便ですね」
「1体だけど大きいわ。確認中」
「了解」
3人がそのままハンガーへ向かう。
「大きいってことは強いデイモンか」
一概には言えなないがサイズが大きいのは耐久力が高い。
「種別判明、ワイバーン?」
岬さんの表情が険しくなる。
「亜里沙、相手はワイバーン。ブレス攻撃があるわ。注意して」
『了解』
ぞわりとした。
ワイバーン。
竜との違いは前足の有無。
竜には前足があるのに対して、ワイバーンは前足の部分が翼になっている感じ。
そして脅威なのがブレス攻撃だ。
いわゆる口からぶわーって吐かれる炎みたいなの。
そんでもって竜麟と呼ばれる鱗が硬い。
「がんばってくれ」
拳を握りながらそう言わずにいられない。
「先場司令。場合によっては銃座についてもらいます」
「あ、ああ」
要するに3人ではワイバーンを仕留められない可能性があるということだ。
『タリホー』
発見したという報告が入る。
がんばれ。
がんばれ、亜里沙、郁、奏。
奏のメイド服の露出が増えたのは、彼女の意識の中で、先場司令になら見せてもいいという認識になったことが反映されています。w




