第七章 ルナの決意
ルナは一人、古代魔王ダークロードの居城に来た。
「これはこれはルナ姫、この老耄になにか用かな」
ダークロードはそう言いながら、目を左右に機敏に走らせ、田中がいない事を訝しんでいた。一人…か?
「ダークロード、私の僕となりなさい。共にオメガを倒すのです」
「要らぬ事でしょう、あなたには田中がいる。違いますか?」
「今度ばかりは田中では倒せません、あなたも知っているでしょう。究極体となったオメガは不死身です。時空の間に生きこの世界が続く限り復活します。人間である田中は…僅か100年しか生きられないのです」
「ほうほうほう」
ダークロードは愉快そうに不気味に笑った。
「ダークロード、あなたの剣はあらゆるものを切り裂き、またあらゆる物をくっつけることができると聞きます。例え時空であっても」
ダークロードは我が意を得たりと、不気味な髑髏の顔を歪めた。
「そうだ、オメガは倒せない。唯一封じることだけができる。私ならばな」
ルナは交渉がうまくいきそうでホッとした。
「良かった。ありがとうダークロード。あなたは真のロードです。これは我々魔族だけで解決すべき問題だったのです。」
田中がいない事を確信したダークロードも、胸をなでおろした。
「では姫、参りましょうか、オメガ討伐へ」
ダークロードは指を伸ばし腕を振ると、そこに亀裂が走りオメガの居城が現れた。
ダークロードは一振りの剣となり、ルナの手に収まった。ルナは亀裂に足を踏み入れた。
「さようなら。田中君」
ルナが通ると亀裂は閉じた。その先はどこに繋がっているのかもわからない。