第一章 転校生は魔法使い
第一章 転校生は魔法使い
「えーっと、今日から転校してきました、星野ルナです。よろしくお願いします」
教壇に立つ少女は、まるで異世界から迷い込んできたかのように美しかった。
銀色の髪が教室の蛍光灯に反射してきらめき、紫の瞳が僕たちクラスメイトを見回している。
僕、田中太郎は思わず息を呑んだ。こんな美少女が僕たちの2年B組に転校してくるなんて。
「星野さんの席は...田中君の隣の空いている席にしましょうか」
担任の山田先生の言葉で、クラス中がざわめいた。なぜか僕の隣の席だけがずっと空いていたのだ。まるで彼女のために用意されていたかのように。
ルナは僕の隣に座ると、小さく微笑んだ。
「よろしく、田中君」
その瞬間、僕の筆箱が宙に浮いた。
「え?」
慌てて筆箱を掴む僕を見て、ルナは慌てたような表情を見せる。
「あ、あの...今のは風が...」
窓は閉まっている。エアコンも止まっている。
放課後、屋上で僕は彼女と二人きりになった。
「君は魔法使いなんだね」
「...バレてた?」
ルナは観念したように手のひらに小さな光の玉を作り出した。
「実は私、魔界から人間界の高校に留学しに来たの。でも魔法を隠すのって思ってたより難しくて...」
そんな彼女の告白から、僕の非日常が始まった。魔法の暴発で教室が大変なことになったり、魔界の追っ手が現れたり、気がつけば僕も巻き込まれて冒険する羽目に。
平凡だった高校生活は、彼女と出会ったその日から、まったく違うものになっていく。