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【コミカライズ】チートなスライム職人に令嬢ライフは難しい!  作者: ただのぎょー


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第90話:隠していたらただではおかぬぞ


「まあ、なんだな。軍事には向いてないことを身体で示したか」


 ファミンアーリ王はウニリィを見ながらそう言って笑う。


「お見苦しいところをお目にかけました……」


 ウニリィは頭を下げ、王は軽く首を左右に振った。


「彼女とそのスライムたちは確かに能力的には軍事に有用でしょう。ですが、いまご覧になった通り、彼女の性格的にそれが向いていないとうことに加えもう一点。軍事などに使うのは勿体無い」


 マグニヴェラーレはそう言った。

 彼がウニリィについて国王にそれを示しておきたいのだ。彼女の能力をできるだけ秘させるつもりではあるが、秘密とは漏れるものであるし、そもそもスライムたちは主人であるウニリィの役に立つということを求めていて、能力を隠す気がない。

 いずれ軍部が嗅ぎつけた時、彼女を確保しようとするだろうが、王が目をかけているとなればそれを止めることができるということだ。


「つまり、他の有用性を示すというのだな」


 マグニヴェラーレはウニリィに視線をやる。彼女は頷きを返した。

 実のところ、これに関しては事前に相談してあるのであった。


「はい。まだ試作段階で量産が効くものではありませんが、こちらを」

「つまらないものではございますが、これを献上させていただきます」


 ウニリィがそう言い、マグニヴェラーレは魔術を使って虚空から物を取り出すのだった。

 国王陛下と個別に会うというなら手土産、献上品は必須である。地方の貴族であれば、その土地の特産物を送るというのが上等だ。

 田畑広がる地域であれば農産物、山であれば獣や魔獣の肉や毛皮、海沿いであれば魚介だが腐りやすいものが多いので、乾燥したナマコなどは古くから珍重される。

 とはいえ、普通は国王に渡されるのは目録であり、現物を渡すことはない。それにカカオ家は領地を与えているわけでもないので、スライム核などのスライム製品が献上されるかと王も思っていたのだが……。


「それは……」

「オムレツでございます」


 皿の上に湯気を上げる黄色い物体が載っていた。魔法で保温していたのだろう。


「う、うむ? オムレツか。それにしてもシンプルであるな」

「素材の良さを判断していただくために、あえてそうしています」


 国王としても、マグニヴェラーレは弟のように気安い関係であるとはいえ、よもや食べ物を直接持ち込むとは思っていなかったので面食らった。

 

「それだけの価値があると」

「はい」


 卓の上に静かに置かれたそれに、どれ、と身を乗り出したところで背後から咳払いが一つ。


「陛下、さすがに毒味を」

「そうだな、ではじいがやってくれ」

「御意にございます」


 老侍従が前に歩み出た。


「マグニヴェラーレ様もいたずらがすぎますな」

「すまんな。だが、これが一番早く理解いただけるとの判断だ」


 老侍従はさっとナイフでオムレツを切り開き、中になにも隠されてないのを確認すると、一切れを口に入れた。


「……うっ!」


 老侍従は口を押さえて呻いた。瞳がこぼれんばかりに目を大きく開く。


「どうした! じい!」


 ただならぬ様子に王が声をかける。


「……これはいけませんな」


 侍従は口から手を離すともう一切れ口に運ぶ。さらにもう一切れ。

 王は唖然とし、侍従を止めた。


「やめよ! じい、そんなか。そんなにうまいのか」

「確かにこれは献上するに値する逸品ですな。美味しゅうございました」


 ファミンアーリ国王はいそいそと皿を奪い取ってオムレツを口に運ぶ。

 一国の王がオムレツに必死な姿は笑いを誘うが、ウニリィはそれを堪えた。そして国王も目をくわっと見開き、叫ぶのであった。


「なんだこれは! 尋常ではないぞ!」

「そうでしょう」


 国王は一口一口に時間をかけてオムレツを味わい、空になった皿を見つめて言う。


「もっと持たぬか」

「試作で量がないと申し上げました」


 王はぐぬぬと唸った。


「本当か、隠していたらただではおかぬぞ」


 マグニヴェラーレは笑って籠に入った卵を卓上に置いた。


「今はここにあるのがで全てです。製法としては流通に足る量は確保できそうにありませんが、献上いたします」

「け、献上いたします」


 ウニリィも頭を下げた。国王は大事そうに籠を抱えて頷く。


「良かろう。これには王室御用達の……いや、まだ研究段階、そうだな。うむ、王室の直轄事業としよう」


 ひぇー、とウニリィは恐縮する。

 国王陛下は侍従にいくつかそれに関して申しつけると、ウニリィに向き直った。


「話が逸れてしまったが、最後に汝の兄、ジョーシュトラウムについて話をしよう」

「は、はいっ! ジョーが何か不敬を働きましたか!?」


 なぜかウニリィはいつもジョーが罰せられる気がしてならないのである。


「いや、そうではない。彼の者も従軍していた戦が勝利に終わったとの報告があったのよ。そこでジョーシュトラウムは大きな戦功をあげたとのことだ」


 ウニリィは安堵した。どうやら兄は無事であるらしい。


「良かったです。えっと、あ、それとおめでとうございます!」

「うむ。そこでだ。汝に相談がある……」


 なにやら国王がウニリィに相談事とやらをもちかけた。

ξ˚⊿˚)ξ崩壊世界の魔法杖職人読んでたら更新が遅れました!(違


明日は、聖地巡礼してきますー。

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― 新着の感想 ―
唐突に大利出て来て困惑
オムレツの中にチーズが入っていたら更に美味しくなるの……… チキンライスでもいいの
パクパクですわ( ˘ω˘ )
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