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【コミカライズ】チートなスライム職人に令嬢ライフは難しい!  作者: ただのぎょー


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第76話:もーもーひひーんめーこけー!

ξ˚⊿˚)ξ報告はタイトル見ればわかりますね!

「ぼーぼーよ」

「ぼーぼーね」


 二人は笑いだした。

 箸が転んでもおかしい年頃の、十代女子である。そりゃあある朝、草がぼーぼーに伸びていたら笑ってしまうのも仕方ないことである。


「あははは……っはっ!」


 シーアが突如、笑いを止めてぴっと背筋を伸ばした。


「シーアちん、どしたの?」

「おはようございますー、わたくし、ウニリィさんの友人のシーアと申します。お世話になっておりますー」


 彼女はマグニヴェラーレがいることに気づいたらしい。

 突如、自己紹介じみたことをし始めたシーアの声は先ほどまでより1オクターブ高かった。


「ええ、おはようございます。先日もお会いしましたね」

「まぁ、覚えていただいて光栄ですー」


 マグニヴェラーレの言葉に、シーアは頬に手を当てて微笑んだ。


 もー。


 だが、合いの手を入れるように鳴いたのは牛である。


「シーアちん、その喋り方似合わないし、おばさんくさいからやめた方がいいよ」

「そう? そうかも」


 なぜ村のおばさま達は先生とかイケメンとかを前にするとこういう喋り方になるのか。ウニリィはそんなことを考えながら尋ねる。


「んでシーアちん、どーしたのよ」


 ウニリィの家は村の外れにあるので、わざわざ用がなければこちらに来ることはない。

 シーアとウニリィは同じ村に住む友人であるが、今は朝の5時頃である。さすがにこんな時間にシーアがやってくるようなことはなかった。


 もー。


「いやね、うちの牛のポチコさんなんだけど」

「相変わらず犬っぽい名前ね」

「そう? そのポチコがウニちんの家の方にずんずん歩いてきたがって……」

「牛が」

 もー。


 よく見ればシーアは体重を後ろにかけて、ポチコを後ろに引っ張っていた。ウニリィの方向に進もうとするのを止めていたらしい。


「それで一番暴れてたのを、お父さんがちょっと外に連れて行けっていうんで、連れてきたらここだったのよ」

「牛がどうしたのかしら?」

「どうしたって……理由が分からなかったけど、これなんじゃない?」


 シーアはカカオ家の牧草地を指差した。

 まあ、昨日までは特にこちらにきたがる様子など全く見せていなかった牛が、今朝になったら急に来たがったと言われれば、理由はこれしかあるまい。


「草」


 もー。


 ウニリィが問えば、牛は鳴き声をあげる。

 彼女はスライムテイマーであり、牛の言葉がわかるわけではないが、その視線が牧草地に固定されていたり、これに興味があるのは明らかだった。

 ウニリィはふと顔を村の中心の方に向ける。


 もーもーひひーんめーこけー!


 朝は動物たちが目を覚ます時間である。

 それにしても今日は騒がしいような気がした。彼らはみなこの草を気にしているのだろうか。


「ヴェラーレさん、どうしましょう」

「ふむ、少々お待ちを」


 ヴェラーレはまず簡易の〈鑑定〉の魔術を牧草に使う。

 オーチャードグラスであるとマグニヴェラーレの脳裏に草の情報が流れてくる。イネ科の牧草として一般的なものの一つだ。魔力による過成長であるが、毒を持つなどの有害な変異ではないらしい。


「問題はないようですね。……〈風斬〉」


 次に使ったのは風の刃を生む魔術である。彼の正面の牧草が、膝丈くらいを残して1mほどの距離まで刈られた。マグニヴェラーレは草が倒れる前にそれを束ねて担ぐ。


「おー」

「おー」


 女子二人はその手際に拍手した。


「すごい、便利」

「一家に一人欲しい」


 農家にとって草刈りや収穫は重労働なのである。

 王家に仕える魔術師を草刈りに使うことなど当然できないが。

 マグニヴェラーレは笑いながら抱えた草を地面に置く。


 もーーー。


「きゃあっ!」


 ポチコは地面に置かれた草に突進し、シーアは耐えきれずに地面に転んだ。


「あいたたた、もー」

「大丈夫?」


 ウニリィがシーアを起こす。


 もっしゃもっしゃもっしゃ。


 牛は一心不乱に草を食んでいた。

 草が大きくなったから硬くなって食べづらいとか、そういうこともないようである。


「おいしいのかな?」

「ウチでこんなに食欲あるのみたことないんだけど」


 ポチコは草をひと束平らげると、足元にいる黄色いスライムを鼻でついた。


 ふよん。


 スライムが揺れる。なんとなく、牛がスライムに感謝をしているように見えた。


「スライムに感謝している?」

「かな?」


 これをスライムのしわざとわかっているのか。そもそもここはスライムの居場所であるから、そこの草を食わせてもらったことの感謝なのかもしれないが、そこまでは分からない。

 そして牛は天を見上げる。そして高らかに鳴き声を上げた。


 もおぉぉーー!


 明らかにご機嫌な声であった。


 もーもーひひーんめーこけー!!


 村の方から動物たちの声が響いてくる。

 先ほどよりもずっと大きな音で。


「ずるいぞ、私たちにも食わせろって言ってる気がするわ……」

「間違いなくそうね」


 シーアが頷く。

 え、やばくない? とウニリィは思ったのであった。

ξ˚⊿˚)ξはい、コミカライズすることが決定しました。


ξ˚⊿˚)ξやったー!


そしてそれに伴ってタイトルやらタグを変更しました。

詳細は活動報告に記載していますので、ご興味ある方はぜひそちらに。

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― 新着の感想 ―
草www おめでたいございます。
コミカライズおめでとうございます! 地図が出てくるか楽しみです
おめでとうございます♪ よきよき❤
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