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【コミカライズ】チートなスライム職人に令嬢ライフは難しい!  作者: ただのぎょー


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第62話:マサクィさーん?

「もー」


 ぱぁん!


 ふよん。


「もーー!」


 ぱぱぁん!


 ふよよん。


 スライムはもとより粘体の体ゆえに打撃に対して丈夫かつ、感覚器官が鈍いために、ウニリィが叩いても痛みなどを感じることはなかった。

 さらに大きくなってしまったいまや、怒って叩いても楽しげにふよふよ揺れるだけである。

 ウニリィはスライムを叩くのを諦め、ざっと足音を立ててマサクィの前に立った。


「マサクィさーん?」

「はーーいぃ!」

「何してたのー?」

「ちょっと空の散歩をー!」


 はぁ、とウニリィはため息をつく。


「立ち上がってくださいます? なんかこれじゃ私が悪女みたいです」


 その言葉に背後から笑い声がする。マグニヴェラーレもこちらに向かってきていたのだ。

 成人男性に土下座させてその前に立っていたら、それはそうも見えるというものである。

 マサクィは立ち上がり、そちらに頭を下げた。


「ちょっと、終わってませんよ!」

「はいぃ!」


 マサクィが背を伸ばし、直立する。

 ウニリィはマサクィの胸を指でびしりと突いた。


 びしっ。


「あんなことさせて、スライムに問題はないでしょうね? いない間に無理させてないでしょうね!?」


 スライムたちの主である彼女にとって、まずは心配事はそれなのである。


「だ、大丈夫です! ……ね?」


 マサクィはスライムに同意を求めた。


 ふよん。


 スライムは問題ないと言いたげにふよりと揺れた。まあ、ウニリィもさっきスライムを叩いた際にその健康については理解しているのだが、確認は重要であった。


「それにしても、こんな空を飛ぶとかいう面白そ……危険なことをなんで私がいない時にやるのかしら!」

「ウニリィさん今ちょっと本音が……」

「お黙りなさい!」


 びしびしびし。


「あうっあうっ」


 背後からクレーザーが声をかける。


「ウニリィ、もうそのへんで」

「はぁい」

「クレーザーさんも、サディアーさんもお帰りなさい。サレキッシモさんはいないっすか」

「うん、ちょっと王都で用事がって」

「なるほど、それとお客さんっすね、初めまして。テイマーのマサクィと申します。よろしくおねしゃーっす」


 マサクィは改めて貴族風の青年に頭を下げる。


「マグニヴェラーレ・オーウォシュだ。宮廷魔術師をしている」


 マグニヴェラーレはそう名乗った。おお、家名こそ知らないが、お貴族様でしかも宮廷魔術師であるという。それがなんでこんなところに来たのだろうか。マサクィの表情にその疑問が現れていたのだろう。マグニヴェラーレは端的に説明する。


「私は彼女の後援者になったので」

「マジっすか!」


 マサクィは驚愕した。


「おお、ウニリィさん。まさか王都に行って数日で貴族のパトロンを見つけてくるだなんて! めっちゃ敏腕じゃないっすか!」

「ふふん」


 ウニリィは胸を張る。

 マグニヴェラーレは苦笑した。


「いや、マサクィ君と言ったか。パトロン、確かにそういう側面もあるんだがね」

「はぁ」


 一般に後援者といえば、貴族がお気に入りの音楽家や画家などを抱え込み、資金援助などをすることである。もちろん芸術以外にも、価値の見込まれた工房などもその対象であり、ウニリィのテイム能力かクレーザーの作る製品、あるいはその両方が彼に見込まれたのだとマサクィは判断したのだったが……。


「どちらかというと、保護責任者という側面が強い。それで、カカオ家の飼育場を見学に来たというわけだ。まあ、到着する前から興味深く、驚愕に値するものを見せてもらったけどね」


 責任者、つまりウニリィがトラブルを起こした時にその責任を取るということである。平民や冒険者なんかの言い方であればケツ持ちというやつだ。

 それを言い出されたとは、つまり王都に滞在していた短い間でウニリィが貴族のケツ持ちが必要になるようなトラブルを起こしたというわけで……。

 マサクィはにっこりと笑みを浮かべた。


「ウニリィさん」

「うっ……」

「何やったんすか、正直にゲロっちゃいましょうね」


 というわけで、ウニリィは王都での出来事を説明させられたのである。王城の謁見の間でスライムを出して逮捕されたこと。牢屋から脱走しようとして捕まったこと。王都でスライムが酔っ払って増えて問題になったこと。


「なんすか、ウニリィさん! 自分よりずっと大問題起こしてるじゃないッスか!」

「うっ……」


 マサクィがウニリィの頬を突く。


 びしぃ。


「スライム増殖はまあサレキッシモさんのせいにしても、王様の前でスライム出すとか! 前代未聞にもほどがあるッスよ」

「う゛っ……!」


 びしびし。


「そしてまさかの脱獄!」

「ううっ……!」


 びしびしびし。


 ふるふると、スライムたちも楽しげに揺れている。 

 正直、ウニリィも自分で言っててこれは無いなと思ったのである。


「ま、そんなんでも無事に戻ってきてくれてよかったっすよ」

「……そうね、本当そうね」


 ウニリィが安堵したように言う。

 青いスライムを抱えて戻ってきたセーヴンが言う。


「ええ、本当に。旦那様、お嬢様、改めておかえりなさい」

「おかえりなさいっす」


 マサクィもそう言い、ウニリィは笑みを浮かべた。


「うん、ただいま」


 こうして、ウニリィたちはエバラン村に帰り、マグニヴェラーレを交えての生活が始まるのであった。

ξ˚⊿˚)ξなんか第二部完って感じ!


といってもこの後も普通に続きますけどもね。

コンゴトモヨロシク。

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― 新着の感想 ―
さっきスライムを叩いた際にその健康については理解しているのだが パァンは打診、鎬紅葉。
実家のような安心感(物理)
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