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【コミカライズ】チートなスライム職人に令嬢ライフは難しい!【一巻4/7発売!】  作者: ただのぎょー


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第150話:美味しゅうございますわ。

 ミドー家の皆はいそいそと卵を割り、その美味しさに驚愕、感嘆の声を上げる。

 女性陣ですら、ぱあっと目を輝かせ、口もとを押さえるほどだ。

 一方で食べたことのあるウニリィが気になるのは卵割り器である。わくわくと道具を手に取り、卵に被せ、金属球を持ち上げて落とした。


「おおぉ……!」


 綺麗に割れている……!

 それにしか使い道のない道具というのはなんとなく面白さや豊かさをかんじるものである。くるみ割り人形とかそうだ。

 そしてこの卵専用でございという顔をして鎮座しているスプーンもそうだ。ウニリィはそのほっそりと小ぶりな銀のスプーンを手に取って卵を掬って口に運ぶ。


「何これ、うっま………! 美味しゅうございますわ」


 ウニリィは思わず叫び、ちらりと周囲の様子を伺うと、上品に言い直した。

 クレーザーは卵を割りながら、呆れた顔で言う。


「いや、お前この卵確かに美味いのはわかってるけど、何度かうちで食べてるだろ」

「違うのよお父さん、食べればわかるから!」


 ウニリィはそう主張する。ふーん? とクレーザーは訝しげな表情を浮かべてひと匙口に運んだ。


「うわ、うっま…………! 美味しゅうございますわ」


 クレーザーも思わず叫び、上品に言い直した。公爵家の者たちが笑い、ウニリィは頬を膨らませる。


「……口調まで真似しないでよね」

「いやいやいや、驚いた」


 茹で卵でも凝ったものであればキャビアを載せたりなんだとしたものもあるが、これは本当に茹でただけの卵である。素材の味を示すというのもあるだろうし、小細工は不要であると思ったのかもしれない。それでもウニリィが自宅で茹でるのと、公爵家の料理人が茹でるのではこれほどの違いがあるのかと驚かされたのだった。


「カカオ卿、これの量産は可能ですかな?」


 公爵がずいっとクレーザーに身を乗り出して問う。


「残念ながら限られた量になりますね。スライムの魔力を大量に使用するためです」


 ウニリィもこくこくと頷いた。だがレンティヌラはめげずに問う。


「では、その生産に当家が出資することはいかがですかな?」

「あー……恐れ多くも国王陛下から援助がいただけると」


 むむむ、とレンティヌラは唸り、マグニヴェラーレを睨んだ。


「お前こんなものをウチに黙って陛下に持って行くなど……」


 国王との謁見時にオムレツを持たせたのはマグニヴェラーレである。

 彼は軽く肩を竦めた。


「それをしたらウチと王家とキーシュで取り合いになるのがわかっているではないですか。それなら争いはない方が良い」


 ミドー公爵家に最初に持ち込めば、後から食べた格上の王家や同格のキーシュ公爵家が黙っていない、取り合いになるということである。先にトップである王家に持っていけば手出しがされないということだ。

 もちろん、ミドー家の利益について優先したなら、それでも先に父に相談すべきではあったであろう。だがこれは、完全にカカオ家のものなのである。


「ウニリィ嬢は陛下の前にスライムを持って行ってしまう珍事もありましたからね。そのお詫びという側面もあります」

「ぬう……」


 そう言われれば父としてもぐうの音も出ない。まあ、ちゃんとミドー公爵家にもエバラン村の食材が流れるように、取り分が増えるようにせねばならないと決意したのである。


「うひぃ」


 クレーザーが変な声を上げた。


「どうしたのお父さん」

「いや、なんか急に寒気が」


 公爵家の一同の熱視線を受けて、クレーザーは身震いしたのであった。

 その後に出た料理もシンプルなものであったが、素材の良さは十分に引き出されていた。クレーザーは公爵家一同や、感激して食堂に駆け込んできた公爵家の料理長らにさんざん褒め称えられ、熱のこもった歓待を受けた。

 好きではあるがあまり強くもない酒もかなり飲まされた。国王陛下も好むというオッターフェスタの何年ものがどうこうなどちょっと希少性やら金額が気になってしまって純粋に楽しめたかとは言い難かったが。

 そして足元を少しふらつかせながら、客間へと連れていかれるのだった。

 ぼすん、とソファーに身を投げれば、柔らかな座面がクレーザーの体重を優しく支える。


「随分酔っ払いましたね。水は飲めますか?」


 使用人が声をかけてくる。


「お、おおー」


 クレーザーが肯定すればグラスに水が注がれて渡される。こぼしそうな様子を見てか、グラスを使用人が支えてくれたので、クレーザーはこぼすことなくごくごくと水を飲んで、少し意識がはっきりとした。


「ん、どうも……おお、サレキッシモくんじゃないか」


 使用人の服に身を包んでいたのはサレキッシモであった。


「ええ」

「いたのか」

「そりゃいましたよ、酷いですね」


 サレキッシモは笑う。ウニリィと一緒に来たのだから当然ここにいるのである。

 ただ、使用人としてきているのに加え、ミドー家の者たちが熱狂的にウニリィやクレーザーを出迎えたために、そっと控えていただけのことであった。


「ありがとうな」

「いえいえ」


 クレーザーは酔った頭に、なんとなく感じるものがあった。


「サレキッシモくん」

「はい」

「何かあったか?」

「いえ、何も。ただ……」


 サレキッシモは笑みを浮かべる。どことなく、今までの彼のものと違う。どこか透明な笑みであった。


「ただ?」

「そろそろお暇しようかと」

ξ˚⊿˚)ξ16日、月曜日に竹コミのコミカライズが更新されてますわ!


5話→先行有料公開

4話→無料公開


なのでどちらのユーザの方もぜひぜひー。

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― 新着の感想 ―
そ、そんな、サレキッシモ行かないで……!!
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