表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】チートなスライム職人に令嬢ライフは難しい!  作者: ただのぎょー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/112

第15話:がっでむ!

 ウニリィだって好意を向けられていたと言われたこと自体が嬉しくないわけではない。

 しかし、ここで問題となるのはウニリィが貴族令嬢となったために彼がウニリィと結ばれるのを諦めたことである。なぜならこれはエバラン村全体の男性にとって同様であるからだ。

 つまり、この村にはウニリィたちを除いて貴族なんていないのだから、村で結婚ができないということになる。


「ちょっとナンディオさんよろしいですか?」


 ウニリィは家に戻ると、ナンディオを呼び止めた。


「ええ、もちろん」


 ウニリィは今あった出来事を大まかに伝える。

 実はナンディオもセーヴンから先に相談を受けていたのだ。つまり、貴族令嬢となったウニリィに近付いても大丈夫なのかと。よってセーヴンがウニリィに好意を伝えて将来の幸いを願ったことに、ナンディオはひっそりと感心していた。

 ウニリィは尋ねる。


「ひょっとして私って、エバラン村の人たちと結婚することってできなかったりします?」

「えーとですね……貴族と平民との結婚は禁じられているわけではありません。法的には」


 ナンディオは歯切れ悪くそう答えた。つまり法的ではないところに問題があるのである。

 彼の語るところによれば、貴族が平民と結婚することはあまり好ましいとされることではなく、他の貴族たちからはどうしても下に見られる傾向にあると。

 クレーザーやウニリィにとってはそれでも全く構わない。だが……。


「特にここカカオ家においては、ジョー殿が公爵家のご令嬢を娶るため、ご実家の格を上げようとしているところですから」

「平民はまずいと。例えばマサクィさんとかも……」


 彼は銅級のテイマーであり、冒険者でもある。ナンディオは頷いた。


「そうですね。彼は年齢を考えれば優秀な、将来が期待できるテイマーだと私も思います。ですが現状としては……。平民でも国内有数の大店などであればまた変わってくるのですが……」


 ナンディオは言葉を濁したが、ここで平民、それもただの村人やテイマーと結婚されるわけにはいかないということである。

 ウニリィには同格である男爵、可能なら子爵家あたりの次男や三男を捕まえてカカオ家に婿入りさせて欲しい。それが求められているのだ。


「そんなこと言われてもお貴族様に知り合いなんて……」


 エバラン村にも当然このあたりを治める領主の貴族がいるが、面識はない。


「もちろん、そのあたりのご紹介につきましては、こちらとしても全力で協力させていただきます」


 ナンディオは力強く頷いてみせた。

 ウニリィはナンディオをじいっと見上げる。


「……なんでしょう?」


 立派な騎士である。風体もよく、村の娘たちがきゃーきゃー言うのも分かろうというものだ。年齢は三十前後。十五のウニリィからしてみれば倍であるが、このくらいの年齢差は決して珍しくはない。商家の丁稚でっちが店を構えられるまでになってから嫁を探すとなれば、四十くらいの夫に嫁ぐというのも良くある話である。


「騎士様はどうなんですか?」

「騎士階級が悪いとは言いませんが、地位としては男爵より下ですね」

「でも同じ騎士といっても、ナンディオさんってかなり立場が上なのでは?」


 ナンディオは頭をかいた。


「私は子爵家の四男で、ノースジョー侯爵家の分家なので」


 実家が太い! ウニリィは思う。つまり裕福であるからこそ鎧や馬なども立派で、服飾にも知識があるし礼儀正しいし、そして言っていたように貴族家にも伝手があるに違いない。

 だが、そもそもナンディオ自身が結婚の条件に合致した、好物件であるのではないか。ウニリィはぐいっと身を乗り出して尋ねる。


「ちなみにナンディオさんってご結婚は……」

「私は既婚者ですよ」


 ウニリィは地に膝をつく。


「……長男は五歳です」


 ウニリィは地に手までついて叫んだ。


「がっでむ!」


 ウニリィ、神を呪う魂の叫びであった。


「最近の物語では最初に出てきたイケメンがヒーローなのに!」


 彼女は、というかこの村の娘たちは王都で流行の恋愛物語が流れてくるので、それを好んで読んでいる。平民向けのものであるから、安い紙の束のような本だが、それを回し読みしているのだ。

 その内容も貴族向けのものとは違い、平易でさらっと読めるようなものが大半である。登場人物も少なく、ウニリィの言うように物語の最初に出てきた男性と結ばれるような話が多い。

 こういう物語を王都で流行っていることから第一の都市(アルファポリス)風などという。


「そんなことを言われましても……」


 そう言われてもナンディオとしても困るだけである。

 ナンディオも地に膝をつき、ウニリィの手をとってその身を起こさせた。


「これから王都に行くのです。シルヴァザで素敵な服を探し、それを着て出かけましょう。ウニリィさんは素敵な女性ですから、素晴らしい殿方との出逢いがありますとも」

「ううっ……はい」


 ウニリィの苦難の婚活はここから始まったのであった。

ξ˚⊿˚)ξ気分的には第一章完。


業務連絡。ちょっと拙作、マメー2巻の書籍化関連作業など別件の用事がありまして、来週からの更新を週4にします。月火木金更新で。

よろしくお願いしますー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


『マメーとちっこいの〜魔女見習いの少女は鉢植えを手にとことこ歩く②』


2025年7月15日発売


画像クリックでTOブックスのページへ飛びます

i913987

『マメーとちっこいの〜魔女見習いの少女は鉢植えを手にとことこ歩くコミックス①』


2025年7月15日発売


画像クリックでコロナExのページへ飛びます

i913987
― 新着の感想 ―
>こういう物語を王都で流行っていることから第一の都市(アルファポリス)風などという。 確かにアルファなポリス!! くっそ、上手すぎるなほんと……!!! 失礼しました、完結してから読もうと思って我慢…
一昔前の女性誌に書いてあった 良い人は皆んな売約済みって! つらたん
これはいいガッデム。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ