調査延長
帰宅後、私は王宮にある禁書庫の利用申請を送って寝たのですが...まあ深夜なので当たり前ですが承認されてないですか。では、承認されるのを待ちながら王族書庫とレクロ家の書庫を漁りますか。
ロルーリに手紙を送って、と。それでは手紙を待ちつつ準備してご飯に行きますか〜。
お、レクロ家の伝書鳩が帰って来てますね。
いつ来ても大丈夫だそうです。ありがたいですね。レクロ家の書庫の場所を確認してから向かいましょうか。
...ここですね。帰ってきたら読むとしましょう。
場所もわかったことですし、王宮に行くとしましょうか。
「レミーラ、久しぶり。四日ぶりかしら、元気だった?」
「はい、お久しぶりです、ロルーリ様。いつもと変わらず、元気に過ごしておりました。そして、本日は急なお願いでしたのに、ありがとうございます。」
「いいえ、友達のお願いかつ王国民にも関わることですからね。友として王族の一人として少しでも手伝うことができ、大変嬉しく思いますわ。では、向かいましょうか。」
「はい。」
「すみません、今朝利用願いを出しました、ロルーリ・リャン・ソルメクナ、そして同伴者、」
「レミーラ・レクロです。」
「利用願い、承認されましたでしょうか?」
「...はい、午前中ですね。承認されています。どうぞ。」
「ありがとうございます。そして、その利用願いにも書きましたが、王国会議に関することですので、私たち以外の人は入れないようにしてくださると嬉しいのですが。」
「...はい、わかりました。緊急の場合などのどうしても入らばければいけない場合はノックして一声かけてからにすることを誓います。」
「別に誓っていただくほどではないのですが、ありがとうございます。今、中に人はいませんか?」
「はい、私も承認しておりませんし、履歴を見るにも誰もおりません。」
「ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
「ふー、ありがとう、ロルーリ。」
「困ったときはお互い様だからね。それで?私まだ詳細までは知らされていないのだけれど、教えられる範囲だけでも教えてくれない?」
「んーっと、昨日モクケ大陸に真魔発生する予兆で魔物増加しているかを調べに行ったのね。」
「うんうん。そこは聞いたわね。」
「それは、歪みはあるし、地下スライムの黒化も進んでいるしで真魔の発生は間違いないんだけど、ここ500年の中で最も増加率の増え方が遅く、このような増え方をしたのはここ500年起こっていないのよ。」
「なるほど?」
「だから、王族書庫とレクロ家の書庫、そして禁書庫を使って過去1000年の歴史を遡って増加が遅い原因、このような事例は過去にないかを調べる、って感じ。」
「なるほど...それで一箇所の文献だと事実を捏造していたらわからないし、国家規模で隠されて禁書庫に記録が隠されていたらわからないから三箇所の書庫を使うと。」
「そういうこと。てことで感謝。さすがはロルーリ様ですわ。」
「ふふ、ありがとう。使えるものは使ってこそよね。」
「そうですわね。」
「フフフ。」
「フフフ。...んでまあその外向きモードはいらないのですけど。」
「あら残念。」
「じゃあそのぐらいかな、よい?」
「んー、一個質問いい?」
「何個でもどうぞ。」
「レクロ家の書庫を使わないのは家だから調べる気になればすぐ調べられるから、よね。でも、なんで王族書庫が禁書庫よりも先なの?優先順位どうやってつけたの?」
「レクロ家の書庫を使わない理由は正解。そして、禁書庫は陛下の承認がいるじゃない?多忙な陛下は承認まで時間がかかってしまうので、その時間を待つために王族書庫。あと運良く早くに承認されたらすぐ調べられるように王宮にいるって感じ。まあ承認までは一日以上かかると思うけれど。」
「なるほどね、ありがとう。以上だし、ぜひ王族同伴でないと使えない王族書庫で調べて時間を潰していって。」
「ありがとう。第二王女様。」
「レミーラ、そろそろ午前が終わそうだけどなにかわかった?」
「んー、少し書かれていたのが再び起こっている感じかなあ。でも、情報が少ないから禁書庫に詳しいことが書いてあるものがあるかも。」
「じゃあ収穫は合ったけど少ないって感じか。残念ね。」
「まあ禁書庫にはありそうだし、承認待ちだね。」
「あ、まだ承認されてないのね。」
「うん、多分。ここに何も来ないし。今日忙しいって?」
「あー、そういえば今日忙しいかも。会議三個あるって言ってたわ。」
「じゃあ承認は明日かな。」
「ごめんね。すぐ承認できなくて。」
「いや、誰も悪くないし大丈夫。気にしないで。」
「ありがとう。ところでどうするの?承認されるまで王宮で時間つぶしていく?」
「んー、いいかな。いつになるかわからないし、ただ待っているぐらいだったら家帰って書庫で調べてみようかな。」
「そっか、まだ調べなきゃなんだもんね。了解。じゃあ馬車まで送ろうか。」
「まあ!王女様直々に!?」
「わざとらしいわねえ。まあ、準備ができたら行きましょうか。」
「そうですね、ロルーリ様。」
「「ありがとうございました。」」
「...あ、お疲れ様でした。」
「ロルーリ様、本日は急なお願いだったにも関わらずありがとうございました。」
「いいえ、先程も申し上げましたが困ったときはお互い様ですわ。親友の手伝いができることとても嬉しく思ってます。」
「...おや、レミーラ様でしょうか。お久しぶりです。」
「ロクレラ様、お久しぶりです。」
「本日はロルーリお姉様と一緒だったのですね。」
「はい、ともに王族書庫にて勉強させていただきました。」
「そうでしたか。いつも頑張っていらっしゃいますね。」
「とんでもございません、ロクレラ様と比べましたら微微たるものでございます。」
「そんなことはないと思いますが...ありがとうございます。では、良い日になること願っております。」
「ロクレラ様、ありがとうございます。」
「...では、馬車が来たようなので私も失礼しますわ。本日も良い日になること願っております。」
「ロルーリ様、ありがとうございます。では、また。」
「ええ、また。」
人前では砕けた口調では話せないのでコロコロ変わると頭の中がこんがらがってしまいかけますね。まあ今のところ人前で出たことはないので今後も注意するだけですが。
では!帰宅して書庫を漁りますか。場所は朝確認してきましたし。
「お嬢様、おかえりなさいませ。」
「うん、ただいま。陛下に本日中に許可を出していただければその時点で王宮に戻るけれど、許可が明日になれば明日許可が出たタイミングで行くわ。」
「かしこまりました。夕飯はいかがいたしましょうか。」
「今から書庫に籠もるからあとで食べるわ。ごめんなさいね。」
「とんでもございません、かしこまりました。」
「じゃあごめんね、よろしく。」
「かしこまりました。お気をつけてくださいませ。」
さて!ここの目標は更に少し情報を掴めるですねえ。
おや。
「クロストお姉様。こんにちは。」
「あら、ミラ。こんにちは。今は何しているの?」
「書庫で昨日の調査ではわからなかったことを調べに行ってきます。お姉様は何をなさっているのですか?」
「そうなのね。いつもお疲れ様。私は今から王宮に行くわ。」
「ということは...お義兄様ですか?」
「ふふふ、直接的ねえ。まあ正解よ。だから夕飯は向こうで食べるの。」
「そうなのですね。お気をつけていってらっしゃいませ。」
「ええ、ありがとう。ミラも頑張ってね。」
「ありがとうございます。」
相変わらずお義兄様と仲がよろしいようで嬉しいですね。二人とも温厚なのでか喧嘩もしないみたいですし。
お姉様にお会いできましたし、私も頑張りましょうかね。
「レミーラお嬢様。今朝確認にいらしていた件でしょうか?」
「ええ、そうね。だから、申し訳ないけれど人払いをお願いできる?絶対に人は近づけないように。」
「かしこまりました。使用人全員に通達してまいります。」
「ごめんなさいね、お願いするわ。」
「とんでもございません。では、失礼いたします。」
さて、読みますか。数があるので面倒ではあるのですが。
うーん、ほぼ王族書庫と同じですねえ。内容がもう少しわかった程度ですね。被害は甚大であった、というのはわかりました。でも核心めいた何かがほしいんですよね。でなければ調査員派遣の提案なんてできませんし。まあでも、希望というか願いは叶いましたし、よしとしましょう。
詳しいことは王宮の禁書庫にかけましょうか。あとは私にできることはないので、許可まで待ちましょう。
...おや、もう夜ですね。これはもう夕食は終わってますね。とりあえず、部屋に戻りましょうか。
「...!お嬢様。」
おや、出待ちですか。
「どうかしたのかしら?」
「クロストお嬢様が夕食にいらっしゃらなかったのですが、理由は存じておりませんか?私どもも理解しておらず...」
「お姉様はお義兄様、第三王子に会いに行くとおっしゃっていたわ。お姉様が黙って外に出るなんてありえないけど...伝達されていないの?誰にも?」
「そうなのですね。ありがとうございます。伝達は、そうですね、なかったのです。夕食をいかがなさるか聞きに伺ったところいらっしゃらず。本日はお部屋で過ごす予定でしたのでそこから使用人一同で屋敷中を捜索しておりました。」
「そう...お姉様は王宮に行くから、夕食を食べないと昼間に言っていたわ。こそこそしていなかったから、黙っていく予定ではなさそうだったけれど。...まあ、ロルーリ様に確認するようにお願いしておくわね。」
「...ありがとうございます。」
「お父様には?」
「部屋が荒らされたり無理に押し入ったような痕跡もなかったので、外出しておりますとお伝えいたしました。」
「そう。痕跡がなくても誘拐の可能性はあるのだから今度からは事実のみ伝えるように。とりあえず私はいますぐにロルーリ様に確認を取るわ。それから、みんなには捜索をやめてよい、持ち場に戻ってくれ、とだけ伝えてきてくれる?」
「かしこまりました。」
「それから、あなたには一度話し合いの場を設けたいわ。人払いを命令していたのに扉の前で待機しているなんて。」
「...申し訳ありませんでした。かしこまりました。」
「今はそのような謝罪はいらないわ。今度で話し合いしましょうね。」
「...はい。」
さて、お姉様に確認を取りましょうかね。昼間に会話したあの場に使用人がいれば楽だったのですけれど。
...と、その前に。
「"サモン ライグ"」
「我が主、何用でしょうか?」
「ごめんね、ライグ。急で悪いのだけれど、今すぐ地中含めた屋敷全体に防御魔法を放って。理由は今は急いでいるからあとで必要ならするわ。」
「いえ、我が主が必要であれば理由など不要です。かしこまりました。"スタート サンダーバリア"。...どうでしょうか?」
「...うん、ありがとう、完璧。それと出入りしようとしている者がいたら、絶対に出させないようにしてくれる?」
「かしこまりました。姿はいかが致しましょうか。」
「基本的には見せないようにかな〜。人が近づいてきたら、人型になってここは通行禁止って言ってくれると助かるわね。」
「かしこまりました。では、そのようにいたします。お気をつけてくださいませ。」
「ありがとう。」
よし、こっちはこれでよしと。あとは...
「"スタート ウインドテル"」
ボー......ポワッ
「夜分遅くにごめんね、ロルーリ。今大丈夫?」
「ええ、大丈夫だけど。どうしたの?急ね。」
「ちょっと緊急自体が起こって。クロスト・レクロ、そっちにいない?いたら、確認してほしいの。」
「ああ、いるはずだけど...ちょっと待ってね。スカーダお兄様の部屋ね。」
「急にごめんね。」
「おおよそ掴めたから大丈夫。じゃあ今から動くわね。」
「うん。」
「スカーダお兄様、いらっしゃいませんか?」
「どうした?ロルーリ。」
「部屋にクロスト様おりませんか?黙っていなくなった設定にされているらしく。」
「ああ、なるほど。...どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「..スカーダ?どうしたの?」
「クロスト様、スカーダお兄様。まずは、婚約者との二人きりの時間を邪魔してしまい、大変申し訳ありません。クロスト様が誰にも言わずに王宮に来たと、レクロ家で捜索されているらしく。」
「ああ、なるほど。ということは、レミ?」
「はい、レミーラに言われて確認にまいった次第です。」
「なるほどね。私は出てくるときにその場にいた屋敷内掃除担当のカザリージャに言ってから来たわ。」
「返事はありましたか?」
「ええ、『かしこまりました、お気をつけていってらっしゃいませ。羽目を外しすぎぬように気をつけてください。』と。」
「ありがとうございます。では、その者の名前とともに返事と内容をレミーラに伝えさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、大丈夫よ。ロルーリ様、レミーラお手数かけるわね。」
「とんでもございません。では、お邪魔しました。クロスト様、どうぞ、ごゆっくりお過ごし下さい。」
「というわけだそうよ。これでなんとかなる?」
「ええ、十分。ありがとう。」
「ところで、禁書庫の許可まだ出てないの?」
「うん、まだ出てないねえ。明日のうちに出るんじゃないかな?」
「そっか、ごめんね。時間かけてしまって。」
「さっきも言ったけど、誰も悪くないし、大丈夫。じゃあ夜分遅くにごめんね、ありがとう。切るね。」
「ううん、気にしないで。頑張ってね。」
「ありがとう。」
「"オフ ウインドテル"」
ふー、やっぱりか。処分については明日だな。
まずはお父様に報告に行くとしますか。
「お父様、お母様、夜分遅くに失礼いたします。レミーラです。今よろしいでしょうか。」
「ああ。」
「ええ、どうぞ。」
「失礼いたします。早いほうが良いと判断し、使用人がお父様に告げる前に報告に参りました。」
「そうか、述べろ。」
「屋敷内掃除担当の使用人、カザリージャについてです。本日お姉様が夕食にいらっしゃらなかったと思いますが、お姉様はカザリージャに告げて王宮におります。ですが、他の使用人やお父様にカザリージャは聞いたことを伝えませんでした。誰も聞いていないのか確認を取った際、忘れているような雰囲気でもありませんでした。普段ならミスだ、となり終わるのですが追加で理由がございます。ですが、今はもう夜ですので、明日報告させていただこうと思います。それまで、カザリージャ含め、使用人は出さないように手配済みです。」
「了解した。屋敷内掃除担当のカザリージャだな。それと、ロスが王宮にいるのは確実なのか?」
「はい、ロルーリ様に夜で申し訳ないと謝罪した後、確認をとっていただきました。」
「そうか。では、クロの帰宅前に片付けるとするか。」
「はい、かしこまりました。夜分遅くに失礼しました。」
「ああ、ありがとう。」
「レミ、ありがとうね。」
ふー、ではあとは明日ですね。