王国会議のための調査
とりあえず、昨日の軽く調べに行ったものは残念ながら事実だったので、後日会いにいかないとですね。まあ幼いが故に焦ったこともあるのでしょうかねえ。さあそして本日は調査と過去の記録を漁り、お父様に王国会議にご報告していただかなくては。
本日私が調査しないといけないものは最近のモクケ大陸の魔物増加についてですね。モクケ大陸は人口の主が魔物の大陸なのですが、ここ一ヶ月ほど魔物の増加率が徐々に高くなっているとのことなのでそれの調査ですね。この世界では約40年に一度、他の個体よりも強い魔物、真魔が発生するため、その前兆ではないかという調査です。なぜこんな学園入学前の若いものが調査するのかといいますと、まずこの体が持っているスキル天才頭脳。ですが、これは主に前世持ちが持っている確率が高いスキルなので意外とありふれており、我が親友ロルーリも持っています。次に、そこらへんの大人よりも魔力、魔法に長けていること。最後に、スキル瞬間記憶で一度見たものは必ず覚え、天才頭脳も合わせ、かなり思い出しやすいという以上三点ですね。というのが、表向きな理由で多分本当の理由は上記に加え、次女なので跡取りというわけではなく、もし死んでもそんな揉め事にはならないからだと思いますね。ついでに婚約者や恋仲の男性もおりませんし。格好の人物というわけですね。実にめんどくさい。
そして、それに対する私の見解は前回の真魔の発生より38年経っておりそろそろであり、約2/3ほどの確率で起こっている真魔発生前に西の大陸でのみ魔物が五割ほど増加するという過去までの調査結果があるのでほぼ確かなあと。ですが、今回の魔物増加が関連しているなら普段は地下で過ごす青いスライムが黒くなっているはずなので、今回の私のやることは地下スライムの現地調査に向かい、魔物の現段階の増加率を数値化し、本日午前だけでいいらしいので狩れる限り魔物を狩ってきてそれらの生態調査に貢献すること。ですが、一度帰宅しお父様に報告してからまた狩りに行きますね。少なくとも調査員などはモクケ大陸に派遣されておりますし。
「お嬢様、そろそろ向かわれますか?」
「ええ、朝食用にパンももらったし、軽く準備してから行ってきます。それから、改めて。夜遅くなってしまったのにご飯の用意ありがとう。美味しかったし、本当に助かったわ。」
「いいえ、とんでもございません。それが我々メイドの仕事ですから。そして、もう少し準備してから向かわれるのですね。では、そのときにお見送りさせていただきますね。」
「ああ、いや。準備してからすぐに行くから、顔は見せにこないかな。」
「大変失礼いたしました。かしこまりました。では、旦那様からの言伝をお伝えさせていただきますね。『己の命を大事に行動しろ。命の危機を感じたら面子などを気にせず引き返せ。』とのことでした。」
「そう、わざわざありがとう。お父様には『ありがとうございます、気をつけていってきます』と伝えてくれると嬉しいわ。それじゃあ改めて、いってきます。」
「はい、お気をつけていってらっしゃいませ。お帰りお待ちしております。」
よっし、じゃあさっさと準備していきますか。といっても別に特別なものはないんですけど。
「"サモン サリー"。ごめんね、急に呼び出して。一応防御張っておいてほしくて。」
「ふぁーふぅ...んー、りょーかい。じゃあ"スタート ダークバリア"。どうかしらぁ?」
「...うん、ありがとう。じゃあ一回小さくなってくれる?」
「はーい。」ポンッ「どうかしらぁ?」
「うん、完璧!じゃあローブの中に入っていて。」
「はーい。ところで、ライグは呼ばなくていいの?」
「うん、あの子はモクケ大陸に着いてから呼び出すかもってぐらいね。」
「そっかー。じゃ行くぅ?」
「ええ、行こっか。」
サリーは小さい狼になれるのでローブとかに入れるんですよね。実にかわいい。とまあこんなことは置いといて、行きますか。便利な便利な風魔法で!
「"オン ウインドフライ"。っさ、行くよ、サリー。」
うーん、魔物増加率、そんなにいってないなあ。いいことではあるんだけど、28%は今までと比べて遅いしおかしいなあ。少々気になりますなあ。まあ、地下スライムも見に行きますか。
地下スライムは黒い個体が九割超えているいるし、真魔の発生は間違いなさそう。だけど、魔物増加率がなあ...低い年でも四割は超えていたしなあ...もうちょい調査しますか。
「"スタート ダークバリア"、"スタート ウインドバリア"、"スタート アイスバリア"、"スタート アクアバリア"、"スタート アースバリア"、"スタート ダークカメラ"」
...んー、真魔の発生源、歪みは発見したし、間違いはないか。
どこみても魔物の増加が低い...最近の細かい増加率知らないので調べに行きますか。
「ごめんくださーい、今回の魔物増加の調査に参りました、レミーラと申します。調査するにあたっての疑問があるので、ここ一ヶ月の増加率などの書類を見させていただいてもよろしいですか?」
「ああ、君か、例の調査員は。どうぞ、奥に記録している人間がいるよ。」
「ありがとうございます。」
「こんにちは、すみません。魔物増加の調査に参りましたレミーラと申します。調査にあたって疑問があるので最近の魔物増加率を見さしてほしいのですが。」
「あ、ああ、了解っす。えーっと、これっすねえ、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
...三日に1%ほどの増加かあ。やっぱり今までに比べて遅いな、もうちょい狩りながら調べるか。
「ありがとうございました。こちらに置いておきますね。」
「んー。こちらこそー。」
さて、狩り復活!といきますか。
「"サモン ライグ"。サリーは大きくなって。」
「我が主。狩ればよろしいのですね?」
「はーい。」
「ライグ、そうよ。サリーには大陸の上半分、ライグには下半分、たくさん狩ってきてほしいの。時間はとりあえず飛び出すまでずっと。私は一時間ぐらい狩ってから報告に行くから、帰ってきてまた少し狩ったら呼ぶわ。」
「かしこまりました。お気をつけてくださいませ。」
「今回は防御なしでいいのぉ?」
「うん、大丈夫。行きはありがとう。」
「はーい、ならいいわあ。」
「じゃあ、よろしくね。」
「はい。」
「はーい。」
「さて、"サモン ネイビーボウ"、"サモン ブラックソード"。"ダブルスモール"。よし、私も行きますかあ。」
「"ゴー テン ライジングボム"。...堅い個体は少なめか。狩りやすくて助かるけど。」
ドコンドコンッボンッ
「やばあ、めちゃくちゃ遊んでるな、二人とも。負けじと私もやりますかあ!」
とりあえず増加率についてがわからないぐらいかな。過去の文献などは読み漁ってるけど、こんな例はなかったしなあ...過去1000年まで遡って調べてみるか、さすがに。とりあえず帰らないと。
「お嬢様、おかえりなさいませ。まずはお風呂になさいますか?」
「ただいま。でも、報告後すぐにまた向かうからシャワーだけにしようかな。」
「かしこまりました。すぐに準備いたします。」
「ええ、よろしくね。」
その間に私は報告をまとめますかあ!
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報告書
・現在の魔物増加率:28%
・地下スライムの黒化進行度:91%
・真魔の発生源となりそうな「歪み」発見
・「歪み」に五属性防御魔法展開済み
・「歪み」に監視装置魔法展開済み
・魔物討伐率:増加分六割(現在も増加中)
[備考]
・最近の増加率は三日で約1%増加です。過去500年の文献でこのようなに遅く増え続けたことはありません。歪みは発生しているため、確実に真魔が発生する条件になっているのですが、現在なぜこのように遅く増加しているのかは不明です。引き続き調査します。
・今回の低速度増加理由に関して私個人の調査では判明できない可能性が高く、モクケ大陸常駐の調査員と力を合わせても原因解明できない可能性があります。そのため、調査員の増加などを提案いたします。こちらの提案に関しては後日王宮に正しい手順を踏み、レミーラ・レクロ名義の提案書を送る予定です。
調査・報告員:レミーラ・レクロ
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よし、こんなものかな。
「お嬢様、湯浴みの準備ができました。」
おっ、ナイスタイミング〜
「ありがとう、すぐに入らせてもらうわ。」
「それから、湯浴み後旦那様がすぐに時間を取るそうです。」
「そう、ありがとう。」
「お父様、報告書をお持ちいたしました。」
「ああ、おかえり。怪我はなかったか?」
「はい、怪我なく帰宅いたしました。」
「...そうか、今は低いのか。そして、調査を続けるのか。」
「はい、原因判明しなければ皆の平穏はこないと思いましたため、続けさせていただきます。」
「そうか。気をつけてくれ。そして今回の調査書、ありがとう。これをもとに午後からの王国会議をさせてもらう。」
「はい、よろしくお願いします。」
「一点疑問なのだが、魔物討伐数が現在進行系で増加しているということは、まだ討伐に行くのか?」
「はい。現在はライグとサリーに任せておりますが、報告が終わり次第私も再び加わる予定です。」
「そうか。気をつけてくれ。」
「はい。では、失礼いたします。」
「ああ。」
よし、報告も終わったことですし、私も加わってきますか!