弟子たちの授業
「じゃあ20分経ったけど、どうかな?落ち着いた?」
「「「はい!」」」
「ドロズ、もう大丈夫?」
「はい!大丈夫です!もう完全に息も落ち着きました!」
「そう、それはなにより。じゃあ、開始しよっか。」
「「「はい!」」」
「今回は前回の最後に予告した通り、中級魔法の防御魔法を教えていくわ。みんなが同じ属性を持っているわけではないから、一人ひとり教えていくわ。」
「「「はい!」」」
「まずはレグナードは今回は風の防御魔法、"風の防壁"を教えるわ。二人は前回教えた魔力練りがあるでしょう?それを向こうでやって待っていてくれる?」
「「「はい!」」」
「じゃあレグナード、まずは私が発動させるからそれをみて、感覚を追ってみて。」
「はい!」
「"スタート ウインドバリア"」スワンッ「..."クリア"」
「どうかな?おおまかな流れは読めた?」
「はい!」
「じゃあ一回、詠唱を唱えてみようか。私がさっき言ったことを言ってくれればいいから。」
「はい!"スタート ウインドバリア"」スンッ
「うん、ちょっとそのまままってね〜。"ゴー アイススピア"」フワッ「"クリア"!」
「うんうん、良い線はいってたね。でも、ちょっと薄かったかなあ。一度解いていいよ。」
「はい!"クリア"」
「うん、ありがとう。今やったものも決して発動していないわけではないけれど、防御として使えるまではあと少しだね。10分ぐらい魔力練りをして、練り上げたものを頭のてっぺんまで持ってきて、もう一度発動してみて。そしたら、私を呼んでくれるかな?」
「はい!ありがとうございます!」
皆さんが思った通り、魔法を起動させる詠唱は前世の世界でいうところの英語です。発動するどの呪文でも、はじめに"スタート"や"ゴー"と付き、魔法を解くのに"クリア"と言います。そして思ったでしょう。え?詠唱?詠唱っていうほど長くないよ?と。ええ!同意見です。でもですね、なにか昔のお偉いさんが決めたらしくて決まってるんですよ、魔法を起動させる際に言うものは詠唱、と。大変意味わかりませんねえ!!もしかしたら、その先人も転生者な可能性がありますが、詠唱って意味知らなかったのかな?って勝手に想像してます。どうなんですかねえ。まあ過去のことなんて誰もわかりませんが。さあ、ドロズにいきましょうか!
「ドロズ。おまたせしたわね。魔力練りを止めてくれるかな。」
「はい!」
「うんうん、見た感じいい感じに練れていたね。いいねいいね。じゃあ、ドロズには闇の防御魔法を教えていくわね。」
「はい!」
「じゃあいつも通り、まずは私が発動させるからそれをみて感覚を追ってみて。」
「はい!」
「"スタート ダークバリア"」モアンッ「..."クリア"」
「どうかな?おおまかな流れは読めた?」
「はい!」
「じゃあ一回、詠唱を唱えてみようか。私がさっき言ったことを繰り返してくれればいいから。」
「はい!"スタート ダークバリア"」モアンッ
「うん、起動したままちょっと待ってね〜"ゴー アイススピア"」スウッ
「うんうん、いい感じだね。威力を落として吸われてるから、ちゃんと発動してるね。じゃあ薄くできそうだったら薄くするか、常時発動の練習にするか決めようか。個人的意見では、厚い防御を常時発動してしまうとそれだけ魔力の消費を早めてしまうし、厚い防御魔法に癖ついてしまった後に薄くするのは大変だから、薄くするのを先にやるのをオススメするけど...どうする?将来的にはどちらもできたほうが楽だから、今後時間があれば両方できるようにしたいかな。」
「では、先に薄くする練習をします!」
「そう。でも本当に、ちゃんと発動している辺りすごいと思うわ。」
「ありがとうございます!」
「じゃあ薄くするために魔力は練らずに、頭のてっぺんからよりは足元から放出する感じで。足の裏で少し薄くするような感覚で。って伝わるかな?」
「はい!感覚でですがわかったと思います!」
「了解!じゃあその感覚に従ってやってみてね。危なければ止めに来るから。」
「はい!ありがとうございます!」
さあて、レグナードは...うん、ちゃんと魔力を練れてますね。いい感じですね。
「レグナード。そのままで返事しなくていいよ。いい感じだからそのまま続けてね。」
コク
「じゃあごめんね、お待たせ。ノール、始めようか。」
「...はい!」
「すごくきれいに練れていたね。そのうちお餅みたいに伸ばせそうだったよ。でも、今からは一旦やめて、水の防御魔法を教えていこうか。」
「はい!」
「じゃあいつも通り、まずは私が発動させるからそれをみて感覚で追ってみてね。」
「はい!」
「"スタート アクアバリア"」シャーピチャッ「..."クリア"」
「どうかな?おおまかな流れは読めた?」
「すみません!もう一度やってもらってもよろしいでしょうか?」
「了解!"スタート アクアバリア"...バリアも張っているし、攻撃魔法を打ってきてみて。多分その方が流れを掴みやすいから。」
「あ...わかりました!"ゴー アイアンランス"!」
ザリザリザリッ
「どうかな?おおよそ掴めそう?もう一回打つ?」
「いえ!大丈夫です!多分ですが、掴めました!」
「了解!じゃあ一回詠唱を唱えてみよっか。それを見て、助言させてもらうわ。」
「わかりました!"スタート アクアバリア"」シャーピチャッ
「うん、発動はいい感じで出来てるね!じゃあそのまま、発動していてね。」
バチャンッ
「あ...!」
「大丈夫だよ。中級魔法だし、己の身体を覆う防御魔法は習う中で躓く子は決して少なくない。それに、攻撃魔法は一番最初にコツ掴んで、二人に勝てたよね。やればできるよ、大丈夫。起動はできていたしね。でも、一度休憩にしようか。雑談しながら、魔力を練っていようか。」
「はい。」
「...うん、いい感じだね。...最近はどう?ご実家のお野菜たちはいい感じ?」
「はい。天候も悪くなく、人里に降りてきて悪さをする動物も防げているので、順調に育っています。」
「そっかそっか。それはなにより。今はナスを植えているんだっけ?」
「はい。夏野菜のナスやとうもろこしなどを植えてます。」
「そっか、夏に収穫したいものは一つ前の季節、春に植えるんだったもんね。」
「はい。美味しいのが出来上がる予定なので、ぜひ市場に出回ったら食べてみてください。」
「うん!市場まで見に行って買うよ!楽しみだねえ。夏野菜も美味しいもの多いし。」
「そうですね。何が夏野菜の中で一番好きですか?」
「んんー、そうだねえ...」
「うん、いい感じに練れているね。後でもう一回やってみようか。この間にちょっと二人を見てくるから、もう少し練っていてね。」
「はい。」
「...レグナード、いい感じだね。そろそろ時間になるけど、どうかな?よければやろうかと思ったけれど。」
「はい!大丈夫です!発動できます!」
「おっ!いいねえ。じゃあ発動してみてくれる?」
「はい!"スタート ウインドバリア"」スワンッ
「うんうん、さっきよりいい!濃く発動してるね。いい感じ。じゃあいくよー!"ゴー アイスランス"」ガガガッ
「おっ!完璧!めちゃくちゃいい感じ!ちゃんと発動してるね。じゃあこの感覚を大事に次の段階にいこうか。厚みも私用魔力もちょうどいいぐらいだから、次は常時発動だね。」
「はい!」
「常時発動は名の通り、常に張っていればいいよ。強度は他の子を見ている間にも見ておくから後で助言をしにくるね。」
「はい!」
「注意事項としては、危険だと思ったらすぐ辞めること、だけ。絶対に倒れる前に、魔力切れを起こす前にやめてね!」
「はい!了解しました!」
「じゃあこのまま発動していてね。魔力放出する場所いじるとかは全然やってくれて大丈夫。絶対に危なくなる前に止めてさえくれれば。」
「はい!」
魔力なくなると最悪の場合、死に至るので絶対にそれは絶対に防がないとなんですよね。
「ドロズ、いい感じだね。見ていたけれど、足で薄くでき始めたら再発動して薄くしていたのはさすがね。そしてそれを常時発動までしている。本当に流石すぎて言葉が出ないわ。」
「ありがとうございます!失礼ながらお願いを申し上げてもよろしいでしょうか...」
「ん?なあに?攻撃魔法打ってみようか?」
「はい!攻撃魔法を打ってみてほしいです!」
「了解!じゃあ打ってみようか!("スタート ダークバリア")"ゴー アイスボム"」
ボンッ!スゥッ.シャッ...スウッ
「うん、はじめは防げているからいいね。上級魔法のはじめは防いだのはすごいわね。」
「あ、ありがとうございます!まさか言葉に出していないのに、願い通り上級魔法を打ってくださるとは...もう少し粘度を上げて、質を上げます!」
「うんうん。向上心があるのはいいことだねえ。無理ない程度に頑張ってね。」
「はい!あっ!防御魔法も発動してくださり、ありがとうございました!」
「いいえ〜。("クリア")じゃあ、時間まで頑張ってね。」
「はい!ありがとうございました!」
いやあ、驚きましたね。上級魔法を打ってほしいのは感じたのできちんと防御魔法を張って打ってみたんですが、まさかはじめだけでも防いでしまうとは...!ドロズ、恐ろしい子ですねえ。本当にそのうち抜かされそうです!将来が楽しみですねえ。近い将来、本気で戦える対戦相手ができるかも知れないですね。
「おまたせしたわね、ノール。めちゃくちゃいい感じよ。すごく粘土の高い、細い魔力ができているわ。発動してみる?」
「はい!先程のように失敗はしません!」
「失敗は悪いことではないけれど...そっか、じゃあやってみようか。もう一度見て発動する?」
「いえ!大丈夫です!記憶で発動してみます!」
「んー...わかった!やってみようか。」
センスがいい子なので同じ失敗はしないとは思っていますが、万が一にも失敗したら心が折れないかと心配です...が、そのときはそのときでなんとかしましょう。本人がやる気なのはいいことですし。
「"スタート アクアバリア"」シャービチャッ
「うん!すごく綺麗に発動しているよ!ちゃんと回っているしね!いい感じ!じゃあ、もう少し発動していてね。」
「はい!」
「"ゴー アイスランス"」ザリザリザリッ
「...うん、完璧ね!見事に美しく削られたわ。」
「はい!ありがとうございます!」
「厚さ、使用魔力もちょうどいいわね。じゃあ、常時発動できるかに入ろっか。続く限り、常時発動してみて。でも、危ないと思ったらすぐにやめること。常時発動で倒れる人もいるから、ゆっくりね。」
「はい!」
....はあああ...よかったです!みんな発動できて!発動自体簡単ではないんです、防御魔法は。中級魔法ですし。それをこの年でできるのが本当に素晴らしいことです!はああ...よかったし、めちゃくちゃ嬉しい!みんなが頑張った成果ですね!さて、気持ち切り替えてレグナードに助言しに行きましょう!
「みんな、一度魔法を解いて集まって。」
「「「はい!」」」
「まずはお疲れ様。新しい魔法の習得はそんなに簡単なことではないし、中級魔法と一つ段階を上げて、できるのが本当にすごかったと思うわ。みんなどこかしらで苦戦したり、逆に上手にできるところがあったり。本当にすごかったと思う。」
「「「ありがとうございます!」」」
「ここまでで疑問などはある?」
「「「大丈夫です!ないです!」」」
「了解したわ。では、本日の授業も終わります。ありがとうございました。そして、今回も宿題はなしです。注意点は防御魔法の常時発動はしないこと。でも、危機的状況であればそのときだけ発動しても構わないからね。」
「「「はい!」」」
「次回は今回含め今まで習った魔法を使って模擬戦をします。特別な持ち物などもありません。」
「「「はい!」」」
「では、終わろうか。お疲れ様でした!ありがとうございました!」
「「「はい!ありがとうございました!」」」
いやー今回も弟子たちに教えるのは終わりました!相変わらずいい子たちで教える側からしたら、本当にありがたい限りです...!学園の入学があるのでずっと私が教えるわけではありませんが、教えられるところまでは教えたいんですよね!
本日の予定は終わりましたし、夕食の準備まであと少しは時間がありますし私も師匠モードを終えて遊びますかあ!