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二人だけのお見送り会

「お嬢様、本日の予定は領内でルートア様のお見送り会、そして稽古付けで変化ないでしょうか?」

「ええ。間違いないわ。ありがとう。そして、もう行くわ。」

「かしこまりました。馬車を呼びましょうか?」

「いいえ、大丈夫よ。庭園で花を少し摘んでいくから。」

「かしこまりました。ではいってらっしゃいませ。」

「ええ、いってきます。」



 本日も始まりましたねえ。今日の予定は先程メイドの確認があったように、ルートアのお見送り会。そして、今生の私の身体は意外とすごいものらしく、11歳ながら弟子がおりまして、その子達に魔法の勉強を教えに行きます。正直めんどくさくはあるんですが、幸いにも私の教え子たちはみんなかわいいいい子なので教えるのはめんどくさくても癒やされるし、彼らが結果を出せば私の評判もあがりますし、家の評判にも貢献でき、将来のことを考えたらいいことも多いんですよね。難点はめんどくさいぐらいですから。

 さあ、広すぎる公爵家を歩いて動きますかあ。土地の広さが己の立場を示しているといえ、いささか広い!もっとさ、土地含めマンションの一室みたいな広さでいいのよねえ...その広さに慣れてた人間にははじめは違和感しかなかったわ。しかも移動だけでめちゃくちゃ疲れるというねえ。まあ貴族社会を学んでからは納得はしたけど。ただ、よくはないと思うわ。平民が使える土地も減るしね。

 さあ、やっと着いたわ!!



「失礼するわ。約束通り、紫のチューリップを貰いに来たわ。」

「先日ご希望あった通りでよろしいでしょうか?」

「ええ。」

「かしこまりました。今準備してまいります。少々お待ち下さい。」

「わかったわ。ありがとう。」



「お待たせいたしました、お嬢様。こちらで間違いないでしょうか?」

「1,2,3...ええ、間違いないわね、ありがとう。」

「いえ。では、気をつけていってらっしゃいませ。」

「ありがとう。いってきます。」



 さあ!やっとですが、集合場所に向かいますか!先につけるかなあ...時間的には15分前にはつく予定だけれど。



 これは勝ちましたね!私が先に着きました!こんなもので競って恥ずかしくないのかって?恥ずかしくないですね!11歳ですし!年相応〜!では、ルートアを待ちますか!



 今日は遅いですねえ...大体遅くても集合時間には間に合うように来てくれるのですが、今は集合時刻より10分遅れてます。寝ているのでしょうかね?まあ、時間はまだまだありますし、待ちますか!



 今日はほんとに遅いですね。集合時刻よりも30分経ってますが、くる気配もないです。なにもないといいですが...一応馬車なども通りますし。心配ではありますが、今回は私の希望で一人できてますし、ここを離れてしまうと行き違いにもななっちゃうかもなんで時間ギリギリまで待ってみますか!



 あ、来ましたね!

「ハアハア...ごめんね!遅刻しちゃって!」

「大丈夫だよ、そんなに待ってないし!ところで、どうしたの?珍しいよね、遅刻するの。」

「本当にごめんね!言い訳になってしまうんだけど、朝自体は絶対に遅刻しないように早く起きたんだけど、来る道中でおばあちゃんが転んでしまって動けなくなってしまっていてね。家族とかも一緒にいなかったから、病院まで一緒に行って、荷物を運んできたら遅くなってしまっていて...本当にごめんね!」

「なるほどね!大丈夫だよ〜てことは病院からか...お疲れ様。現に疲れてそうだし、短めにしよっか?」

「いやいや!それは大丈夫!だし、俺も楽しみにしてきたから嫌だなあ...遅れてきた身で言うのもなんなんだけど。だめ?」

「いや、全然!私も楽しみにしてたから嬉しいし。じゃあ、予定通りにしよっか!」

「うん。ありがとう。本当にごめんね!」

「こちらこそありがとう!あと!もう謝るの禁止ね。誰も悪いことしてないんだから。」

「うん。ありがとう。」

 なんか....寝坊か〜?とか早く着いて勝った!とか言ってた自分が恥ずかしくなってきた...ルートアは人助けをしてきたから遅れたというのに...ごめんね、ルートア。今は11歳でも中身としては20超えてるし、ほんとに恥じるべきことすぎる...うぅぅ




「あ、ところで。助けたおばあさまは大丈夫そうだった?」

「うん。ひねってしまっただけだったよ。俺が走って待ち合わせしているところにくる途中でご家族も遅いと思って探しにきてくれてて、おばあちゃんは病院です。って伝えられたしね。」

「そっか。それならよかったよ。」

「でも、前世ならスマホで連絡できるから、レミーラみたいなかわいい子、30分以上も外に一人にしておくなんてことにならなかったのに...スマホの開発を学園で勉強してこようかな。そしたら、今後もこういうことが起こってもレミーラを外で待たせもしないし。」

「いやいや、勉強したいことを探しに行くのに、さすがにそれはだめでしょ。」

「まあ、2割は冗談なんだけど。現実的な話、風の魔力を応用すればなんとかはなりそうじゃない?」

「まあ、なんとかはなりそうだね。でも、今回のことは本当に気にしなくていいよ?事実私も気にしてないし。」

「そう言ってくれてありがたい。学園では気になることが見つかればそっちを勉強するけど、でも!生涯のうちには絶対に完成させて、プレゼントするよ。電話機能だけでも!」

「あはは。本当に気にしなくていいけど。じゃあ期待しておくね。」

「うん!あ、ついたね。じゃあ、入ろっか。」

「うん。」



「美味しかったねえ。あのカフェ、コーヒーが美味しいって噂は聞いたことあったけど、パフェも美味しくて、量もちょうどいいなんて初めて知ったわ。よく知ってたね?」

「あはは。恥ずかしい話、美味しいって言ってほしくて俺セレクトの店はたくさんリサーチしたんだ。美味しさも量も、色々と。」

「そうなんだ。ありがとう!ルートアのリサーチどおり、美味しかったわ。」

「喜んでくれてよかったよ。こちらこそありがとう。」

「じゃあ次は私セレクトのショップに行こうか!いい雑貨あるといいねえ。」




「え、これかわいい!これにしようかな...ルートアはいいものあった?」

「うん、このペン使いやすくていいなって。俺はこれ買おうかな。でも、緑、青、白...どの色にしようか迷ってて...レミーラは何色がいいと思う?」

「え?わたし?私は緑かなあ。ルートアの目の色でルートアっぽいし。」

「そっか。じゃあ緑にしようかな。」

「まあ一番はルートアの好きなものだけど、緑が目にいいのは同じらしいし、更にいいかもね。」

「あ、そうなんだ。じゃあ緑にしよ!」

「じゃあ二人とも決まったし、会計する?」

「いや、俺はもう一個みたいから先に会計してもらってもいい?」

「もちろん!大丈夫だよ〜。じゃあ、お先に失礼〜」



「どうだった?このお店。」

「いいもの多くて、こんな隠れ家みたいなところにお店があることにも驚いたよ。」

「そうなんだよねえ。大通りから離れてるし、大きい建物の影にあるからか基本的に客が少ないんだよね。日本だと潰れそうで心配になるけど、今は金がありますからね。レクロ公爵令嬢なんで?」

「そうだね。だけどまさか、買い取っている?」

「いやさすがにそれはしてない。裏に金を回して潰さないようにしてるだけ?」

「裏に...さすがだねえ。」

「えっへへ!ありがとっ!」

「まあ別に褒めてはないんだけど、嬉しそうだしいいいか。」



「じゃあ、今日はわざわざありがとう。」

「ううん、こちらこそ。時間ギリギリなのに遊んでくれてありがと!あ、あとお父様から。身体に気をつけて頑張ってって。私からも改めて!無理ないように、頑張ってね。一年遅いけど私も入学するしそのときはよろしくね!」ゴソゴソ「はい!朝摘んできたんだけど、頑張ってね!」

「うん。ありがとう。わざわざ花束まで...公爵様もありがとうございます、頑張ります。って伝えておいて。」

「うん!まかせろり!!夕食のときに伝えておくね!」

「あ、あと...その、さ...」

「ん?」

「さっきの雑貨屋さんで買ったんだけど、よければなんだけど、もらってくれない、かな?」

「ん?なぁにこれ?開けてみていい?」

「うん、開けてみていらなければ返却してくれていいから!」

「これ、は...アンクレット?」

「そう。アンクレット。雑貨屋さんで見かけて、俺っぽいって言ってくれた俺の瞳の色の緑をレミーラに。そしてレミーラの瞳の色の白を俺用に買ったんだけど...よく考えたらきもいかなって。」

「いや全然!?ありがとう、嬉しいよ。じゃあお言葉に甘えてもらおうかな。」

「よかった...もらってくれて...きもいって言われたら行く前にガチへこみするとこだった...」

「ふふ。断るわけ無いじゃん、せっかくのルートアからの贈り物なんだし。今つけてみてもいい?」

「うん。もちろん。俺がつけようか?」

「んんー、じゃあ頼もうかな?」

「うん!任せて!」



「はい!ついたよ。」

「ありがとう!どう?似合う?」

「うん、めちゃくちゃ似合うよ!」

「ありがとう!ルートアも今つける?」

「うん、つけようかな。ちょっと待ってね。」



「どう、かな?に、似合う?」

「めっちゃ似合う!!かっこよさが増してるよ!!」

「あ、ありがとう。」



「これで当分お別れだね。夏季休暇は帰らない予定なんでしょう?」

「うん。一度でも帰っちゃうと気が緩んじゃいそうだからね。」

「じゃあ一年間お別れだね。頑張ってね。」

「うん。頑張るよ。」

「じゃあ...解散にしよっか。」

「うん。」

「じゃあまたね!気をつけてね!あなたの未来に幸あらんことを。」

「こちらこそ、あなたの未来に幸あらんことを。レミーラも気をつけてね。」

「じゃあ、ばいばい。またね!」

「うん、またね。」

 ルートアは姿が見えなくなるまで、私が渡した22本の紫色のチューリップの花束を抱えて手を降ってくれていた。紫色のチューリップと白い包装紙がルートアが手を振ってくれるのにつられて、一緒に揺れてすごく綺麗だった。



 ルートアが本当に学園に行っちゃいますねえ。寂しくなります、本当に。あのイケメンは私の癒やしでもあったのに。まあでも、ルートアも今頑張ってるんだと考えて、一年がんばりますか!一年経てば学園内で会えますし。別に会いに行こうと思えば入学後すぐにでも会いに行けるんですけどね、公爵令嬢なので。ですが、それはしないです。せっかく頑張るって分かれたルートアにも失礼ですし。まあ!さみしい気持ちを切り替えて弟子に教えるの頑張りますか!



「ただいま戻ったわ。昼食を部屋でとったら鍛錬場に行くわ。」

「おかえりなさいませ、お嬢様。かしこまりました。では、準備でき次第、昼食を部屋に運ばせてもらいます。」

「ええ、よろしくね。」

次はレミーラが言っていた通り、レミーラの弟子たちが登場します!

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