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弟子の模擬戦

 無事帰宅し、お父様に共有もできました。

 お父様は、なにかの布石でも対応できるようにこちらも準備しておく。だが、多分まだ動かないだろう。との見解でした。

 お父様がなにかあっても動けるように準備してくださるのであれば、最悪の場合にはならないでしょう。

 にしても、お父様もロルーリもまだ動かない読みということは…当たりますね!根拠もなにもないですが!


 さて、そんなことは置いといて。

 私も真魔(しんま)討伐のことを考えないとですか。

 武器スキルと、サリー、ライグ…魔法開発もしましたし、出し惜しみせずに出すことを決めたのですが…

 流石に魔剣(ブラックソード)がないと、勝利は厳しい気がするんですよね。飛ぶ鳥でない限り、戦闘はほぼ必ずありますし。

 そして戦闘型の真魔である場合、雑魚…んんっ!真魔に関係のない、弱い魔物が邪魔なのでそれを片付けてくれる人がほしいんですよね。それ専用に人を雇うのは守秘義務辺りが面倒ですし…まあロルーリに防御魔法を任せて放置することが一番ですか。

 精霊と悪魔について話して弱点を見せるのは公爵令嬢と王女としては辞めておいたほうがいいですよね。…今後、緊急を要する場合は出しますが、それ以外では説明をするのは辞めておきましょう。戦力を隠して戦える敵だとは思っていませんが、出し過ぎるのもよくないですよね。

 では今回の真魔討伐には魔剣は出すとして、サリーとライグは控えておきましょう。

 あとは、私がやらなければいけない、荷物の準備を進めておきましょうか。


 さて、作戦が決まった以上、本日はもうやることはないですし、時間の許す限り魔法の開発をしましょうか。戦闘に使える切り札は何個あってもいいですからね。

 まあ明日は久しぶりに弟子との鍛錬ですから、そんなに長時間はできませんが。



 朝ご飯を終え、支度も終えましたし、第5訓練場に向かいましょう!

「「「師匠!おはようございます!本日もよろしくお願いします!」」」

「ええ、おはよう。」

 訓練場に入った瞬間に大声の挨拶がかかった。

 相変わらずの元気な挨拶、ありがたいですね。覚醒しきっていない目も覚めます。

「今回は前回予告した通り、魔法を使った模擬戦を行います。みんな、体調は大丈夫?」

「「「はい!」」」

 私の問いにみんな大きな声で返事した。

 体調がいいようで何よりです。まあ流石に体調不良で来ていたら、即座に帰しますがね。

 では、模擬戦の前に確認をしましょうか。

「まずレグナード、前回教えた魔法は覚えている?」

「はい!ウインドバリアです!」

「うん、正解。じゃあドロズ。前回教えた魔法は覚えている?」

「はい!ダークバリアです!」

「うん、正解。じゃあノール。前回教えた魔法は覚えている?」

「はい!アクアバリアです!」

「うん、正解。みんな覚えているわね。よかった。」

 みんなに目を合わせて聞くと、みんなが目を合わせて返してくれた。

 しかもきちんと全員正解ですね。嬉しいです。

「じゃあ、今まで教えた魔法を言っていってみて。レグナード、ドロズ、ノールの順番で。」

「はい!…あ、ウインドバリアみたいな言い方ですか?それとも、バリアみたいな言い方ですか?」

 あ、たしかに。分かりにくかったですね。申し訳ない。

「あぁ、ごめんね。バリアのような言い方でお願いできる?」

「はい!わかりました!ショートです!」

 ショート〇〇、はじめに教えた魔法ですね。

「うん、そうだね。次、ドロズ。」

「はい、スピアです。」

 〇〇スピア、三番目に教えた魔法ですね。

「うん、そうだね。次、ノール。」

「はい!ボールです!」

 〇〇ボール、二番目に教えた魔法ですね。

「うん、正解。答えてくれてありがとう。教えた初級魔法と中級魔法はそれぐらいだね。今度は実践用のヒールを教えるけれど、それは一回置いておいて。あ、あとはさっき思い出した防御魔法だね。じゃあ、その四つの魔法を使って模擬戦をしょうか。」

「はい!」

 ルール説明に入ろうとしたところで、ドロズが手を上げた。

 なにかありましたかね?どうしたんでしょうか?

「うん?どうしたの?ドロズ。」

「師匠は模擬戦に参加しますか?」

 流石に戦力差がすごいですし、参加する予定はなかったのですが…

「参加する予定はなかったけれど、どうして?」

 なぜこんな質問をしてくるのかは聞いた方が良いですよね。参加してほしくないからなのか、逆に参加してほしいからなのか。

「いえ、特に大きな理由はないのですが、師匠とも戦えたら面白そうだなと思いまして。」

 …すごいですね。前回の防御魔法や攻撃魔法でまあまあ戦力差があることは理解しているはずなのに。

「そう。ごめんね。今回は参加しないで、審判に徹するけれど、今度時間があったらやろうか。」

 せっかく面白そうと言ってくれたのに申し訳ないと思いながら謝罪をした。

「…はい!」

 そう言うと顔を明るくして、返事が返ってきた。

 今度やろうかにこんなに笑顔なんですかね?

 そんなに戦いたかったんでしょうか…前回上級魔法は打ちましたが、それに臆さない精神素晴らしいですね。

「じゃあ質問はそれだけかな?」

 ドロズの方を見ると、大きく頷いた。

 では、今度こそルール説明に入りましょうか。

「じゃあ模擬戦について説明するね。今回の模擬戦は魔法だけで攻撃、防御してもらう。蹴りなどの物理攻撃は禁止。勝利条件は攻撃を一回当てること。やりすぎには注意してね。でも、万が一怪我しても、私が回復魔法をかけるから怪我した状態のまま帰すようなことはない。こんなものかな?何か質問はある?」

 勝利条件が一番迷ったんですよね。

 背に氷を張ってそれを割るまでにするか、攻撃一回当てるまでにするか。

 氷の場合、怪我がないのが利点だけど、属性によって割りやすいとかが変わってしまう。攻撃の場合、全員に平等に攻撃チャンスができるのは利点だけど、それによって怪我も生まれるし、最悪死人が出てしまう可能性がある。

 それで悩んだ結果、私が怪我は治す、危ない状況になったら止めるから、平等性を取り、攻撃で決める。ということにした。

「「「大丈夫です!」」」

「じゃあそれで行こうか。みんな身体をほぐし終わったら言ってね。」

「「「はい!」」」

 身体をほぐすように声をかけて、私はみんながどんな攻撃をするかを考えていた。



「よし!そこまで!」

 私のその一声にレグナードとドロズの動きが止まった。

「レグナードの魔法がドロズの膝をかすっていたよ。」

 私は少し擦りむけているドロズの膝を指した。

「あ、ほんとだ…」

 熱中していて気付かなかったのだろう。傷を見て驚いた顔をしている。

 多分この程度のかすり傷はそこまで痛みがないでしょうから、気付きにくいんでしょうね。

「ということで今回はレグナードの勝利。ドロズはちょっと待ってね。」

 ドロズの元に駆け寄って、回復魔法をかける。

 魔法の開発期間に無事回復魔法を覚えることが出来たので、今後このような場面に遭遇しても対処できるようになりました!

「かなり見た目悪いけど、大丈夫だからね。"スタート ダークヒール"。…"ストップ"。よし、大丈夫?痛くない?」

 見た目では治った傷を見つつ、問いかけた。

「…はい!」

 初めての回復魔法にドロズは目を輝かせていた。

 そんなにワクワクするようなことなんですかね?回復魔法って。まあでも、私に向けてではないといえど、この眼差しを見れるのは嬉しいですね。

「じゃあ二人の息が落ち着いたら、今日の振り返りしようか。」

 肩で息をしている二人を見つつ、声をかけた。

「「「はい!」」」



 円の形に座って、みんなで顔を突き合わせた。

「じゃあまず、ノール。」

「はい!」

 名前を呼ぶと元気よく返事が返ってくる。

 ノールは一番はじめに負けてしまいましたが、負けるまではいい勝負をずっと続けていました。

 目の前から来たレグナードの魔法を防いでいる間に、背後から来たドロズの魔法に気付けずに負けてしまいました。

「今回の敗因はわかる?」

 私から言ってもいいのですが、自分が気付けていることを私も把握することもできますし、本人から聞けることも大きいでしょう。

「えっと、防御魔法はいい感じだったと思うのですが、攻めの姿勢が少なかったかもしれません。」

 うん、聞いてよかったですね、これは。駄目だった点に自分で気付けていますね。

「うん、そうだね。…仲間に攻撃するの、上手く制御できなくて怪我させないかって怖かった?」

「はい…」

 私だってロルーリの強さを信用できるまで魔法を上手く放てませんでしたし、この苦難は多くの方が通ると思っていたんですよね。

 悪いことをしてしまったように顔を俯かせるノールに優しく声をかける。

「大丈夫だよ。そんなに気にしないで。仲間に攻撃魔法を打つのが怖いのなんて当たり前だから。でも、きちんと防御魔法を張っていたのはよかったね。一部だけに張っていたのは自己判断?」

「はい。」

 ノールだけ防御魔法を攻撃魔法の寸前にだけ張っていて、魔力を温存していたのが目に写って驚いたんですよね。

 制御が面倒でそれを行うのは上級者でも少ないのですが、それを教える前に、しかもきちんと制御してやっていたのは強いです。

「それはかなり誇っていいよ。私が特別教えてないのに、きちんと防げていた。ノールにはノールの適正属性分すべての防御魔法を今度教えるから、次の模擬戦ではどれをいつ使うのかを主に考えてみようか。」

「はい!」

 私の言葉に元気よく返事が返ってきた。

 ノールが今後も魔法を使うならば、ロルーリのように強い防御魔法を使うのもいいですね。攻撃魔法は強くても防御魔法は弱め、なんて人はごまんといますし。

 ノールに一通り言葉をかけ終わった後、私は身体をドロズの方向に向けた。

「じゃあ次、ドロズ。ドロズは今回の敗因は何だと思う?」

「はい。攻撃魔法を打ち過ぎていて、防御がおろそかになっていたことだと思います。」

 うーん、ドロズは正しいばかりではないですね。ですが一応まだあるかもしれませんし、次の言葉を促してみましょうか。

「他はあるかな?」

「…えっと、すみません。思いつきません。」

 少し考えても思い浮かばなかったのか、申し訳なさそうにドロズが謝る。

「あ、ごめんね!?大丈夫大丈夫。それだけでも気付けているのはすごいことだから。…じゃあ見ていた側の私から言わせてもらうね?」

「はい!」

 急いで謝って、次の言葉に進んだほうがいいと判断したレミーラは言葉を続けた。

「ドロズは分かっている通り攻撃をよく打っていた。でもそれはランスが多く、ランスは遠距離で打ちやすいものだったのは分かる?」

「はい!」

 ランス魔法の強いところは理解していたみたいで嬉しいですね。にしても…こうして見たあとだと、ここを教えておいたらなとかたくさん出てきますね。

「その割にはすごく前に出ていたのは分かる?二人になった途端、すごく近距離で攻撃していたんだけど。」

「あ、たしかに…」

 言われて思い当たるところがあったのだろう。ドロズは考えるように下を向いた。

「だから今後は距離を大切にね。」

「あ、はい!」

 ドロズに教えるべき魔法は特別にはないですかね。強いて言うならバランス良く教えたほうが良いぐらいでしょうか。

 ドロズは自分の使える属性をすべて使って攻撃していましたから。

「じゃあ最後にレグナード。今回で反省すべき点はある?」

「はい。使う魔法が風属性だけになり、炎属性を使えませんでした。」

 あ、そこは反省点で出てくるんですね。ということは、戦術的な意識はしていなかったということですか。

「そっか。そこはなにか意識してなのかと思っていたけれど、違ったんだね。」

「はい。無意識のうちに風属性だけを使ってしまいました。」

「そっか。じゃあ今後は焦っても炎属性も使えるように炎属性の魔法の練習を進めようか。でも、風属性の強い魔法も教えていくから、頑張ってついて来てね。」

「はい!」

 少し挑発するように声をかけると、元気な返事が返ってきた。

 ただ戦闘相手が限られるというだけで一属性に頼るのは悪いことではないのですが…本人が気にしているのであれば、その本人の以降に沿いましょう。

「うん、以上かな。じゃあ今回はこれで終わりましょうか。」

 そう言って腰を上げるとレミーラに倣うように、三人も腰を上げた。

「お疲れ様でした!ありがとうございました!」

「「「お疲れ様でした!ありがとうございました!」」」

 私に続いて、みんなが深く礼をした。

「じゃあ今度は先程も言った通り、みんなに合った魔法を中心に教えていくね。」

「「「はい!」」」

 今回の模擬戦は得られるものが多かったですね。

 みんなの理想の戦闘方法と、実践でどうなるか。そして、個々の今後の方針。

 あ、大事なことを言い忘れていました。

「みんな。今回の結果はそんなに気にしないでね。あくまでも模擬戦だから。」

「「「はい!」」」

 今回の結果を気にしすぎてしまうと、今後教える予定の魔法にも影響が出てしまうかもしれないですからね。

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