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ものを買って

 真魔(しんま)に対抗するために、魔法の開発をしていたら一日が早く過ぎていき、食べて寝て、開発して、なんて生活を繰り返していたら一週間があっという間に過ぎていった。


 かなり時間がかかりました...。でも!ずっと開発してた魔法がやっと完成しました!

 魔法による被害を考えたら、基本的にこんな魔法は使いたくはないけれど...真魔の強さが具体的に分からないからなんともいえませんね。

 とりあえず一週間経ちましたし、ロルーリへプレゼントを持って王宮に行きたいですねえ...。

 手紙を出しておきましょうか。



 ロルーリ様へ。モクケ大陸での真魔討伐に関する相談をしたいため、近々時間を取っていただけると嬉しいです。と。

 伝書鳩にくくりつけて、王宮へ飛ばしておきましょう。


 ロルーリは忙しすぎない限り、時間を取ってくれますし、今日中は無理でも近日以内に許可が出ることを祈って、謝罪の品物を探しにユーダグロス商会に行ってきましょうか。

 ...なににしようかな〜。


 王宮で手紙を受け取ったロルーリが謝罪がないことに怒りの炎を燃やしていることをつゆ知らず、自分へのご褒美にはなにを買おうかなと、ルンルンでユーダグロス商会へ向かったレミーラだった。



「あ、これ、いいんじゃないかしら。」

 そう言ってレミーラが手に取ったものは東部から輸入されたらしい、椿油のつげ櫛だった。


 前世でも高い品物でしたが、ワネクトでも高い品物みたいですね。

 柄があって、カバーに種類もある。そしてなにより前世に生きた世界である日本を思い出せますよね。

 ...柄違いで買っていくのもいいですよね。どうせなら。


「あら、こんにちは。お嬢様。」

 椿油のつげ櫛の柄を見て考え込んでいると背後から声がかかった。


 急に後ろから声をかけられたと思ったら、店主様でしたか。

「こんにちは、ルストさん。」

「あ〜、こらっ!ルストさんは嫌だって言ったでしょ?ルストって呼び捨てか、ルストお姉様って呼んで?」

 相変わらずきれいなウインクをしますねえ、ルストさ、ルストお姉様は。

「すみません、ルストお姉様。」

「うん、それでいいわよ。それで、いい品はあったかしら?」

「はい。ですがまだもう少し見て回ろうと思います。」

「そうなのね。ぜひゆっくり見ていってちょーだい。私は他のお客様のところに行ってくるわねえ。」

「ええ。」


 先ほど声をかけてきた方は、ここの店主。そして、ユーダグロス商会の商会主です。

 少々癖の強いお方で、口調や身なりから女性かと一瞬疑いますが、正真正銘の男性です。

 そして、本物の商売の才を持っており、三年前にユーダグロス商会が作られたばかりだと言うのに、もう王家御用達の茶葉などを入れるほど大きくなりました。

 今ある店舗は王都とレクロ領とレクロ領のお店だけなのですが、次は平民の方をターゲットにしたいと様々な領の空き店舗をよく視察に行っており、最近は不在がちです。まあ今日はいらっしゃいましたが。

 ちなみに王都のお店は貴族向け、一店舗目のレクロ領のお店は平民向け、そしてここ、二店舗目のレクロ領のお店は貴族向けです。

 平民向けのお店にも、貴族向けのお店にも行ったことがあるのですが、内装等きちんと考えられており、品物も一級品のものだけで、商店が大きくなったのも納得しましたね。


 さて、一通り商品を見ることができましたが、椿油のつげ櫛以外に特別惹かれるものはないですかね。



 レジに置いてある鈴を鳴らすと奥からバタバタとルストお姉様が出てきた。

「ルストお姉様、そんなに急がなくても大丈夫ですよ。」

「いやぁそういうわけにもいかないじゃない。せっかくの公爵令嬢様なんだもの。」

「たしかに公爵令嬢ではありますが、本当に大丈夫ですよ?私、そんなに厳しくないでしょう?」

「ふふっ、それもそうね。...お買い物品は椿油のつげ櫛2つ、入れ物2つ、あとは椿油、と。はい、50ダジャンよ。」

「はい。」

「...はい、丁度いただきました。ってあら、足に良いものつけてるじゃないの。前回の来店時にはついてなかったわよね?」

あぁ、ルートアにもらったアンクレットのことですかね?

「はい、そうですね。ルストお姉様が居ないときには来ましたが。」

「ふふ、ついにお嬢様にも恋仲の人ができたのね。」

ん?

「いえ、違いますよ?」

ルストお姉様も面白いことを言いますね。ルートアが彼氏なわけないじゃないですか。たしかにかっこいいですが、彼氏なんて。ルートアにも失礼ですよ。

「え?足輪を送ってもらう仲なのに?」

「はい。今彼学園にいまして。学園前最後の思い出作りでいただいたんですよ。」

「そう、なのね。ってあら、話し込んじゃった!ごめんなさいね?」

「いえいえ、こちらこそお仕事中に話してしまってすみません。」

「いいえ〜こちらから話しかけたんだもの。また来てね〜!いい品入れておくから。」

「はい、また。」

 扉を閉めるまでブンブン手を降ってくれましたね。本当に可愛い方です。


 ふふ、いい買い物ができました。

 それにしてもやっぱり今生でも高いものですね。まあ、ありがたき公爵令嬢。高額すぎなければお父様が許してくれますね。


 あ、ちなみにお金についてですが。

 先ほど支払った『ダジャン』という単位ですが、あれは前世で言う『万』です。

『ダジャン』、『チジャン』、『シジャン』という単位が一般的で、子どもの『シジャン』、主婦の『チジャン』、貴族の『ダジャン』なんて巷では言われております。

 噂では、大中小の頭文字、から名付けたのではないか、とも言われてますね。


 ...名前で気付いた人もいるように、『ダジャン』は最後の一文字を変えたら「ダジャレ」になります。前世を日本で過ごした者はそれで覚えられましたね!


 まあそんなことはさておき...。希望の品が買えたことですし、家に帰って伝書鳩が帰ってきていないか見に行きましょうか。



「お嬢様、おかえりなさいませ。」

「ええ、ただいま。伝書鳩は帰ってきていないかしら?」

「先ほど帰ってまいりました。部屋に連れて行っております。」

「あら、ありがとう。じゃあ見に行ってくるわ。」

「かしこまりました。」

 返事が想像よりも早かったですね。今日はロルーリの手間が少し空いてる時間に届けられたのでしょうか。



 ...今日は勉強や公務はないから、魔法開発をするだけ。だから、いつでも来ていいよ、ですかあ...。これまだ怒ってますかね?...多分怒ってますよねえ...。

 謝罪の品を持って、馬車で素直に行くとしますか。


 ふー!ちょうど馬車が余っていてよかったです!!

 魔法で行くのも思ったんですがね、せっかくの櫛が折れてしまっては嫌ですし、慎重に馬車にしました。

 そしてなによりも、謝罪の意を汲み取りやすい!きっと!



「お嬢様、到着いたしました。開けてもよろしいでしょうか?」

「ええ、大丈夫よ。」

「では、失礼します。...お手をどうぞ。」

「ありがとう。...帰れるようになるのが今日中か分からないから、街で馬車の貸し業者に頼むことにするわ。お父様にはロルーリ様とお話してくると伝えてちょうだい。」

「かしこまりました。では、お帰りをお待ちしております。失礼します。」


 きちんとラッピングしてもらったし、お揃い♡ってできるように私のものも持ってきた!いける!多分!


 そんなことを思いながら、私はロルーリの部屋へ向かっていった。

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