家族の反応
「「あ!レミ!」」
おや?なに
「御母様!レミが来ました!」
「え!?本当!?やっと来たかしら!?」
あー...想像以上に騒々しい。お母様がかなり久しぶりに声を張ってらっしゃるほどでしたか...今回の新聞は。
「おはようございます、お母様、シミラーお兄様、クロストお姉様。」
「ええ、おはよう。ところで本当に婚約するの?私何も聞いていないのだけれど。」
「妹が義妹になるのは別にいいのだけれど、なんでよりによってカニネラ様なの?カニネラ様はストーラ公爵家と関わりが深いのよ?何に惚れたの?」
「俺は...俺はまだ学園入学前の妹を婚約させる気はない!せめて、学園入学後とかなら...でも、カニネラ様は...」
怒涛の勢いで来ますねえ...
「落ち着いてください、お母様、シミラーお兄様、クロストお姉様。先程メロにも聞かれましたが、それは嘘です。カニネラ様と茶会をしたのは事実ですが、そのような話はしておりません。」
「まだ婚約者のいない娘に関してそんな嘘を流すなんて...旦那様に頼んで潰そうかしら。」
「あ、私も手伝います、御母様。大事な妹の将来に大きく関わることでそんな嘘を流すなんて...そんな新聞社、倒産させるしかない!」
「落ち着いてください、お母様、シミラーお兄様。そこそこ大きい新聞社を私の誤報一回だけで潰さないでくださいませ。」
「あ、じゃあ、民を使い...」
「更に悪いですよ、クロストお姉様。」
「とりあえず嘘、ということね?」
「はい、なんの根拠もないでしょう?その新聞に書いてある内容は。」
「けど茶会をしたのは事実、なんだものね?」
「はい、王城の庭園にて行いました。」
「じゃあ声明を出すのよね?」
「いえ、別に出す必要性はないと考えております。」
「「「え!?」」」
「え?そんなに驚くことでしょうか...誤報のすべてに声明を出されるわけではございませんし、それに倣い出さなくてよいかと思ったのですが。」
「御母様、やはり御父様に頼んで潰しましょうよ。公爵家の誤報を出せばこうなるのだと知らしめましょう。」
「そうね。旦那様に提案してみましょうか。」
「ちょっ、私は害が出ておりませんし、大丈夫ですよ?」
「おはようございます、お母様、シミラーお兄様、クロストお姉様、レミーラお姉様。」
「おはよう、メロ。先ほどぶりね。」
「はい、その説は大変失礼いたしました。」
「もう気にしないで大丈夫よ。」
「ああ、そういえば朝から大きい声を出していたわね。メロ、あとでマナーを学び直しましょうね。」
「はい。」
「一度だけですし、メロは悪くないのではないですか?元は誤報ですし、迎え入れたのは私です。私がマナーを学びましょうか。」
「いいえ、向かったのはメロでしょう。まあ迎え入れたのも問題だけど、向かわなければ迎え入れることもないし、学び直すのはメロよ。レミは今後注意しなさいね。」
「庇わなくて大丈夫です、レミーラお姉様。私の責任ですから。」
「...わかりました。なにか辛いことがあればすぐに言ってね。いくらでも片付けるから。」
「レミこそ治安が悪いわよ。」
「そんなことないですわ、お母様。」
「おはよう、今日は皆朝から元気だな。」
「おはようございます、旦那様。」
「「おはようございます、御父様。」」「「おはようございます、お父様。」」
「ああ、おはよう。なにかあったのか?」
「ええ、レミとカニネラ様が婚約すると新聞で言われているのです。」
「ああ、婚約にこじつけたのか。どうする?流石に婚約なら声明を出すか?」
「いい」
「「「「はい!」」」」
「出しましょう、御父様。レミは学園入学前の子供です。これを理由に今後レミが好きな人ができたとき、告白を断られては私は一生新聞社を許せません。」
「私もロスに賛成です。レクロ公爵家として出すべきかと。」
「...レミはどうだ。」
「そこまで言われてしまえば、これ以上拒否する理由はございません。文章を考えて新聞社に出してまいります。」
「いや、レクロ公爵家として出すのだ。私が出しに行こう。」
「「「「「え!?」」」」」
「旦那様。お気持ちはわかりますが、流石に使用人に任せましょう。レクロに続いて、最後に名を書けばいいかと。」
「...それもそうだな。では、私の方で準備し動いておく。」
「では、お願いいたします。」
「御父様、最後に私の名前もお願いいたします。」
「御父様、私の名前もお願いいたします。」
「旦那様、母として私の名前もお願いいたします。」
「お父様、弟では力が少ないとは思いますが、私の名前もお願いいたします。」
「了解した。では、この件はこれで終わりにしてご飯にしよう。」
「「「「はい。」」」」
愛されているが故なのでしょうが、かなりむず痒いですね...
面倒くさいを理由に声明文を送らないのはここまでしてくれる家族に失礼ですし、出していただくことにしましょうか。
「「「「「「ごちそうさまでした。」」」」」」
「レミ、理解しているとは思うが、10時に王城だが9時には着いているように動いてくれ。」
「はい、かしこまりました。」
「それから声明文は本日中に新聞社に送る。」
「ありがとうございます。お願いいたします。」
さて、そろそろ良い時間ですし準備して向かうとしましょうか。
効率は下がりますが、ライグとサリーは出すのは控えておきましょうか。
風の魔法を使って船で行く必要があるので、少しめんどくさいですがその船も準備ないとですねえ...ウインドフライを使うわけには行かないですから。
「お嬢様、王城へ向かう馬車の用意ができました。いつでもお申し付けくださいませ。」
「ええ、ありがとう。5分後には出られるから...15分以内には行くって伝えておいてくれるかしら。」
「かしこまりました。」
さて、着替えることができましたし、行くとしましょうか。
「本日もよろしくね。」
「ええ、お嬢様。お手をどうぞ。」
「ええ、ありがとう。」
「では、閉めます。」
「ええ。」
さて、王城に着くまでの時間で人目がある魔物討伐は初めてなのでどうやって動くか考えるとしましょうか...
「お嬢様、到着いたしました。」
あ、もう着いたんですか。まあでも、おおよその動きは考えることができたのでいいとしましょう。
「ありがとう。」
「開けてもよろしいでしょうか。」
「ええ、大丈夫よ。」
「では、失礼いたします。お手をどうぞ。」
「ええ、ありがとう。」
そういえば、王城とは聞いたのですが詳しい場所を聞いていませんでしたね。ネルダー様のところに行って聞いてみるとしましょうか。
「すみません、ここはご令嬢が来るような場所ではございません。道を間違えていらっしゃると思うのですが、行き先はどちらでしょうか。」
ふむ、新人さんでしょうか...来るの初めてではないのですが。
「ネルダー様の居場所が分からないため、騎士団に会いに来たのですが...今こちらにいらっしゃいますか?」
「...申し訳ございませんが、第六団長になんの御用でしょうか。」
「ああ。私、レミーラ・レクロと申します。要件はネルダー様の御子息である、ホーザ・ネルダーをモクケ大陸に同行させると約束をしているのですが、ホーザのいるところが分からないため、ネルダー様に聞きに行きたいのです。」
「レクロ!?大変失礼いたしました!すぐにご案内いたします!」
「場所さえお教えいただければ大丈夫ですよ?」
「いえっ!大丈夫です!ご案内いたします!」
「そうですか...では、お言葉に甘えて。お願いします。」
「はい!」
別に執務室に居るのか訓練場にいるのかお教えいただければいいのですが...まあ案内してくださるのであればありがたく従うことにしましょうか。
「第六団長!お客様が参りました!」
「...今日は誰も居なかったはずだが。」
「レミーラ・レクロ嬢でございます!」
おやおや、随分とばたばたしてますね。扉を隔てているのに聞こえてきますよ。
「どうかなさいましたか!?レクロ嬢!」
「おはようございます、ネルダー様。ホーザをモクケ大陸での魔物討伐へ同行させる約束をしていたのですが、細かい集合場所をお父様に聞き忘れてしまいまして。ホーザがどこにいるかご存じないでしょうか。」
「あ!ホーザでしたか!今は西の城門のところで待機しているはずですが...案内させましょうか?」
「いえいえ、大丈夫です。西の城門でしたか、ありがとうございます。そして、大変申し訳ございません。こちらの不備でお仕事を止めてしまいまして。」
「いえ。レクロ嬢にはホーザを連れて行っていただくのですから、この程度なんの支障もございません。そして、剣技について。ホーザに癖をなくすように教えてくださりありがとうございました。」
「いえ、気づくのが遅くなった挙げ句、約束を反故し、癖のなくし方について教えてしまい申し訳ございませんでした。ご要望とあればどのような罰でもお受けいたします。」
「いえいえ!頭を上げてくださいませ!どの型当てはまらず、支障をきたさないものを教えてくださり感謝しております。教えてくださらないと、私が見たときにはきっと取り返しのつかないことになっていました。感謝こそあれ、罰など以ての外です。」
「そのように言っていただけてよかったです。今回は発見が遅れてしまったため、苦肉の策として教えてしまったのですが、今後はきちんと早期発見し、ネルダー様にご報告するようにいたします。」
「はい、今後はそのようにしていただけると嬉しいですが。今回の件、そして本日のモクケ大陸での魔物討伐への同行の許可、誠にありがとうございます。」
「いえ、己の力量を把握するには自分の目で見たほうが良いですから。では、ホーザをこれ以上待たせては悪いですし失礼いたします。ありがとうございました。」
「あ!そうですよね!では、お気をつけて。くれぐれも条件については守ってください。」
「ええ、もちろんです。では、失礼いたしました。」
西の門ですかあ...かなり話し込んじゃいましたから、急いで行くとしましょうか。もうホーザを待たせてしまっているとは思いますが。