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第二王子との茶会

「ふぁあふ。」

「おはよう、レミーラ。」

「あら、おはようロルーリ。早いね。」

「レミーラも早いわね。」

「ロクレラはもう少しあと?」

「ええ、普段通りならもう少し後なはずよ。ロクが起きるまでの間、二人でなにかする?」

「うーん、特別やりたいこともないし大丈夫かなあ。ロクレラの起床がもう少しあとならそれまで寝ない?」

「それもいいけど、私朝から予定があって...」

「そうなんだ。じゃあお茶でも淹れようか?」

「え!?レミーラが!?」

「うん。どうする?飲む?」

「じゃあせっかくだしお願いしようかな〜。」

「じゃあ身体冷やさないように布団の中で待ってて。寝ててもいいからさ。」

「うん、わかった!待ってるね?」

「はーい。」


 自分でお茶淹れるの久しぶりですねえ。

 さて、鈴を鳴らしたし、そのうち使用人が来るでしょう。

 一応ロクレラを起こさないように外で待ってましょうか。



「!?レミーラお嬢様!?お部屋の前でなにをしていらしているのですか!?」

「今鈴を鳴らしたからメイドが来るのを待っているのよ。」

「あ、私が鈴の音に呼ばれてまいりましたが...いかがなさいましたか?」

「ティーカップとソーサーを三個ずつ、あればユーダグロス商店のアールグレイの茶葉、なければどこのでも大丈夫、それと紅茶ポット、空の水さしを持ってきてくれないかしら?」

「かしこまりました。すぐに持ってまいります。」

「中でまだロルーリが寝ているの。ここで待っているわね。」

「...!かしこまりました!急いで持ってまいります!」

「別に急がなくて大丈夫よ。ここは王宮だもの高いものも多いでしょうから、気を付けて。」

「かしこまりました!」

 あ、急がなくていいって言ったのに走って行っちゃった...なにもないと良いけど...



「大変お待たせいたしました!こちらでよろしいでしょうか?」

「あら、ユーダグロス商店のアールグレイあったのね。ええ、間違いないわ。」

「では、失礼いたします。どうぞごゆっくり。」

「ええ、ありがとう。」


「お待たせ。ロクレラは起きた?」

「いいえ、まだよ。ふふっ、レミーラが淹れてくれるお茶いつぶりかしら。楽しみだわあ。」

「お茶を淹れるだけだし、そんな楽しみにしてもらうほどのことでもないけどね?"ゴー ショートアクア"」



「はい、どうぞ。ご賞味あれ。」

「ええ、ありがとう。...ふぅ、美味しい。」

「美味しいならよかった。...ふぅ。うん、いいね。」

「ふぁぁ...おはよぅ...」

「あら、起きたのね。おはよう、ロク。」

「おはよう、ロクレラ。」

「...なに?この状況。優雅に二人でお茶飲んでるけど...」

「見た通り、言った通りだよ。二人で目覚めの紅茶飲んでるだけ。」

「僕も飲んでいい?」

「もちろん。そこに座って待ってて。」

「...うん。」

「まだ眠い?大丈夫?飲める?」

「飲める...」

「そう...?じゃあ淹れるよ。」

「...うん。」


「ロク。紅茶来たわよ。」

「うん...。」

「大丈夫?飲める?」

「うん。...え!?美味しい!?...え?こんなに美味しく淹れることができるメイド居たっけ?レクロ公爵家の使用人?」

「いんや、淹れたのは私だね。」

「え!?...へえ、紅茶淹れるの上手なんだ。」

「はは、お褒めに預かり光栄です、殿下。」

「これ茶葉は?」

「ん?ユーダグロス商会が独自でブレンドのもの。」

「へえ...王城にもあるのかな。」

「あるみたいだよ。王城で用意してもらったものだからね。飲みたければ使用人にそう伝えるといいよ。」

「わかった!...ユーダグロス商会のアールグレイの茶葉、っと今度頼もう。」

「さて、ロクも目が覚めたみたいだし、私は公務に行ってこようかな。」

「あ、今日の予定って公務なのね。」

「うん、そう。城下に降りて民と交流。その後は孤児院に挨拶って感じかな。」

「大変だねえ...頑張ってね。」

「うん、じゃあいってきます。二人が出るときはメイドに言ってくれればいいからね。」

「はーい、気をつけてね。」

「うん。じゃあまたね。」

「はーい、いってらっしゃい。」

「いってらっしゃい、ロル姉。」

「うん、いってきます。」


「ロクレラは今日なにかあるの?」

「別にないかなあ...いつも通り。国史を学んで、マナーを学んで、魔法を学ぶ。特別なことはないね。」

「そうなんだ。じゃあその国史の勉強までに間に合うように行かないとだね。」

「そう、そっちは?」

「10時までは暇だけど、魔法の勉強でもしようかな...ここにいても良さそうな口ぶりだったし。」

魔法の勉強、ではありますよね!魔法の研究も!

「そうなんだ。さて、僕ももうそろそろ準備しないとだ。」

「お、もうなんだ。頑張ってね。」

「おう、行ってきます。」

「うん、いってらっしゃい。」

 "スタート ダークバリア"、"スタート ウインドバリア"

 かなり過保護かもしれないですが、昨日の今日ですから用心するに越したことはないでしょう。まあ昨日の件は主犯が誰か吐いたし、目的も判明したし、大丈夫でしょうけどね。


 とりあえず私は家主のいない部屋ですが、馬車の業者に伝達に行ってから魔法の研究をするとしましょうか。




「レミーラ様、いらっしゃいますでしょうか。9時45分となりました。」

 あ、もうそんな時間なんですね...頭のメモだけで展開していたといえ、意外と捗った気がします。いつもと環境が違うからでしょうかね。

「ええ、ありがとう。すぐに出ますね。」

「かしこまりました。では、こちらにてお待ちしております。」

 昨日とは上着を変えましたし、服そのものは寝ている間に洗ってもらいましたし大丈夫でしょう。

 では、行くとしましょうか。



「すみません、カニネラ様と本日10時よりお茶会の約束をしましたレミーラ・レクロと申します。ご確認をお願いいたします。」

「...かしこまりました。」

 関わりが薄かったため今まできちんと見る機会がなかったのですが、昨日のメイドじゃないですか。意外と第二王子との関係値は濃い方なのでしょうか。

「確認が取れました。どうぞ、お進みください。」

「ありがとう。」

 昨夜急に約束したものですから、いざ来てみたらそんな約束はない!と返されることを覚悟してきたのですが、大丈夫でしたか。

 そこまでやばいやつではないのでしょうか...ということは王子に次の日の約束をキャンセルさせてまで約束をぶっこむ公爵令嬢の方がやばいやつですか...まあ、そんなことは置いておいて。着きましたか。

「カニネラ様。レミーラ・レクロでございます。予定の時刻となりましたが、いかがでしょうか。」

「ああ、もうそんな時間か。入ってきてくれて構わない。」

 ふむ?昨日の復讐かなにかでしょうか?許可は出してもそれに託つける。

 あ、部屋の門番でしょうか、頷いてくださいましたね。いいと言うことでしょう。

「では、失礼いたします。ご機嫌麗しゅう、殿下。」

「ああ。すまないが、少しそこで待っていてくれ。予定が押した。」

「かしこまりました。では、失礼いたします。」

 王族の務めは陛下の命令でのみ聞く、というのは事実なのでしょうか。最近はストーラ公爵の言葉も聞くようになったと噂はありますが..ふむ、あながち嘘ではないのでしょうか。あの書類は...

「待たせて悪かったな。これで一段落ついた。茶会は庭でいいか?」

「どこでも構いません。」

「そうか、じゃあ庭園に行くとするか。お前はここの片付けを頼む。」

「かしこまりました。ご令嬢、どうぞごゆっくり。」

「さあ、お手をどうぞ?お嬢様。」

「あら、ありがとうございます、殿下。王城で殿下のエスコートを受けられるなんて嬉しいですわ。」

「ははっ、それはよかったです。」



「人払いは済ませてある。だが心配であれば風の防御魔法を張ってくれてもいい。」

「では、失礼します。"スタート ウインドバリア"。お気遣い感謝いたします。」

「別にいい。それから口調は砕いてもいいぞ?」

「自国の王族と会話するのに口調を砕くなどという失礼なことはできませんわ。」

「はっそうか。さて、俺は時間が有り余っているわけではない。本題に入ろうか。」

「かしこまりました。では、失礼ながら。昨夜の私の浴場での出来事、その前の城下での出来事。どこまでが殿下だけのお考えなのでしょうか?」

「その前に。城下での出来事、というのはなんだ?」

「...昨夜、夕飯を食べに城下へロルーリ様、ロクレラ様とともに護衛なしに降りたところあとをつけられまして、それに殿下は関与していらっしゃらないのでしょうか?あ、殿下方に幸い被害はございませんでしたよ。」

「...ロルーリがいたのか?」

「ええ。ロルーリ様、ロクレラ様、私の三名で城下へ降りました。」

「攻撃はされたのか?」

「いえ、攻撃される前に気配に気づき逃げてまいりました。」

「...そうか。それの主犯は判明しているのか?」

「...その質問にどのような意図が?」

「先に俺の質問に答えろ。誰の命令でそいつらは動いていた。」

 おお、圧が。

「殿下の慕うストーラ公爵だとその者たちは話しました。それでは、私の質問にお答えください。なぜそのような質問をされたのでしょうか?」

「.........弟妹の無事ぐらい気にしてもいいだろう。俺は兄だ。」

「さようでしたか。ただ殿下方に危害を加えようとした者が気になった、と。随分と御兄弟思いですね、殿下は。」

 "オープン メンタルステータス"

「ああ...」

 ...ああ、なるほど。兄弟だけどロルーリのことが好きなのか、カニネラ様は。

 ちなみに、カニネラ様とロルーリは母親が違います。第一王子とカニネラ様は正妃のご子息ですが、ロルーリから下の殿下は全員第三側室のケルカ様のご子息、ご令嬢なのです。

「...殿下の今後についてのお考えをお聞かせいただくことは可能でしょうか。ロルーリ様を襲おうとしたストーラ公爵と関わりをまだ持つのか、なにか行動を起こされるのか。どのようにお考えでしょうか。」

「...どうして今ロルーリの名前を出した。」

「え?ただの例ですが。ロルーリ様、ロクレラ様とお二人の名前を呼ぶよりも短く言葉が終わり、かつ伝わりやすいかと思いまして。」

「...そうか。...もう少し頭を使え、お前がさっきから言う、殿下方の言葉で済んだんだからな。そんなに幼いのにそこまで頭を使えたのは褒めてやるが。」

「ふふ、それもそうですね。憧れの殿下と対話できているという現状に興奮してしまい、そこまで頭が回りませんでした。」

「ふん、じゃあそういうことにしておいてやろう。それで?どうするのか、か。俺はそのまま動く。それ以上の答えはない。」

「左様でございますか。かしこまりました。」

 自分が引きつけておけばロルーリに被害は出ないはず、ですか...叶わないロルーリへの恋が想像以上に深いのでしょうか。

「では、先程までの様子を見るに殿下は城下での出来事に関連はない、ということでよろしいでしょうか?」

「ああ、今はじめて知ったな。」

「では、私の浴場の件についてはいかがでしょうか?」

「...あれはストーラ公爵の提案だ。先の情報の対価はこれで十分だろう。」

「...そうですね、欲を言えばなぜ従ったのかまで聞きたいのですが、今でも十分な情報をくださいました。ありがとうございます。」

「こちらこそだ。さて、そろそろ解散の時間なようだ。」

 ...ああ、なるほど。向こうで待機していますね。あのメイドが。

「かしこまりました。では...急遽取っていただいたにも関わらず、長い時間ありがとうございました。」

「ああ、こちらこそありがとう。有意義な時間だった。」

 "オフ メンタルステータス"

「"クリア ウインドバリア"。では、失礼いたします。」

「ああ。」

 意外と面白いことがわかりましたね。それから、途中写真を撮られていたようですね。明日の朝の新聞に出ますかねえ。これは楽しみです!

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