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新たな刺客?

「おかえりなさい。レミーラ?」

 あら想像よりも早かったみたいですね。もう出ていたんですか。

「ええ、ただいま。ロルーリ出たみたいだし、私も身体洗ってこようかな。」

「...どこに行っていたの、なんて聞かないけど...大丈夫?怪我はしていない?」

「ええ、大丈夫。かすり傷一つないわ。」

「そう、ならいいわ。じゃあごゆっくり。」

「ええ。」

 少し勘付かれていそうですね。

 んー臭いでバレましたかね...服装は変えているんですけど...



「レミーラお嬢様、ご入浴の補助をさせていただきます。」

 んんー?

「ロルーリ様より入浴の補助なしで入れると伺っていたのですが、補助は決定事項でしょうか?」

「ええ、郷に入っては郷に従え、との言葉もあります通り、私が補助させていただきます。」

「そうですか...あなたの名前は?」

「私は一介の使用人に過ぎませんので、名を名乗る価値もございません。」

 "オープン メンタルステータス"。...誰か知りませんが、随分な手練れを用意してますね。

「"スタート ウインドバリア"。少し、お話しましょうか。あなたは誰の使いですか?」

「...なんのことでしょうか。」

「もう一度問いますね。あなたは誰の使いですか?ダークバリアを展開させて警戒度の高い、あなたをここに使わせたのは誰ですか?」

「...。」

「黙秘ですか...服装は第二王子の使いに見えますが、第二王子のご命令でしょうか?」

「...とんでもございません。」

「では、第一王子ですか?」

「なんでしょうか、この質問は。」

「...なぜ、一介の使用人であるあなたがレクロ公爵令嬢の問いに問いで返すの?私が誰かもわかっていないということかしら?」

「...とんでもございません、レミーラ・レクロ様。」

「分かっているのね。それで?あなたは第一王子の使いなの?」

「...いえ、とんでもございません。」

 答えがとんでもございませんばかりだなあ...

「じゃあ第一王女?」

「...とんでもございません。」

「...そう。もう少し動揺したときの癖をなくしたほうがいいわよ。..."クリア "ウインドバリア"。カニネラ様、いらっしゃるのは分かっております。どうぞ?」

「ははっ、バレているのか。...いつから俺がここにいるのを分かっていた?」

「さあ?いつからでしょう。それでこの者は何用だったのですか?」

「...俺の使用人をこの者呼ばわりか?」

「はい。普段であれば呼ばないのですが、この者が一介の使用人であると自称しましたのでそれにふさわしい名で呼んだだけでございます。」

「ふん、そうか。じゃあ帰るぞ。」

「はい、カニネラ様。」

「お待ちいただけますか?カニネラ様。どうぞと言ったといえど、魔法学園入学前の淑女の浴場に入っておきながら謝罪の一つもないのでしょうか?」

「...たかが公爵令嬢如きが第二王子である俺に指図するのか?」

「とんでもございません。ですが、王族の方に限らず人が無意識に正しくない道に進もうとする際に引き止め正しい道を教えることも我々公爵家の人間の義務である、とお父様より学びましたのでそれを行っているに過ぎません。」

「そうか。だが俺もお父様に王族はそう簡単に頭を下げてはいけないと教えられた。学びの対決でもするか?現国王陛下と序列第二位の公爵家当主如きの教えの。」

「もちろん、そのようなことはいたしません。そして一つ申し上げますと、頭を下げることだけが謝罪ではございません。」

「...何を望む?」

「そうですね、二人きりで対話できる機会、でしょうか。」

「ははっどんな我儘を申すかと身構えたらその程度か!いいだろう、今度招待状を送るから来ると良い。」

「僭越ながら一つ提案がございます。」

「...まだなにかあるか。いい、申してみろ。」

「私、本日は王城に泊まりますのでカニネラ様のご予定がよろしければ明日にでもいかがでしょうか?早くに済ましたほうがいいでしょう?」

「おい、明日の予定は。」

「予定を断り、茶会を行うことは可能かと。」

「そうか。じゃあ明日の10時、俺の部屋に来い。」

「かしこまりました。ではまた明日。」

「ああ。」

「どうぞごゆっくり。」

 ふー、口角上げっぱなしは疲れました...

 先程の方はカニネラ・リャン・ソルメクナ様。ソルメクナ王国の第二王子でございます。ちなみに、ストーラ公爵家が一番推している王子です。

 明日話す機会ができたのはいいですね。闇属性を持っていたのはあの使用人のようですが、人にバリアを張るほどの技量がないことを願って行くとしましょうか。

 さて、邪魔が入ってしまいましたが早く身体を洗うとしましょう。なかなか帰ってこないとロクレラとロルーリが心配してしまいかねないですからね。



「あ!レミーラ!おかえりなさい。」

「ええ、ただいま。ロクレラはまだ?」

「はあ?僕はここにいるだろ!」

「あ、ごめんごめん。ロルーリの影に隠れないでくれる?見えないから。」

「隠れてない!」

「こら二人とも会った傍から喧嘩しない。レミーラ遅かったわね。」

「ええ、知人に会ったからそこで話し込んでしまって。」

「そうなのね。じゃあ、レミーラが帰ってきたことだし寝ましょうか、ロク。」

「はーい、ロル姉。」

 頑張ってくれてますね、ロクレラ。そんなに気を張らなくていいのに。

「ロクはここね。レミーラはそっち。」

「うん。ほら、おいでロクレラ。」

「うん...」

「じゃあ明かり消すね。」

「う」

「ねえ...今日だけはつけて寝ない?」

「私は大丈夫だけど、つけたままでも寝られる?レミーラ。」

「私も大丈夫。けど、ろうそくは炎が心配だなあ...ホノール、ショートライトは?」

「ああ、たしかに。ロク、それでも大丈夫?ろうそくがいい?」

「...ううん、大丈夫。」

「ロク、わざわざ嘘つかなくて大丈夫。無理に言わないで。あ、ホノール。ウインドバリアか、アイスバリアか、アクアバリアは?」

「あーたしかに。念の為アクアバリア張っておこうか。じゃあホノール布団に入っちゃっていいよ。」

「うん、よろしく。私に水属性の適正ないからなあ...」

「私は光属性ないからね?魔法なんて特にないものねだりになっちゃうよ。」

「ふふ、それもそうね。じゃあおねがい。」

「はーい。」

 ロクレラ一人で布団の中はロクレラが不安になっちゃうかもしれないですからね。私が入っているうちにロルーリが入ってきてくれれば、常に隣に人のぬくもりがあって安心できるでしょう。

「"スタート アクアバリア"、"スタート アクアバリア"」

 "スタート バークバリア"、"スタート ウインドバリア"

「うん、これで大丈夫でしょう!」

「よし、じゃあ寝ようか。」

「うん。おじゃましまーす。」

「レミーラ。」

「うん?」

「ありがと。」

「いーえ。これぐらいいつでも言いなさいね。」

「うん...」



「さて、ロクレラは寝たかな?」

「うん、多分。それで?身体洗うだけにしては随分と戻って来るの遅かったけど、なにがあったの?」

「んー、別に?第二王子に会っただけ。」

「詳しくは話すつもりがないのね。わかったわ。」

「ごめんね?」

「別にいいわよ。把握するだけで聞いても何もできないし。」

「そんなことないでしょ?色々動いてって言ったら動いてくれるじゃない。」

「じゃあなんでなにも...」

「仲間だからかな?いらないことまで話して、仲間に話して害を及ぼすわけにはいかない。強いのはわかっているけど、王族だから敵は多いし、だからこそたくさん考えないといけないのに私が話す必要は不要だって判断したことで重荷を増やしたくないの。」

「...わかった。」

「ごめんね?でも本当に頼りにしているよ。ロルーリに私がお荷物だって言われかねないほどにね。」

「私がレミーラにそんな事は言わないけど...そう、なら嬉しい。仲間だと思ってくれているって教えてくれてありがとう。」

「こちらこそ、普段からお世話になっておりまして。ありがとうございます。」

「ふふ。じゃあ私たちも寝よっか。」

「うん、おやすみ。ロルーリ。」

「ええ、おやすみ。レミーラ。」

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