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16/30

王宮からの呼び出し

 今日は午後に王宮から呼び出しがありましたね。

 真魔討伐についての話し合いでしたっけ?

 討伐部隊の相談、みたいなものでしょうかねえ。


 まあでも、午前は暇なので、映像を見た感じ少し魔物が増えてますし、狩りに行きますか。




「よし、"サモン ライグ"、"サモン サリー"、"サモン ブラックソード"」

「ふぁあふ、もーなにい?」

「おはようございます、我が主。」

「うん、おはよう。急に呼び出してごめんね。」

「...こちらはモクケ大陸ですか...魔物討伐ですか?」

「うんそう、さすがだね。ライグ。」

「あぁそうなのねえ、今日はどのくらい狩るの?」

「今日は一時間で好きなだけかな。午後は予定があるから、少し短めね。」

「りょーかい。」

「了解いたしました。」

「じゃあここからは個人行動で。一時間経ったらここに戻ってきて。狩り過ぎであれば伝えに行くわ。」

「はーい。」

「了解いたしました。では。」

 一時間でどのくらい狩れるかなあ。

 あ、ちなみに本日の討伐にホーザがいない理由はまず一個、急だということですが、一番はライグとサリーの戦いを目の前で見せないためですねえ。さすがに悪魔と精霊の魔法を見たら心が折れますからね。

 さて、私は歪みを確認してから狩りに行きましょうか。



 ふー、もう一時間ですか。さすがにそんなに狩れませんでしたね。

「我が主。時間となりましたが。」

「うん、そうだね。ありがとう。サリーを呼びに行こうか。」

「かしこまりました。私が呼んで参りましょうか?」

「ううん、大丈夫。一緒に行こうか。」

「かしこまりました。」


 いやー相変わらず勢いが強いですねえ。まあまあ距離が離れているというのに風圧を感じますよ。

「サリー。もう時間だよ。」

「え?もう?私そんなに狩れていないんだけどお。」

「はは、これでそんなに狩れていないって言うか。大体の魔物は逃げているし、そこら中に魔物の死体が転がっているのに。」

「でも、ドラゴンとかさあ?」

「ドラゴンは狩らないでほしいから今狩られる前にくることができてよかったよ。」

「...ああ、ドラゴン一体が消えるだけで大事なんだっけぇ?そっちは。」

「そうだね。世界で数少ないからね。覚えていたということは冗談だった?」

「いやあ...」

「忘れていたわけか。まあいいよ。じゃあ帰ろうか。」

「はあい。」

「かしこまりました。」

「"リーブ ブラックソード"、"リーブ サリー"、"リーブ ライグ"。今回もありがとね。」

「はあい、またねえ。」

「では、失礼いたします。」

 さて、私は一応言葉で異変がないか確認しに行きますか。


「ごめんください。レミーラ・レクロと申します。歪みに異変はありませんか?」

「......ああ、ありません。」

「そうですか、ありがとうございます。失礼しました。」

 私の顔を忘れてて、レクロってどこだっけ、ああ公爵のかって感じですかね。

 まあ研究してくださっているので、一貴族の子どもの顔を覚えろなんて言いませんよねえ。別に覚えてほしいわけでもないですし、覚えなくて困ることもないですからねえ。

 まあでは、異常がないなら帰りますか。




「お嬢様、おかえりなさいませ。すぐに準備にかかられますか?」

「ええ。」

「ではお湯を沸かしてまいります。」

「ゆっくりでいいわよ。急になってしまってごめんなさいね。」

「とんでもございません。まずは今お召しになっている物をお着替えなさっていてくださいませ。」

「わかったわ。」

 王宮でも今回は陛下の御前に出るでしょうから、ドレスを着る必要があるんですよねえ。

 普段着ているワンピースはまだ動きやすいからいいものの、ドレスは本当に動きにくい...コルセットで締められた後に重いドレスで苦しいんですよねえ。

 まあまずは魔物の臭いがついているでしょうから、言われた通り着替えますかねえ。



「お嬢様、今回のお召し物はこちらのドレスでいかがでしょうか?」

「...ごめんなさいね、そこまで赤が強いのは今回の内容的にいいことではないから緑とか青とかがいいかしら。」

「あ、かしこまりました。気が利かず大変申し訳ございません。」

「こちらこそせっかく選んでくれたドレスに文句をつけたみたいでごめんなさいね。」

「とんでもございません!...では、小物はこちらでいかがでしょうか?」

「うん、ありがとう。それにするわ。」

「かしこまりました。」

 赤は血などを彷彿とさせるかもですからね、一応控えておきましょう。



「では、お嬢様。お気をつけていってらっしゃいませ。」

「ええ、いってきます。」

 さて、動きにくい服装に着替えられましたし、出発ですねえ。




「お嬢様、到着いたしました。扉を開けてもよろしいでしょうか?」

「ええ、大丈夫よ。」

「では失礼いたします。...お手をどうぞ。」

「ありがとう。...帰りまで城下にいてくれて構わないわよ。」

「いえ、こちらで待機させていただきます。」

「そう、じゃあごめんなさいね。よろしくね。」

「はい、お気をつけていってらっしゃいませ。」

「うん、行ってきます。」

 セキュリティの観点からか、陛下の御前に出るときは別の道で行かなくてはいけないのがめんどうですねえ。

「あら、レミーラ?」

「こんにちは、ロルーリ様。先日ぶりでございます。お元気でしたか?」

「ええ、私は元気に過ごしていたけれど...レミーラもお父様に呼び出されたの?」

「はい。」

「では、読み通りかしらねえ。討伐部隊決定...だとしてもこんなに子供の私たちだけではないでしょうから、他の人が楽しみね。」

「もしかしたら、我々は討伐部隊決定のための案出しかもいたしませんよ?ロルーリ様が仰った通り、我々はまだ学園入学前の子供ですし。いささか、戦闘力が不安かと。」

「そこは、ほら。レミーラの魔法でぽーんっと。」

「真魔ですし、そんなにぽーんっでは済まないかと...」

「ふふ、まあ行ってみればなんのためかわかるし、一緒に行きましょうか。」

「ええ、ロルーリ様。」

 私一人ならまだしも、王女を討伐部隊に入れるなんてしないでしょう。王族を失うのは、王家の損失なんですから。

 ただの王女ではなく、こんなにも可愛いいい子を失うのは王家どころか世界の損失レベルですしねえ。



「よくぞ参った。レミーラ嬢。ロル。堅苦しい挨拶はなしに、本題に入りたいのだがいいだろうか。」

「「はい、陛下。」」

「本日は討伐部隊編成の相談のためにそなたらを呼び出させてもらった。討伐部隊の隊長にレミーラ嬢。副隊長にロルを置きたいと思う。そのほかの者はそなたらの願いにできるだけ沿いたいため、この場に呼び出させてもらった。」

「「......。」」

「急に討伐部隊編成、なんて驚いただろう。側近にこんなに重大なことを伝えさせるわけにもいかず、我が直々に伝えに来たのじゃが、我の出番はここまでだ。あとは隣の部屋を用意しているので、そこで二人で話し合ってくれたまえ。部屋から出る際に希望を聞くとしよう。では、我は先に失礼する。」

「.........え?」

「ふふっ、両方間違い、とは言い切れない結果だったわね。」

「え、うん、そうなんだけど、そうじゃない。え、言いたいことだけ言って去ってったんだが。」

「お父様は相変わらず多忙そうねえ。まあ私たちは用意されているらしい隣の部屋に行きましょうか。」

「...はあ、まずはそうしようか。」



「さて、メンバーはどうしましょうかしら?」

「え?なんでそんなに飲み込み早いわけ?やっば。」

「ふふ、レミーラ嬢。」

【まずは魔法。その態度外にいる人に聞かれるわよ。】

 ああ、そうか。驚いて忘れていた。

 "スタート ウインドバリア"

「ありがとう、これで大丈夫。」

「ふふ、珍しいわね。レミーラが防御魔法を張るのを忘れるなんて。」

「いやあ、テンパっていたよ。でも、ロルーリ。この部屋に入った瞬間から防御魔法を張っていてくれていたじゃない。」

「私のはレミーラほど硬度が高くないからね。練度の高い魔法士には壊されるし、穴を開けられてしまうわ。」

「ロルーリの防御魔法は完璧だよ?」

「お世辞を言えるなんて...成長したわねえ。」

「いやいや、お世辞じゃなくて。ロルーリの防御魔法はどの精霊よりも綺麗で穴なんて開けられないよ。私が打てる限りの魔法を全部打っても傷一つ付くかどうか。ロルーリと本気で戦うことになったらロルーリの魔力切れを待つしかないだろうね。」

「ふふ、ありがとう。でもどうせなら、それをもっと早くに言ってほしかったかな?」

「ごめんね?言った気になってたんだけど、その反応的に言ってなかったわけだ。」

「まあいっか。でも、魔法の天才にそう言ってもらえて嬉しいわ。さて、雑談はここまでにして、本題に入りましょう。」

「うん、そうしよっか。んで、メンバーはどうする?」

「うーん、レミーラいい人いる?」

「いい人はいないけど、何も知らない人を入れた場合、確定しているらしい私たちが開発した魔法は出せないからかなりのデバフになるね。」

「でもそれに絞ったら、ロクとルートアにならない?ロクは開発した魔法は知らなくても、他言しない子ってだけだけど。」

「別にロクとルートアを入れてもいいんだけどさ。ロクはまだこの世界じゃあまだ幼いし、ルートアは学園生活頑張っている頃になるからなあ。ちょっと遠慮しちゃうよねえ。」

「そうよねえ...てなると一番妥当なのは私たち二人でってとこかしら。」

「まあ一番それが現実的だね。」

「レミーラ的に私たちでは戦力が足らないかしら?」

「いや、私とサリー、ライグが攻撃全力、ロルーリが防御全力なら多分可能。サリーは防御にいても可能じゃないかな。」

「そう...ならそれが一番じゃない?私は精霊も悪魔もまだいないから、足手まといになりそうだけれど。」

「いや、それはならないね。さっきも言った通り、ロルーリの防御魔法はすごいし、私たちの防御魔法はロルーリほど固くないから真魔にそのうち破られかねない。それに防御にまで頭のリソースを割いたら、多分かなり時間がかかってしまう。ロルーリがいてくれれば、かなり時短になるはず。」

「そうなのね...じゃあ、それで提出かしら?」

「うん、それが一番かなあ。ただ、真魔の発生がいつになるか細かくはわからないから、そこが少し難点だなあ。」

「ああ、おおよそしかわからない、みたいな?」

「そうそう。過去の記録から、ここからここの日付だろう、は出せてもね。それが合うかはわからないし、真魔討伐には一日以上かかると見た方が良いし、その分睡眠と食料、水分が必要になるのよ。」

「なるほどね。じゃあ、その備蓄は前もって準備しておかないとね。あ、ちなみに王宮からの支援は期待しないほうがいいわよ。」

「やっぱり?じゃあ、うちと私たち個人の資産でなんとかするしかないか。」

「レクロ公爵ってそういうの許してくれるタイプなんだっけ?」

「うーん、愛はあると思うから助けてくれるとは思うよ。今までもやりたいことは伝えれば、金銭的な援助もしてくれたし。」

「そう...でも、バレたら王家の面子がなあ...」

「ああ、そっか。じゃあ、王家には私の親なので少し援助してもらいます。って報告して、少し多めに量をもらう?」

「具体的な数を出さないように報告すれば大丈夫ね。じゃあ、そっちの方面は私に任せて。親だから。」

「じゃあ私はお父様におねがいしてくるわ。」

「さて、答えは出たけれど...もうこんな時間なのね。レミーラ、夕食はどうするの?うちで食べていく?」

「ああ、ほんとだ。さすがに王宮の食事は背筋が伸びるなあ。」

「じゃあ着替えてから城下で食べる?」

「んー、そうしよっか。」

「了解。じゃあ、服は私の着て?」

「それしかないし、お願いしようかな。あ、その前に私は家に伝えてもらわないと。」

「ああ、夕食は家族みんな一緒だものね。」

「そうそう。じゃあとりあえずここからは一旦別行動で。ロルーリの部屋に行けばいい?」

「ええ、待っているわね。あ、それから明日、今日の決定の要望書を書いてお父様に提出しておくわ。」

「うん、おねがい。」

「じゃあ、」

「うん、」

「「"クリア ウインドバリア"」」

「...では、ロルーリ様。また後で。」

「ええ、気をつけてね。レミーラ。」

「はい、ロルーリ様もお気をつけてくださいませ。」

 これで真魔討伐の部隊が、というかペアが、決定しましたね。

 本当にあんなにも可愛いいい子を真魔討伐に行かせる気なのかと、決まった後でも問い詰めたいものですよねえ。たしかに防御魔法は天才ですが、ロルーリの命は尊いというのに...まあ、誰の命も平等、ではあるんですがね。

 ロルーリの防御魔法の信用はありますが、万が一にもロルーリに傷一つつけないように、その時が来たら私も頑張らないとですね。

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