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貴族の弟子の疑惑

 当分授業もないので、ホーザに会いにネルダー騎士爵家に行くことにしたのはいいものの、最近ずっとバタバタして時間もなく...

 昨日少しの休憩した後に、ネルダー騎士爵家の方に手紙を送って、行くけど特別大きな出迎えはしなくて構わない、ホーザと話したいためにお邪魔する。という旨の手紙を送って、許可が出ましたし。

 ...やっと、やっと行けますねえ。

 さて、準備はできたので向かいましょうか。

「お嬢様、本日はどちらに?」

「ああ、ネルダー騎士爵の方に行ってきます。」

「そうなのですね。お気をつけていってらっしゃいませ。馬車はいかが致しますか?」

「ああ...急で申し訳ないけれど、空きがあるか確認してもらってもいいかしら?」

 すっかり失念しておりました。大々的に訪れはしませんが、許可を取ったことかつ貴族の家に向かうのですから、馬車のほうがいいですね。

「とんでもございません、かしこまりました。すぐに確認に向かいます。」

「ごめんなさいね。ここで待っているわ。」

「かしこまりました。」

 本当に申し訳ないですね。すっかり忘れていました。

 やっと行けるって気が急いでいましたかねえ。これからは気をつけないと。



「お嬢様、お待たせいたしました。本日は空きがあるので、お乗りいただけます。すぐに乗られますか?」

「ええ、できればすぐに乗りたいわね。本当にごめんなさい。」

「いえいえ、大丈夫ですよ。かしこまりました。すぐに準備してまいります。」

「外で待っていても大丈夫かしら?」

「あ、はい、構いませんが...椅子など持っていきましょうか?」

「いいえ、外を見ながらゆっくり行くから大丈夫よ。」

「かしこまりました。では、伝達してまいります。」

「よろしくね。」


 もうチラホラとポピー咲いていますね。暖かさからも感じますが、もう春なんですねえ。

 それに最近は晴れていて過ごしやすくていいです。

 あとは!もう!何よりも!花粉症がないのが本当にいい!本当に助かる!鼻水とくしゃみその他諸々に悩まされなくて済む!前世が重度の花粉症だったせいで!毎春大変だった!本当に!ゔうんっ、危ない危ない、素が出ていましたね。花粉症がなくて、心から嬉しいですわ。ですね!!

「お嬢様、お待たせいたしました。ご用意ができました。」

 あら、予想よりも遥かに早かったですね。急かしてしまいましたかねえ。

「ありがとう、すぐに行くわ。」



「急に言ってしまってごめんなさいね、そして急なのにありがとう。」

「とんでもございません。行き先はネルダー騎士爵様の家でよろしいでしょうか?」

「ええ、そうよ、よろしくね。」

「かしこまりました。ではお手をどうぞ。」

「ありがとう。」


「では出発いたします。」



「お嬢様、到着いたしました。お開けしてもよろしいでしょうか?」

「ええ。大丈夫よ。」

「失礼いたします。...お手をどうぞ。」

「ありがとう。...帰りは自分で帰るからいらないわ。」

「かしこまりました。では、お気をつけておかえり下さいませ。」

「ええ、ありがとう。」

 さて、着きましたね!行くとしましょうか。



「ごめんください、レミーラ・レクロです。どなたかいらしゃいませんか?」

 おや返事がない...ホーザはいると思うと書いてあったのですが...探しつつ、少し家の周りを見させていただきましょうか。


 あ、いましたね。庭で練習していますね。

「ふー...レミーラ様!?なぜこちらに!?」

「おはようございます、ホーザ。今回はホーザと話をしたくて来たのだけど...今、婦人は外出中ですか?」

「あ、おはようございます!そうですね、少し近所に行くと先程出ていきました。」

「そう、じゃあホーザの練習のきりがよくなったら、少し話せるかしら?」

「あ、もちろんです!なんでしたら、今すぐにでも!」

「今ネルダー様に言われたものをこなしていたのではないのですか?その分が終わるまで進めてくれて構わないですよ。」

「あ、わかりました。ありがとうございます。」

 前に見たときよりも、癖ができてますねぇ。体重をかける場所は合っているものの、明らかネルダー様の型とはズレてますね。

「あの...ええっと、ずっと見ているのですか...?」

「ええ。大丈夫ですよ、指図したりはしないですよ。厳しいこというけれど、将来も剣を続ければ陛下の御前で剣術を披露することだってあるかもしれないです、たかが公爵家の娘一人見ているだけだし緊張しないでください。」

 なんか前世でいうパワハラみたいなこと言ってしまいましたが、癖の変わり方を確かめたいので、今この場で自分の目で見たいんですよねえ。



「お待たせしました。今やる分は終わりました。」

「わかりました、お疲れ様でした。では、今から時間があれば少し話すことはできますか?」

「はい。大丈夫です。」

「では...どこで話しましょうか...ここらへんで話すことができる場所ありますかね?すみません、ここらへんの土地勘がないので...」

「あ、じゃあ外と中どちらがいいですか?少し歩いたところに公園と家の中がありますが。家の中ならすぐにご用意しますが...」

「...では、家の中でもいいですか?」

「わかりました、では中の準備をしてきます。」

「別になにもいりませんが...わかりました。ではここで待っていますね。」

「外でおまたせしてしまうことになってしまい、申し訳ありません。」

「いえいえ、急に来た私が悪いですからね。」

 来ること自体、婦人には報せていますが、ホーザには報せていませんからね。


「すみません!なんか中、大丈夫でした!もしかしてなんですが...母に報せてますか?」

「...まあそれはあとで話しましょうか。でも、中が大丈夫そうなら、よかったです。」

「あ、わかりました。では、どうぞ。」

「ありがとうございます、お邪魔します。」



「まず、ホーザ。私が来た心当たりはありますか?」

「えっと...」

「まず内容は聞かないですし、聞いても怒らないので大丈夫ですよ。あるかないかだけ答えてください。なければ私から質問しますので。」

「........あります。...いつからわかりましたか?」

「前回の鍛錬のときに気になって、鍛錬の後に見にきましたので...鍛錬の後、ですかね。」

「ほぼ一回見てわかったってことですか...さすがはレミーラ様ですね。その歳で師匠しているのはそれ相応の実力があるからなんですね。」

「ふふ、ただ単に親の七光だと思ってました?」

「いえいえ、とんでもないです!魔法がすごいことは聞いていたので、魔法以外も教えているのにはきちんと理由があるのだと思っただけです。」

「それは、魔法以外は親の七光りで教えているだけだと思っていたんですね。まあ当たり前ですね。学園入学前の子供ですし。」

「あ、えっと...」

「ふふふ、大丈夫ですよ。今回で少しはできることを理解してくれたかしら?」

「はい、魔法だけではないと理解しました。今まですみませんでした。」

「大丈夫ですよ。舐めた態度を取ったわけではないですし。まあ、話をしましょうか。理由を聞きつつ、癖の外し方などを教えてもいいですか?私は型で戦っているわけではないですが、最低限の知識と方法はわかるので、それだけになってしまいますが。」

「えっと...でも..」

「ネルダー様と婦人には話さないですよ。でも、そのままネルダー様に見てもらうほうが怒られるかと。型になれてしまった大人は型から脱するのは大変だと聞きますし、ネルダー様ならできると思いますが。」

「あぁえっと...」

「何が気になりますか?言ってくれないとわからないので教えてくれませんか?」

 メンタルステータス使ってもいいんですけど、こういうのは言葉で聞いて話したほうがいいですからね。なんとなくですが。

「えっと...じゃあ...その......お願いします。できてしまっているなら、癖だけ、お願いします。」

「おや、無意識のうちに変化しましたか。まぁわかりました、あとでやりましょう。では、理由について教えてくれますか?」

「え......っと...」

「ごめんなさいね、急かすつもりはないのだけれど、婦人は近所に行っているのでしょう?そのうち帰ってこないかしら?」

「ああ、そうですね...じゃあ、話さないと...」

「やっぱり理由はあるのですね。ただ気になっていたからじゃなくて。」

「あ、母...そうですね......えっと...笑いませんか?」

「もちろん!笑いも怒りもしないわよ。強くなりたいと思い行動するのはいいことだしね。」

「わかりました.........理由は...焦りでしょうか。先日ほかの貴族の御子息に会う機会がありまして、そこで暇なので手合わせしようとなったのです。」

 先日ほかの貴族の子供に会う機会...なにかありましたかね...あぁ、「弱小貴族の集い〜どうやって爵位を上げるか^〜」がまたあったんでしたっけ。当番制で毎回どこかの伯爵が主導だが、力がなさすぎて上級貴族交流会の真似事、なんて我々の間で言われるものですかね。あ、ちなみに本物の上級貴族交流会はここ40年は開催されておりません。本物も単なる気まぐれの暇つぶしですからね。

「そして、私は最下位になりました。完敗でした。それはまあよかったのですが、騎士爵のはこんなものかなど、家族のことを尊敬する父のことを貶されました。その後、父に教えてもらうときに基礎を学びつつ、父の手本を目で盗んで、記憶の限りの父の真似をしてました。」

「なるほど。相変わらずホーザは家族思いで優しい子ですね。話してくれてありがとうございます。理由は理解しました。...では、癖を解きに行きましょうか。...あ、その前に一つだけ聞いてもいいですか?」

「はい、なんでしょうか?」

「基礎の大切さは理解してますよね?今回は貶されたがためであって、基礎の大切さを理解していないというわけではないですよね?」

「はっきりとなんのためと理解しているわけではないですが、やらなくてもいいものだとは認識していません。」

「そう。ありがとう。」"オープン メンタルステータス"

「...ホーザ。理解しているのであればわざわざ言うのも不要な気がしますが...私は魔物20体以上に多方向から同時に突進されても普通の剣でさばけます。そんな私から見てあなたの基礎はまだまだですよ。ネルダー様とは比べ物にならないほどに。」

「...はい。」

 自慢のようなことをわざわざ言う必要はないですが、自分は基礎ができているという思いがあるのならば自慢のようなことを言っておいて損はないと思いたいですね。

「もし信じられないようなら、また今度モクケ大陸に魔物討伐に行くので、連れて行ってその目で見てもらっても大丈夫ですよ。」

「わかりました。」

 そこまで言うということは嘘ではないのだと思ってくれたようでなによりですね。まあですが、今度ネルダー様に許可を取ってモクケ大陸まで連れていきましょうか。"オフ メンタルステータス"




「ありがとうございました!」

「元々筋が良いので、癖を解くにも早かったですね。さすがです。でも、一度できた癖は気を抜いたらすぐに戻りますので、ネルダー様に本格的に教えてもらうまでは気を抜かないでくださいね。」

「はい。わかりました!」

「では、最後に婦人に挨拶だけして帰りますね。」

「え?母、帰ってますか?」

「ええ、今は家の裏で洗濯してるわよ。先程帰ってきてからこちらの様子を少し覗いていかれましたし。」

「そうなんですか!?」

「まあ、行ってみたらわかりますよ。」


「婦人、お邪魔しました。昨日突然連絡しましたのに、色々ご用意いただいたようで...失礼しました。ありがとうございました。」

「いえいえ、こちらこそ普段からホーザに魔法を教えていただいて、更に今もなにかしてくださってたようで。」

「とんでもございません、教えることは私の勉強になりますので、私も助かっております。では、失礼いたします。」

「あぁぁ。送りますよ!」

「いえいえ、大丈夫ですよ。どうぞ続けて下さい。」

「じゃあ、ホーザ送ってきなさい。」

「はい、わかりました。」

「あら..では、ホーザ。家の前までお願いしますね。」

「はい!」



「では、お気をつけてください。レミーラ様。」

「ええ、ありがとうございました。今後も頑張ってくださいね。」

「はい!」

 ふー。やっとホーザの癖、直せましたね。一応癖ないようにはしましたが、わからないですからねえ。左右にちゃんとずらして行うように言ってきましたが。

 まあ、とりあえずホーザの件はひとまず大丈夫ですかね。

 少し見ない間に癖が大きくなっていて、直るかかなり心配でしたが、直ったのでよしとして帰りますかね。

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