自己乖離
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
本来の意味では異なりますが、イメージ的に似ていたのでこのタイトル。
考察が必要そうです。
「最近気になっているゲームがあってね、主人公が女性ウケしないみたいなんだ。なんでも感情移入する人は受け入れないって噂の様で。そこでだ、感情移入ってなんなのかな?」
彼女は巷で評判のノベルゲームを読みながら、そんな事を問い掛けてきた。
辞書によれば、『自分の感情を特定の登場人物に投射する』なんて答えが返ってくるけれども、彼女はきっと、そんな事は承知の上で問うているのだろう。
だから私は一つの質問を投げ掛ける事にした。
「君、気に入らない人がいたら、取り敢えずその対象を殴って解決するタイプ?」
「しないよ。そんなのは理性的じゃない」
「じゃあ不快には思うタイプ?」
「うーん。まぁ、そりゃね。自己中だなーとは思うけど。でもそれだけだよ」
彼女は平然と言ってのけた。人と他人の境界が出来ている。ならば。
「なら感情移入はしてないね。もしそのキャラが主人公で、君が感情移入するタイプならば、多分ゲーム機置いてる」
「へぇ」
彼女は僅かに口角を上げた。納得した様だった。
感情移入とは、自分と主人公の境界が曖昧である事が上げられる。自分が思った様に行動して、発言する事を望む。一種の没入感がなせる技。だからこそ、より深くまでゲームを楽しめる。という見方も出来るが。
「何時もゲームしていて思うのが、映画館でポップコーンぼりぼりしながら、『なーんかやってらー』なんだよね。その物語の主人公に私はなれないし、なっちゃいけない。同じ事思って没入しそうになると、慌てて自制心働くんだよね。『いかんいかん』って。
それはある意味、自分に対しても。下手に感情が動き出すと、箱庭のちっぽけな生き物が『なーんかやってらー』って思う様にしてる」
一種の自己乖離めいた事を話しながら、彼女は笑う。その後少しだけ目を見開いて、下唇を噛み締めた。
「どうしたの?」
「この子がどんな物を好んで、どんな思考をするか、まだ分からないから、選択を間違えたみたいでね。出来れば相手が喜びそうな物を選んではいるんだけど......」
「其れは貴方の意思? 感情?」
「んー......何方でも無いかも」
自己乖離の裏が取れた。この子、自分の事さえ感情移入しないんだ。
主人公だけでなく、自分の意思さえガン無視して、最善手を打つ。
意思も感情もない。最善を得る為の私も駒の一つ。
その様が『自己を乖離して物事を見る』といことからこのタイトル。
乙女ゲームのキャラ達が基本、皆可愛いので、相手が口空けたらすぐに飴ちゃん入れたいです。
もしくはケーキ。ほれ、あーん。
攻略対象、対象外、主人公含めて、
『ん〜可愛いねぇ。飴ちゃん食べるかい? ケーキでも良いよ』
状態です。
偶に障る発言をした子相手には一度深呼吸して、其れはもう心臓を落ち着かせて、
『君みたいな子は初めだよ〜。とりまデータ取らせてね』
と人格データ取るようにしてます。
主人公がそんな真似してたら普通にヤバいですし、やって欲しいとも思いません。
この事から、感情移入はしてなさそうです。
というか感情移入出来るのは、プレイなさる方々が、真っ当な感性をお持ちだからだとも思います。
真っ当じゃない人間(私)が感情移入したらろくな事にならないという一例( '-' )