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私の意志で

 手紙を読んでからサロンに降りていった。お義母様が買い物にでも行こうと言っていたからだ。


 サロンには義父母がいた。


「べべちゃん、手紙どうだった?」


 お義父様が読んでいた本を置いて顔を上げた。


 お義母様も気になるようだ。


「べべちゃん、ちゃんとランスは気持ちを書いていた?」


「はい。少し驚きました」


 そう言い、私はソファーに座った。



 玄関の方が騒がしい。


 どうやらオリヴィアお義姉様が来たようだ。


 この家の人たちはみんなランス様の気持ちを知っていて、見守ってくれていたのか、そしてやきもきしていたんだな。


「べべ、ランスが手紙を渡したって聞いたんだけど」


 お義姉様、いきなりがっつりくるなぁ。


「はい」


「どうだった?」


「驚きました。思いもよらなかったので」


「そう、やっぱりランスの気持ちは届いてなかったのね」


 私は手紙を差し出した。


「読んでいいの?」


 お義姉様は手紙を受け取り封筒から取り出して開く。


「あの馬鹿」


 苦虫を噛み潰したような顔をした。


「さすが騎士。脳みそが筋肉だけあって文章が下手すぎるわ。それに気持ち悪い。これは引くわね。べべ、ごめんね変なやつで」


 私が黙っていると、お義姉様の手から手紙を取り、読んでいた義父母が頭を抱えている。


「べべちゃん、これは慌てて書いたからちょっと変だけど、普段はちゃんとした文章を書けるんだ。その……できれば捨てないでやってほしい。この手紙ではなくてランスを。べべちゃんに捨てられたら、あいつはきっと自害する。元はと言えば私が勘違いしてべべちゃんではなくマディちゃんと婚約させてしまったせいで拗らせ具合に拍車をかけてしまったんだ。気づいた時に、ちゃんとラインバック侯爵に事情を説明し、婚約者をべべちゃんに代えてもらっていたらここまでにはならなかったはず。ランスにも謝らないといけない」


「あなた、そんな言い方をしたらべべちゃんを追い詰めちゃうわ。確かにあんなランスにしたのは私達なのだけれど、これを読んでべべちゃんがランスを気持ち悪いと思ったらそれはもう仕方ないわ」


 お義母さまは私の肩に手を置いた。


「べべちゃんが嫌なら、ランスなんか捨ててもいいのよ」


 いやいや、そこは引き止めてよ。


 やはりお義母様もこの手紙を読んで引いているのだろう。


「あいつはストーカーだからね。確かにお父様が間違えたけど、そのまま最初からべべと婚約していたとしても同じだったと思うわ。ランスは初めて会った時から、婚約者だと思っていた時も、違うとわかってからも、結婚するまでもずっと影みたいにべべをつけまわってたのよ」


 ストーカー? 影みたいにって? でもそれってほとんど私の一生じゃない。


「お義姉様、それは本当ですか?」


 オリヴィアお義姉様は大きく頷いた。


「逃げるなら手を貸すし、諦めるならブリーデン家が全てをかけてべべを大事にするわ。どちらにしても私たちはべべの味方よ」


 お義姉様大袈裟だよ~。


 そりゃちょっと引いたけど、私は別にランス様が嫌いなわけじゃない。


 ちょっと恐ろしかったけど喋らない理由がわかったし、閨事も私が好きで求めてくれていたのなら、まぁいいかと思う。ただもうちょい薄めで時短にしてもらえるとありがたい。


「とにかく、ランス様が帰ってからゆっくり話をしてみます」


 3人は私がランス様を嫌がっていると思っているようだ。


「べべちゃん、街に買い物に行きましょう。美味しいものを食べて、欲しいものなんでも買ってあげるわ」


 お義母様が私の手を取る。


「私も行くわ。べべお揃いでアクセサリーオーダーしちゃう?!」


 お義姉様も必死感が漂よう。


「私もたまには一緒に行こうかな。べべちゃん、食べたいものはあるか?」


 お義父様まで参戦か。


「嬉しいですわ。新しくできたスイーツのお店に行ってみたいです」


 可愛い顔を作って笑ってみた。


 私たちは一緒に街に出かけ、沢山買ってもらって、お揃いのアクセサリーをオーダーし、美味しいものもたらふく食べた。すっかりブリーデン包囲網にひっかかったなぁ。


 あとはランス様とゆっくり話ができればいいんだけどな。


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