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お姉様に会ったのね

「あれ? べべちゃん、どうしたの?」

 名前を呼ばれたので振り向くと

 

 ギルベルト殿下がいた。


「王国の若き獅子である……」


「そんな挨拶はいいよ」


「お戻りになられたのですね」


 ギルベルト殿下は不思議な顔で私を見る。


「ランスも家に戻ってるけど、ここにいていいの?」


 う~ん、そう言われても返事に困るわ。


「いいのよ」


 王妃様が代わりに返事をしてくれた。


「僕が拉致してきて監禁してるんだ」


 テオ様は恐ろしい冗談を言う。


 ギルベルト殿下は目を丸くしている。


「兄上、冗談ですよ。兄嫁のドレス制作を手伝ってもらっているのです。べべちゃんの刺繍は我が国一ですからね」


 いや、そんなに褒められたら照れる。


「そうか、でも、ランスは会いたがっていたからなぁ」


 えっ? なんで? 別に私になんか会いたくないでしょう? あっ、そうか身体か……。


 哀しいな。


「そうだ。隣国で君の姉上に会ったよ」


「マデレイネお姉様ですか?」


「うん、ランスと一緒に会いに行ったんだ。ふたりとも仲良く暮らしていたよ。今度はべべちゃんにも来て欲しいと言っていたよ」


 ランス様はお姉様達と会って大丈夫だったのかしら? もう心の傷は癒えたのかしら?


「ランス様は大丈夫そうでしたか?」


「ランス? ん? 大丈夫だが……」


 大丈夫だったのね。良かった。


「ランス様はお姉様のことがお好きだったから、消えた事にショックを受けていらしたと思うので……」


 ギルベルト殿下は不思議そうな顔をして私を見ている。


「ランスがマデレイネ嬢を好きだった?」


「ええ」


「無いよ。それは無い、絶対無い」


「ええ、でも」


「べべちゃん、勘違いしているよ」


「勘違いしているのは殿下ですわ。ランス様は小さい頃からお姉様が好きで、結婚したいと直談判し、婚約したのですよ」


 もう、ギルベルト殿下ったら、何を言っているのかしら?


「べべちゃん、そろそろ戻ろうか?」


 お茶も飲んだし、私達は工房に戻る事にした。


 ランス様はマデレイネお姉様に会いたかったのかな。やっぱり私ではなくお姉様と結婚したかったのだろうな。お姉様は私と違ってスレンダーな美人。ストレートの銀髪と蒼い瞳が本当に素敵なの。それに比べて私はチビだし、丸い顔に丸い瞳。髪は薄い色の金髪で中途半端な天然パーマ。身体もぽっちゃりぷにぷにしている。


 誰が見たってマデレイネお姉様に目が行くわよね。


 マデレイネお姉様がアンジェラお姉様と愛し合っていたと聞いた時はびっくりした。まさかと思った。でも本当だったのね。


 婚約者だったランス様は傷ついたと思う。あんなに望んで婚約したのに。


 やっぱり私ではなく他の令嬢と結婚した方が良かったんじゃ無いのかしら。私が側にいたら嫌でもお姉様を思い出すものね。


 だから早く跡継ぎを作って離縁しようと思っているのかもしれない。


 離縁か~。


 ブリーデン公爵家の皆さんは大好きだし、できればずっと一緒がいいけど、私はランス様に嫌われているし、やっぱり離縁だろな。


 離縁したら、刺繍で生活できるかな?


 そうだ、その日のために今からお得意様を沢山作っておこう。


 目指せ跡継ぎか~。


 でも子供と離れ離れなんて辛いなぁ。私はどうしたらいいのか悩むなぁ。


 とりあえず今は刺繍頑張ろう!





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