7.恋愛サポート
エリアス先輩の補佐について3週間が過ぎた。
先輩の恋心が理解出来てから、私は積極的にエリアス先輩のサポートにつくようになった。
仕事の補佐のことではない。
重きを置いているのは恋のサポートである。
「だからね、この洗顔石鹸は保湿をしながらもしっかりと汚れを落としてくれます。で、そのあとこの化粧水を······」
「化粧などしない。なんなんだ貴様、この間から」
「化粧じゃなくて、化粧水です。仕上げはこっちの乳液です。冬ならこれに保湿クリームも必要ですが、今は乳液までで大丈夫です」
「しないと言っている! 何でそんなに勧める! お前は化粧品会社の回し者か!」
「いえ? エリアス先輩のサポーターです。男だって、汚いより綺麗な方が好感度が高いんです。綺麗になったらランベルト殿下も益々エリアス先輩が好きになりますよ?」
「······殿下がか?」
「そうです!殿下は今でもエリアス先輩が一番だと思いますけど、さらに好きになると思いますよ?」
「······殿下が······なら、まあ、話くらい聞いてやる」
最近になって気付いた。
エリアス先輩は、殿下がラブなだけあって、「殿下」という殺し文句一つで耳を貸してくれる以外にチョロい生物だった。
「俺は懐柔されない」なんて言っておいて、殿下一つで服従する見た目だけ怖い番犬を調教し始めた私はだんだんと楽しくなってきていた。
「先輩、今度街にハンカチーフを見に行きましょう!」
「はぁ? 何でそんなものを······」
「男は小さなところに見え隠れするお洒落がポイントなんです。きっと殿下も「身だしなみが美しいな」って思うはずです!」
「む······殿下が? じゃあ、少し考えてみよう」
エリアス先輩は本当にランベルト殿下がお好きなようだ。
ここまで真っ直ぐでチョロいと貴族としては心配だが、人としては好感が持てる。
貴様呼ばわりされて嫌われてはいるものの、私自身は先輩の好感度増し増しで、ランベルト殿下に抱く切ない恋心を守ってあげたくなる。
「エリアス先輩はとても可愛らしい方ですね」
「年上の男に向かって巫山戯たことを」
「申し訳ありません。僕、留学生だから。少し言葉遣いがおかしいんですよ。多めに見てください」
「ふん。いいからとっとと仕事をしろ」
いつの間にか、仏頂面すら可愛らしく見えてくるような気がした。