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12.舞踏会 3



 国王陛下とランベルト殿下が現れると舞踏会の開催を祝う言葉が発せられ、ブルクハウセン国の王太子殿下の紹介とともに国交50周年記念祭に向けての固い絆を口にされ、会場は大いに湧いていた。


 暫くすると陛下から少し離れたところに席を移したランベルト殿下に、直ぐに傍に控えた私とエリアス先輩は、立ち位置を変えてそのまま陛下のお話を聞いていた。


 スピーチはブルクハウセンの王太子殿下に移り、父上が傍らで通訳をしているのが見えた。


「50年かあ。長く仲良く出来たのは嬉しいな。もっともっと仲良くなれればいいのに」


 王太子殿下のスピーチの最中、私は一人ポツリと呟いた。

 私は母がヴァルテンブルク人で、父がブルクハウセン人で、どちらの良いところも幼い頃から沢山見てきた。


 外国というだけで壁を感じる人は多いけど、私達は同じ人間だし、私はどちらの国も大好きである。


「変な奴だな。お前」


 前を向いたまま視線だけを私に向けたエリアス先輩は、そう溢した。


「仲良くなれるのは嬉しいことです。国も、人も」

「まあ、そうだけど」

「僕、エリアス先輩と仲良くなれたのも嬉しい」

「な······仲良くなんか······!」

「僕、先輩と仲良くなれたと思ってましたけど、違うんですか?」


 単純に疑問をぶつけただけだったのに、エリアス先輩は私の顔を見ると何故か頬を染めて開きかけた口を閉じた。


「僕、ヴァルテンブルク大好きです。エリアス先輩も大好きです」

「おま······そんな恰好でなんてことを······!」

「恰好?」


 キョトンとしていると、傍にいたランベルト殿下がプッと吹いた。


「ふふ······二人共。面白すぎるからいいかげん笑わせるのはやめてくれよ。この後、挨拶回りもあるんだからな」


 スピーチが終わると、殿下に従い私達は大きなホールの中をついていった。


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