ボッチ
続きです。
くしゃみをした瞬間、体の中を風が通り抜けるような感覚がした。
そして目を開けると。
森の中だった。
「·······うぅ、マジかぁ。」
せめて民家の近くとか·····こう、もっと良い場所あるだろ。なんで森よ?
「····ていうかこれ、獣道じゃね?怖っ!」
ほんと、なんでいつ野性動物が出ても不思議じゃない所に転移するんだろ。死ねってこと?
まあ今までもあったんだけどね、こういう状況。
前なんか、歩いてる動物の丁度前に転移したから本気で死ぬかと思ったけど。
しかも猪に牙を追加したみたいな、よくわからないやつだったし。
「······こうやって一人でボソボソ喋るのってすごい虚しいんだけどなぁ·····」
取り敢えず人を探そう。できれば善人。
「人ぉ·······民家ぁ····お願いだからまじで出てきて·····。」
慣れてるとはいえ辛すぎる····
そうしてどれ程歩いただろう。
俺はようやく、誰かの家の裏庭のような場所に出ることができた。
近くの家をそっと見上げる。家には世界観が反映されてるからな。
その家から判断すると。
「·····今回はわりと昔の日本みたいな世界だな。いや、本当に過去の日本って可能性も?」
そんな疑問を抱えたまま通りのような道に出ると、周りの風景がよくわかった。
なるほど、ここは村だな。土の道、田んぼっぽい農業、木と草でできた家。
それと······
「第一村人はっけーん!」
ようやく主人公が人に会えました。