こころに溶けた恋
自分が好きな曲をもとに試し書きしました。ド素人が執筆したのでお手柔らかに。(スマートフォンだとみにくい箇所がございますがご了承ください。)
深夜2時、気が付いた時には喫茶店にいた。彼はもういない。
私は夢を見たような気がした。彼に手を引かれ、連れていかれた六本木。
「今夜は踊ろうよ、明日のことなんか忘れて。」
彼に囁かれた。彼は笑みを浮かべている。
それが瞳に写ったとき、酒がはいってたことも相まって私は気分が高揚した。
都会が似合わない私も不器用にステップを刻んだ。このまま彼とここにいたいとさえ思えた。
その時、視界が何かに遮られたような気がした。
「またね」の声が心に絡まったような感覚。
ポケットの中に電話番号が書かれた紙、彼に聞いた記億もないのに。
あの道路を渡ればもう自宅に着くというのに、コップから手が離れない。
夜雨が降っているからだろう、きっと。
なぜこうなってしまったのか、私は分からなかった。
眠気もないし、もうここで朝を迎えてしまおう。
私の苦みに溶けた甘い恋は終わったのだろう。
それからというもの、毎週末の深夜1時を過ぎるとしきりに彼を思い出すようになった。
彼がいない生活に耐えられないわけではない。ごく普通の生活だ。
お気に入りのマグカップにチョコレートミルクをいれて過ごす深夜。
酒は飲まない。あの日を思い出してしまいそうだから。
ところで一体彼は何者だったのだろう。あの日を境に何故か顔が出てこなくなってしまった。
確かに覚えているはずなのに、なにかに溶け込んで見えなくなってしまっている。
それは私が飲んでいるチョコレートミルクみたいだ。
今日も深夜2時を迎える。ああ、時計の針が逆行して昼に、
そして彼と掌を交し合った日々に戻れないものか。そう願った夜は何度もあった。
わたしはまだ苦しんでいる
ありがとうございました。