導入
スキル授与式
それがこの世界の各地で、年に一度の大規模なお祭りである。読んで字のごとく、子供から大人への中間の年齢に達した者が故郷から近い都会へ行き教会で女神よりスキルを享け賜わる日だ。この日は、教会には王都からの使者や様々な業種のギルドの係員もそれを見に来る。貴重なスキルを持つ者がいればスカウトしようという魂胆だ。
さて、スキルとは簡単に言えば何に特化しているかわかるものだ。【農民】なら野菜作りだし【兵士】や【騎士】なら剣術といった具合にだ。しかし、それはあくまで一般的なもので皆があこがれるのは【勇者】や【大賢者】と言った英雄と後に語られるスキルだ。これらのスキルはもれなく今後の人生は華の道といえるだろう。しかし、残念ながらそう思われないスキルもある。【無職】は様々な事を広く浅く出来るので英雄クラスではないが一般スキルより少し下だ。それらスキルは動作的なものが多い。例えば【睡眠】は何処でもよく寝むれるとか、【積載】は積むことに特化したスキルだ。建築ギルドで使えないことはないが、ひたすらレンガを積む人生になるだろう。だがスキルはあくまで、その人物が何が得意かわかるかの目安でしかない。しかしスキルは磨けば輝きを増し【睡眠】も【積載】も光るスキルなのだ。
さて、長ったらしい前置きはこのくらいにして本題へ入ろう。このお話はある男がスキルを磨きに磨いた話である。
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