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「 夏のホラー 2020 」投稿作品

♥ 足跡「 夏のホラー2020 」

作者: 雪*苺


「 花火大会、楽しみだね〜 」

「 うん♪

  ようの浴衣可愛いね!」

「 え〜〜、そうかな?(////)

  おねぇのお古だから時代遅れだよ〜 」

「 そんな事ないよ!

  紫陽花柄、可愛いよ 」

「 う〜……がとう…(////)」

「 それにしてもちゃん遅いね〜。

  あと、10分で電車がるのに… 」

ゆうたかないよね 」

「 ラインは見てくれてるんだよね? 」

「 うん…。

  既読は付いてるから読んではくれてるみたい 」


 私は

 親友のようゆうたかと花火大会へ行く為に最寄りのいぬまい駅のホームに集合する事になっていた。

 お昼前に現地に着く予定で行動しているのに……電車がちゃうよぉ……。


─ ─ 10分後


 電車がプラットホームに入ってた。


「 ──あっ、ちゃったね 」

、どうする?

  先に行く? 」

「 私は先に行きたいんだけどなぁ……。

  ようは待ってたい? 」

「 じゃあ、ラインしとくから、先に行こっか! 」


 スマホの画面を私に見せながら笑顔でそう言ったようは、ゆうたかへラインを送ってくれた。

 私とようは予定どおり電車へ乗車した。


─ ─ 車内


 いてる座席に仲良く座る。

 車内の中には浴衣を着ている人達が多く乗車している。

 お祭り気分を味わいたいのか仲睦まじいカップルも多い。

 ──羨ましいな、ちくしょう!!

 あ〜あ…2次元キャラと現実デート出来たらなぁ…。

 今日きょうは屋台で爆食いしちゃるぅ!!

 プルルルルルル──と音が鳴ると、扉が閉まる。

 ガタン…ゴトン…と音を出しがら電車がゆっくりと動き出した。


─ ─ 到着駅


 花火大会が開催される会場のある駅に到着した。

 駅の名前はがんこつ駅。

 には大きくて広い川があって、川原もある。


は知ってる? 」

なにが? 」

「 このがんこつ駅にある川と川原って、死後の世界にある三途の川と賽の河原のモデルになったんだよ 」

「 そうなの? 」

なんでも子供が川原で石積みをして遊んでるのを見て閃いたみたいよ 」

「 へぇ?

  昔の子供って石を積み重ねて遊んでたんだ? 」

「 マトモな玩具なんて無かった時代だし、石を積んだり川に石投げして遊ぶしかなかったんじゃないのかな? 」

ようって、そいう話が好きなの?」

「 まぁね〜〜。

  小さい頃に地獄の絵をなんも見に連れて行ってもらったからかな? 」

「 そうなんだ?

  いいなぁ〜〜〜 」

「 そうだ!

  がんこつ駅にはね、一寸した怪談もあるの! 」

「 そうなの?

  どんな怪談? 」

「 子供の足跡がホームや通路,階段にペタペタ付くの 」

「 …………靴底が水に濡れたら足跡ぐらい付くでしょ… 」

「 違うの。

  足跡は裸足!

  雨の日じゃなくて晴れた日に付くの。

  子供の足跡だったり、大人の足跡だったりね 」

「 へ…へぇ?

  それが怪談なの? 」

「 トイレの壁や床のタイルにも付くんだから、気味が悪いし、怖くない? 」

「 ま…まぁ……トイレはいやかも…… 」


 こんな話を聞きたくなかった。

 駅のトイレに入りにくくなるじゃん!!

 実は駅を出る前にトイレに行っとこうと思ってたのにぃ!!

 ようの馬鹿ぁ!!


「 ……トイレ、行けないじゃん… 」

なにも悪さなんてしないよ?

  足跡が出たからって、悪い事が起きるわけじゃないし、足跡を見た人が不幸になったり、不運に見舞われたりする事も特にないみたいだし。

 奇妙な事も怪奇っぽい事も起きてないみたいよ 」

「 …………じゃあ、一緒にトイレに行ってくれるよね? 」

「 行くよ。

  私も行きたいもん。

  会場に着いたら、トイレに行けるか分からないもんね 」


 私はようと一緒にがんこつ駅を出る前にトイレへ向かった。











─ ─ 彼岸笏駅


「 綺麗だったね〜、花火! 」

「 うん!

  やっぱり生で見る花火はいよね〜 」

「 お腹も一杯だし、満足満足! 」

ちゃん、食べ過ぎだよ〜 」

「 私よりも食べてるたかには言われたくないなぁ〜〜 」

「 花火大会に行く前に大食いチャレンジしてて遅れたのに、屋台でも食べ歩きするなんて……信じられない食欲だよね〜 」

ようは少食過ぎるんだよ。

  もっと食べなよ。

  勿論、もね! 」

「 でもさ…ゆうが彼氏とるなんて思わなかったなぁ… 」

「 そうだよね。

  の間に彼氏を作ったんだか… 」

「 女の友情にヒビが入るのは彼氏が出来た時だからね!

  まぁ、今は好きにさせといたら?

  別れたら温かく迎え入れてあげたらいいんじゃないの? 」

「 友情より男を選んだ子が、此方こっちに戻ってるわけないじゃん 」

「 友情の縁は、ぶっつりと切れたよ!

  此方こっちから結ぶ気なんてないから! 」

ようぉ〜〜 」


 私はたかと一緒に御機嫌斜めなようを宥めながらホームヘ向かった。


─ ─ プラットホーム


 階段を上ったり下りたりして漸く帰りの電車に乗るプラットホームに着いた。

 夜のプラットホームには、花火大会から帰る人達の姿をちらほら見掛ける。

 仕事帰りの人も多いし、ムカつくカップルも多い。

 電車を待っていると、電気がパカパカと点いたり消えたり点滅し始めた。

 急に起きた事だから、プラットホームにいる利用客がザワザワと騒ぎ出した。

 誰かの悲鳴が聞こえた。

 なにに対して悲鳴を上げたのか分からない。

 だって、停電したみたいに真っ暗なんだもん。


「 ──きゃあっ!? 」


 ようの悲鳴が聞こえた。


「 どうしたの!

  よう、大丈夫? 」

「 だ…大丈夫──だと思う…。

  誰かにぶつかっただけだから… 」


 彼方あちら此方こちらから男女の悲鳴が上がる。

 みんな暗くてぶつかり合ってるみたい。

 私も気を付けないと!!

 暫くすると──パッと電気が点いた。

 利用客達はみんな、ホッとした顔をする。

 私もようたかの顔を見れてホッとした。


「 吃驚したね。

  停電したかと思っちゃったよ〜 」

ほんだね〜〜。

  あははっ 」


 私達は3人で笑い合っていたけど、彼方あちら此方こちらから女性の悲鳴が聞こえてた。

 なにをそんなに悲鳴を上げるのかと思っていたら、理由が分かった。

 プラットホームに無数の子供の足跡がベタベタと付いていたから!

 まるでホームを走ったかのような付き方をしているように見えた。


「 ──これががんこつ駅の怪談……足跡…… 」

「 怪談って言うより、怪奇じゃないの〜。

  驚いた所為でお腹空いちゃったじゃん。

  ねぇ、帰りにさマッ◯寄ってかない? 」

「 こんな不気味な不思議を見といてく『 マッ◯に行こう 』って言えるよね… 」

「 怪奇や怪談でお腹の空腹が満たされると思うの?

  お腹の空腹は食べ物でしか満たせないんだよ 」

「 そうだね…。

  私もなんか食べたくなってた… 」

たかも食いしん坊なんだから!! 」


 プラットホームに電車が入ってた。

 扉が開いて車内の乗客が降りるや否や、ホームに立っていた利用客は足早に電車へ乗車していく。

 気持ちは分かる。

 得体の知れない足跡が付いてるホームから早く離れたいもんね。

 私達3人も足早に電車へ乗車すると空いてる座席に座った。

 来年の花火大会まで、この駅にる事はないだろう。

 たくもないけどね!!

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