帰り
目を開けると青色、いや、藍色というような空が広がっていた。
「起きた?」
「うああ!」
「ふふ。びっくりした?」
「美穂か…ごめん寝てて」
「喜良があまりにも気持ちよさそうだったからさ…おばあちゃんにも、遅くなるって言っておいたし」
「そっか…」
「それより、今更だけど、お友達紹介するね。こちら、さやとみく」
「よろしく」
「よろしくね。もうこんな時間だけど」
「よろしく!!」
「まあ、こんな感じで。また今度四人で遊びたいね。また喜良がここに来るかわからないけど」
「美穂の話聞いていたら、素敵な方だなって思いました」
ん?僕は特に何もしてないぞ?
「またよろしくね!」
「ちなみに、さやは高二、みくは、中二なの。だから、ここから一番近い都市までは一緒だけど、そこから私は更に行くから、喜良の町までは結局私だけだね」
「三人とまた会った時に遊びたい。せっかくだから、メアド交換でもしない?」
そう言って、LINE交換をした。
今はこうやってつながっているから便利だなあ。
そして、三人で美穂の家に行き、僕は荷物を取った。
二人とも自転車で来ていて、バス停まで送ってくれた。
バス停までの道も、会話が途切れることはなかった。
しかし、最終バスまで時間がなかったので、美穂のもう一つの自転車を貸してもらった。
そして、四人でバス停まで自転車で急ぎ、着いた。
「じゃあ美穂、ありがとう、今日は」
「いやいや、私はまた都市でも会えるでしょ」
「そうだね。二人もせっかく来てくれたのにごめんね。僕がもたもたしてたから」
「いえいえ、こんな短時間でも楽しかったからいいよ」
「また遊ぼうね」
そう言葉を交わすと、バスが近づいてきた。
時刻は十八時三十二分。
「じゃあ、またね。ありがとう」
「ありがとうございました!!」
僕がそう言うと、バスの扉が閉まった。
手を振った。
すると、あちらも手を振ってくれて、少し走って見送ってくれた。
「楽しかったなあ」
そう呟き、ガラガラの座席に座る。
そこから三十分、そして、真っ暗になった空間の中、また電車で三十分。
母には早いとこメールして、遅くなると告げていた。
僕の家の最寄り駅に着いた。
降りるとやはり住宅街であった。
日本は、こんなにいろいろな顔があって、面白いな、と感じた。
しかし、村がすごく懐かしく思えて、寂しくなった。
帰ろうか。
そう心に留め、自転車を走らせた。