エピローグ
初投稿です。お時間がよろしければ是非読んでください!
「見て?貴方」
「おや、何とも可愛らしい子だ。おめでとう」
「ふふふ、ほんとね。とっても可愛いわ」
「さてと、この子になんて名前をつけてあげようか?」
「じゃあ、ファフィル、なんてのはどうかしら?」
「いいね、その名前。じゃあこの子の名前は今日からファフィルだ。」
「よろしくね?ファフィル。」
「よし、神官! きてくれ。」
「如何なさいました?」
「この子のステータスを見てくれ。」
「おお、、ついに生まれてたんですね。とても可愛らしくございます。」
「だろう? 俺たちの子だからな」
「ですね、では早速ステータスを見させていただきます。」
そして神官がファフィルのおでこのあたりに人差し指を当てて鑑定し始めた。
「むむッ、何と」
「どうしたんだ?」
「申し上げます、このお子様はユニークスキルをお持ちではありません。」
「貴方、それは本当なの?私はこんな可愛らしい子供が、ユニークスキル無しの落ちこぼれには見えないのだけれど?」
「しかし、只今鑑定をしまして、ステータスを拝見させていただいた結果、ユニークスキルどころかスキルすら持っておりませぬ」
「くそッ、なんてことだ、俺たちは役立たずな子供を作ってしまったっていうことなのか? しょうがない。殺そう」
「辞めて貴方ッ! まだ可能性はある、成長したらユニークスキルなんてへでもないくらい強くなるかも、、、」
「そんな保証はない。こんな奴を生かしておいて成長する保証はどこにもない。」
「貴方! それでもこの子は私たちの子よ!」
「分かっている!!!! だからこそ早く済ませたいんだ。長引かせると情がうつる。」
「貴方、、、分かったわ。この子を孤児に出しましょう。どう?この家には置いておかないけど殺しはしない。」
「くッ、わ、分かった。おい! 兵士長! お前でもいいからこの赤子を連れて孤児に出してこい!」
「はッ! 承知いたしました! 公爵様!!!」
「早く行け! くそ、あとで殺しておいた方が良かったなどということになっても俺は知らんからな、」
「おい! そっちに行ったぞ、ファフィル! さっさと動けよこの落ちこぼれが!!!」
「はいッ!」
「ったく、報酬分の仕事くらいしろよな?」
そう依頼主に言われて慌てて取り逃がした魔物を追いかけて行く。
俺は今、ギルドでクエストを受けてここ、魔族の森に依頼主であるAクラスの冒険者1人と他3人と魔物を狩りに来ている。実際は狩りを行うにおいは、人数が少ない方が良いのだ、経験値の分配がパーティのメンバーの数割られてしまうからだ。
ちなみに行っておくと、冒険者ランクはFからSランクまであり、Cランクは一人前レベル、といったところだ。そして俺のランクはFランク。冒険者になったばかりのランクである。
しかし、だったらなぜ俺がここにいるんだ? 経験値が減ってしまうのでは?ということになってしまうが、その答えはすぐにわかるであろう。
今回の依頼主はそこそこ権力を持っている侯爵である。少しでも自分が助かる確率を上げ、且つ俺に魔物を倒させて経験値を稼ぎ、危ない時は俺を盾に逃げて、簡単に経験値を得てレベルを上げようということだろう。
だが、だからと言って得られる経験値の量をそのような理由で減らしてしまっても良いのだろうか?と思うであろう。その答えは簡単に導き出せる。
この世界において貴族というのは、名ばかりの栄光ではなく、その貴族の血を受け継いだものには『ユニークスキル』というものに覚醒するのだ。しかし、稀にユニークスキルに覚醒しないものもいる。そいつらを世の中は落ちこぼれと罵られながら余生を過ごし、最悪の場合は奴隷商人に売られたり、世の中にバレないように殺したりするらしい。
そしてこの侯爵もユニークスキルを持っている。それがこのようなものらしい。
『ユニークスキル:神樹の恩恵
パーティの獲得経験値をパーティ人数分倍にする』
といった、チートスキルである。
故にこの貴族はこの国でも上位のギルドに所属し、有名な英雄の一人、【美の英雄】として広く知られている男である。この男のレベルは358と、この国では3位、全世界では11位というかなり強いやつである。しかも民衆からの信頼も厚く、世間では努力してここまで上り詰めた天才として、広く知られているが実際はこうである。
冒険者ギルドで低ランクの冒険者を何人か雇って、自分は何もせずともレベルが上がって行く。
この世界では技術は同じレベルにならないとほとんど意味を解さない。
実際今回の狩りにおいて動員された低ランク冒険者は俺だけでなくあと3人いる。俺と貴族と他の3人。これだけで得られる経験値が5倍である。
冒頭で人数分経験値が振り当てられると言ったが、レベルが均一な場合は均一に割り振られるが、レベルが高いものにはそれなりの経験値が振り当てられる。つまるところ、俺たちはレベルがすぐに上がるという根も葉もないような話に飛びついて、結果こうなっているわけである。本末転倒とはまさにこのこと。
事実、俺たちが得ている経験値は、普通に魔物を倒すよりも少ない。これが弱者としての性相というやつなのだろう。
それから3時間ほどで狩りを終え、侯爵には
「世間に知られるようなことがあれば、余は黙っておらぬぞ? 死にたくなければ身分をわきまえたまえ。明日も必ずこいよ?」
と、脅迫とも取れることを言われ皆解散し、家に帰った。報酬もそこまで美味い訳ではない。
はぁ、ほんと何で俺生まれてきちゃったんだよ。そう思い、俺ことファフィルは晩飯を食べ眠りについた。
◆ ◆ ◆ ◆
翌日俺は、昨日の疲れがたまっていたのか起きた時には日が真上にあった。
自分のステータスを見る。
−−−−−−−
レベル:62
ジョブ:戦士
ステータス
HP:229
MP:102
筋力:119
守備力:96
魔力:76
知力:69
俊敏:125
技能
剣術LV.5
攻撃魔術LV.3
回復魔術LV.3
スキル
空欄
称号
落ちこぼれLV.1/1 周囲の人間に自分のことをクズだと認識させる。
屈辱値:86/90
−−−−−−−
「お、レベルが3上がっている。ここ最近あの貴族にこき使われていたからな、そのくらい当然と言ったところだろうか。
それに、屈辱値もあと4でMAXじゃないか、何が起こるんだろうか? 本当に気になるな」
この屈辱値とは、俺自身が屈辱を受けるたびに数値が上がってきている。
最初この数値に気づいたのは、俺が冒険者になった3ヶ月後くらい、今から3年ほど前だろうか?
そう。俺はユニークスキルを神から授からなかった、落ちこぼれと呼ばれる人間の一人だ。だから俺は絶望して、今の今までレベルなんてあげようとは思ってもみなかった。今レベルがここまで上がっているのは、親にも見捨てられ、金がなく、せめて生きるためにということでクエストを受け続けたらここまで上がったのだ。
それなのにランクがFなのは、役立たずと呼ばれているためだろう。それに関しては俺も自覚している。
あ、そうだ。あの侯爵のクエストに行かなきゃな、でも今日はもう昼だし面倒くさい。今日は行くのをやめておこう。
そう思った瞬間、俺の家の玄関の方から爆発音のような音が聞こえてきて、同時に複数の足音と複数の男の声が聞こえてきた。
「余の命令に背いた愚かな落ちこぼれよ! 出てくるんじゃ!」
「な、何だッ?俺の家に何の用がある、、、侯爵様! どうしてこんなところに!?」
「お主が余の命令を無視したためだろう?」
何だと?あれは命令だったのか?クエストに参加する参加しないくらいの権利は俺にだってあるはずだぞ?
「いくら俺だからってクエストに出るか出ないかくらいの権利は」
「うるさい。余の命令は絶対じゃ。落ちこぼれのお前ごときが余の命令に逆らえるはずがあるまい?」
「すいません、すぐに支度をしてきます。少々お待ちくださいい、。」
「その心配はいらぬぞ?何せお主は余に逆らったために死刑となった。だからわざわざ余が出向いてやっておるんじゃよ
くそッ、何なんだこいつは。一日クエストに行かなかっただけでこの仕打ち。
「安心せい。お前が死んだことは世の中には広めん。広めて余の悪評が広まっても困るからのぉ、フハハハハ」
「すいません、次は勝手に自分で物事を決めずに」
「黙れ。お前の死刑は決定事項じゃ。その前に、連れてこい」
畜生、俺に力があればこんな奴ぶっ倒してやるのに、、、
「はッ、承知いたしました」
しかし何を連れて来る気なんだ?
そして、兵士の一人が連れてきたのは首輪に繋がれた5人ほどの全裸の男だ。ただ、少し様子がおかしい。
「何を、するんですか?」
「教えて欲しいか? 教えてやろう、どうせお主はあと30分もすれば声も出せなくなるであろう。こいつらには薬を使って欲情させてある。あと少しではち切れそうなくらいにな。そこでお前をこいつらに犯させてから殺すんじゃよ」
・・・は? 今こいつなんて? 俺をこいつらに犯させるだって?
次の瞬間逃げようとしたが兵士に抱えられ逃げることは許されなかった。
「よし。ヤれ」
次の瞬間、その5人ほどの男達が自分のイチモツをギンギンに勃たせて迫ってきて、なすすべもなく俺は犯された。
「や、辞めてくれぇ!! こ、こ、こんなの酷すぎ、ウプッ!」
「アハハハハハ! 実に愉快。よし良いぞ、もっとヤるんだ!」
くそッ、俺は男だぞ? 何をしてるんだこの男達は!!!
もうだめだ、意識が、薄、れて、い、く、、
その瞬間ファフィルの意識は途切れた。
ちなみに、この世界のお金の仕組みは
1ルド=1円
銅貨1枚=100ルド
大銅貨1枚=1000ルド
銀貨1枚=1万ルド
大銀貨1枚=10万ルド
金貨1枚=100ルド
って感じになってます。