幸せオーラ
俺は、昨日亜耶からプレゼントされた時計を腕にして、出社した。
エレベーターホールで順番待ちをしていると。
「おはよう、遥。朝から何ニヤニヤしやがって」
雅斗が俺の肩を叩く。
「えっ、あぁ。おはようございます、副社長」
嫌みっぽく返事を返す。
「…で、亜耶への返事の手紙は?」
寄越せと言わんばかりに俺の方に手を差し出してくる。
「ねぇよ」
俺は、素っ気なくそう返した。
「は?亜耶から、手紙貰ったんだろ?返事は返すもんだろうが」
雅斗が、眉ねを寄せて言う。
「昨日のうちにメールで返事を返した。俺、気のきいた便箋なんて持ってねぇし…」
俺の言葉に。
「まぁ、そうだろうな」
何で、そこに納得するんだよ。
「…で、今日の幸せオーラは、亜耶が関係してるのか?」
「そうだよ。悪いかよ。昨日の亜耶からのプレゼントしてるから」
そう言って、袖を捲る。
女性物だが、亜耶とお揃いなら…な。
…でも、俺がこれを持っているのにアイツには、何て言うんだ?
「それはそれは良いことで…。って、それペアウォッチだって由華から聞いてる。遥が女性物ってことは、亜耶が持ってるの男性物か?まぁ、アイツにはわからないだろうよ」
雅斗には、俺の考えはお見通しみたいだ。
「だと良いんだが…」
苦笑を浮かべながら答えた。
「その幸せオーラ封印しろよ。今から仕事なんだからな」
雅斗に釘を刺された。
「わかってるよ」
俺は、仕事モードに切り替えた。